
TOEICのリスニングセクションで思うような点数が取れず、悩んでいませんか?
TOEICのリスニングセクションの対策の流れと勉強法、教材を紹介します。
リスニング対策をどう進めていいかわからない方や、効率良くスコアアップを目指したい方は、ぜひ参考にしてください。
TOEICリスニングセクションの概要
リスニングの対策を効率良く進めていくには、まずTOEICのリスニングセクションの出題形式や傾向をしっかり把握することが大切です。
TOEICR L&Rには、リスニングとリーディングの2つのセクションがあり、リスニングセクションは「Part1~4」の4パート、リーディングセクションは「Part5~7」の3パートで構成されています。
リスニングセクションでは、英語のナレーションや会話を聞き答えます。
約45分間で100問出題されます。Part1~4それぞれの出題内容は下記の表の通りです。
リスニングセクション(約45分間・100問) | ||
---|---|---|
Part1 | 写真描写問題 (6問) |
1枚の写真が表示され、その写真について、4つの短い説明文が1回放送される。 その4つの説明の中から写真を最も的確に描写している説明文を選びマークする。 |
Part2 | 応答問題 (25問) |
1つの質問/文章とそれに対する3つの答えが1回放送される。 設問に対して最も適切な答えを選びマークする。 |
Part3 | 会話問題 (39問) |
2~3人の人物による会話が1回だけ放送される。 会話を聞き、問題用紙に印刷された設問と回答を読み、4つある回答の中から最もふさわしいものを選びマークする。 |
Part4 | 説明文問題 (30問) |
アナウンスやナレーションのような短いトークが1回だけ放送される。 各トークを聞き、問題用紙に印刷された設問と回答を読み、4つある回答の中から最もふさわしいものを選びマークする。 |
Part1:写真描写問題
Part1は、写真の説明分として最もふさわしいものを選択する「写真描写問題」です。
説明文は短く簡潔で、他のパートより難易度はあまり高くありません。
写真に写っている人物や物、風景をしっかり観察し、読み上げられる英文を理解する力が求められるパートです。
難易度はあまり高くはありませんが点数を落としたくないパートではあるので、初心者の方はTOEICのpart1の対策を行っておきましょう。
Part2:応答問題
Part2は、「英会話の応答問題」です。
会話形式の質問の答えとして最もふさわしいものを、3つの選択肢の中から選びます。
設問と選択肢はいずれも問題用紙に印刷されていないため、一度で確実に聞き取る集中力とリスニング力が求められます。
特に、設問の最初に来る「疑問詞」を聞き逃すと、間違える可能性が高くなるので注意してTOEICのpart2の対策を行いましょう。
Part3:会話問題
Part3は、「会話問題」です。
2~3人の会話を聞き、設問に対する答えとして適切なものを4つの選択肢の中から選びます。
Part1・2と比較して読み上げられる英文の量が増え、問題数も多いため、点数を取るためにはしっかりとTOEICのPart3の対策をする必要があるパートです。
設問と選択肢はいずれも問題紙に印刷されているため、リスニング力に加えて、音声を聞く前にザッと先読みをするスキルも身につけておくと、高得点につながるでしょう。
Part4:説明文問題
Part4は、アナウンスやナレーションといったトークを聞き、設問に答える「説明文問題」です。
話し手によって次から次へと読み上げられる英文を瞬時に理解する必要があるため、難易度はやや高めです。
また、登場する語彙のレベルも他のパートと比べて上がるため、『TOEIC頻出単語帳』などで語彙力を強化してTOEICPart4対策をしておく必要があるでしょう。
TOEICリスニング対策の流れ

TOEICリスニングの対策をするにあたっては、何から対策を始めていいのか悩みますよね。
リスニング対策の前にリスニングが苦手な原因をタイプ別に紹介します。
リスニングが苦手な原因をタイプ別に整理
リスニング対策に取り組む前に、なぜ自分が思うように聞き取れないのか原因を整理しておいた方がよいでしょう。人によってリスニングのつまずきのポイントは異なりますが、おもに以下の4つのタイプに分類できます。
語彙力の不足
知っている単語の数が限られていると、英文を聞いても意味が取れず、「聞き取れたはずなのに、何を言っていたかわからない」という状態に陥ります。
TOEICでは日常生活や職場などの場面を想定した語彙が多く登場しますが、その多くは中学や高校で学ぶ単語が中心です。とはいえ、文字として見て意味がわかる語でも、音として聞いたときに瞬時に理解できるでしょうか。
単語の音と意味が結びついた状態で脳内に定着していなければ、リスニングの場面では反応が遅れてしまいます。
英語特有のスピードや音の変化に耳が慣れていない
ネイティブの話す英語は、単語同士がつながったり、一部の音が弱くなったりするため、単語単位で聞こうとすると対応できません。
たとえば、「Did you」が「Didja」のように聞こえるケースです。
このような音の変化が起こるという前提を知らないと、聞こえた音と頭の中の語彙とが結びつかず、何を言っているのか理解できなくなります。
処理の遅さ
単語や文法は理解できていても、話の内容をリアルタイムで捉えるのに時間がかかるタイプがこれに該当します。
たとえば、最初の文章の意味を頭の中で整理しようとしているうちに、次の文章が始まってしまい、理解が追いつかなくなってしまうようなケースです。
このように処理の時間差が積み重なると、会話全体の流れがつかめなくなり、設問にも答えられなくなってしまいます。TOEICのPart3やPart4のように、まとまった分量の英文を聞いてから答える形式では、こうした処理の遅さがつまずきとなるポイントです。
内容をすべて覚えておこうとして混乱してしまう
TOEICのPart3やPart4では、長めの会話や説明を聞いた後に設問に答える形式になっています。
その際、会話の内容を最初から最後まで一言一句覚えようとすると、どの情報に集中すればいいのかわからなくなり、結局何も残らなかったという状態に陥りがちです。
実際の設問では、「話者の目的は?」「どこでの出来事か?」「どんな対応をしたか?」といったポイントがよく問われます。こうした重要な情報を聞き分ける意識がないと、話の流れは追えても、設問に対する答えが出せません。
すべてを覚えるのではなく、問いの中心になりやすい情報に集中して聞くことが、リスニングセクションで点数を取るためのコツです。
自分の弱点に合わせて対策を進めるために
ここまでに紹介した4つのタイプは、どれか1つだけに当てはまるとは限りません。
たとえば、語彙も不足していれば、自然な英語のスピードにも慣れていないというパターンも少なくないでしょう。重要なのは、自分が特に強化すべきポイントはどこかを整理しながら、この記事で紹介する対策法を柔軟に取捨選択していくことです。
この後のセクションでは、「語彙・文法」「リスニング力」「出題形式への慣れ」といった各要素を順番に取り上げますが、すべてを均等にこなす必要はありません。
自分がリスニングセクションのどこでつまずきやすいのかを意識すれば、まずは語彙を固めるべきなのか、聞き取りのスピードを上げる練習が必要なのか、はたまた、設問の先読みを強化すべきなのかといった判断がつくはずです。
このように、自分に必要な部分に時間をかけ、必要のないところは飛ばすという意識も、学習効率を高めるために意識したいポイントです。
ここからは、TOEICリスニング対策の基本的な流れを説明します。
- 語彙力・文法力を鍛える
- リスニング力を伸ばす
- TOEICリスニングの出題形式に慣れる
それぞれの対策方法について、順に詳しくみていきましょう。
語彙力・文法力を鍛える
TOEICリスニング対策では、TOEICに特化した勉強をすることが不可欠です。
しかし、語彙と文法については、基礎固めとして最初にしっかり鍛えておくことが大切です。
語彙・文法が十分に身についていない状態では、当然ながら英語を聞き取る練習をしたり、TOEICのリスニング問題を解いたりすることはできません。
ですので、まずは基礎英単語とTOEIC頻出英単語、および中学・高校レベルの基本英文法をしっかりとマスターすることを目指しましょう。
語彙力・文法力を身につける具体的な勉強方法については、次章で詳しく説明していきます。
リスニング力を伸ばす
語彙と文法の知識がある程度身についてきたら、次はリスニング力を強化していきます。
TOEICのリスニングセクションで点数を取るには、やはりリスニング力をつけることが欠かせません。
TOEIC対策用の音源や動画などを活用して、英語の音声を一つひとつ丁寧に聞くようにしましょう。
英語の音声をただ聞き流すのではなく、「音を聞き取ること」と「意味を理解すること」を意識しながら聞くと、本物のリスニング力が身につきます。
TOEICリスニングの出題形式に慣れる
基本的な知識とリスニング力が身についたら、TOEICの問題集を使って出題形式を把握していきます。
TOEICのリスニングセクションの問題形式は毎回同じなので、事前に形式を知り対策を練っておくことで、効率良くスコアアップを目指すことができます。
ここまでで身につけた語彙・文法の知識とリスニング力をアウトプットしてさらなる定着を図ります。そのためには、TOEICの問題集を繰り返し解いて出題形式や傾向を頭に叩き込みましょう。
TOEICリスニング勉強法:語彙・文法編

ここからは、TOEIC試験対策の勉強法を具体的に紹介します。
まずは、上の手順1に該当する「語彙・文法」の勉強法を詳しくみていきましょう。
- TOEICの頻出単語を覚える
- 中学レベルの英文法を復習する
TOEICの頻出単語を覚える
TOEICのリスニングセクションで英語を聞き取れるようになるには、まず語彙力を身につける必要があります。
TOEICの頻出単語を網羅した単語帳を手に取って、英単語を覚えましょう。
市販のTOEIC対策向けの単語帳は、TOEICで最も頻繁に登場する英単語から順に学べるようになっているので、効率良くスコアアップを目指せます。
単語帳を選ぶ際は、自分の現在のスコアや目標スコアに合ったものを選ぶのが重要なポイントです。
自分に合ったTOEIC頻出単語帳を使って、TOEICに特化した語彙対策をしていきましょう。
おすすめのTOEIC頻出単語帳は、記事の後半で紹介しています。
中学・高校レベルの英文法を復習する
TOEICに登場する英文は、中学・高校レベルの英文法でほとんどカバーできます。
一般的に、600点を目指すなら「中学レベル」、700点以上を目指すなら「高校レベル」の英文法が必要だといわれています。
特に、リスニング問題は口語(話し言葉)が中心なので、大学入試で出てくるような難解な英文法は出題されません。
ですので、現時点での英語力や目標スコアに合わせて、中学・高校レベルの英文法を学び直すことをおすすめします。
たとえば、「中学レベルの英文法を忘れてしまった……」という人なら中学で習う英文法を、すでにTOEIC600点を取得していてさらなるスコアアップを狙いたいなら、高校レベルの英文法を中心に復習すると良いでしょう。
TOEICリスニング勉強法:リスニング編

続いて、本物のリスニング力を身につけるための勉強法を紹介します。
- 音源を繰り返し聞く
- 音読練習をする
- ディクテーションに取り組む
- 毎日英語の音声を聞く
それぞれの勉強法について、順に詳しく解説していきます。
音源を繰り返し聞く
TOEICの参考書についてくるCDやTOEICリスニング対策動画、Podcastなど、英語の音源を用意して、繰り返し聞きましょう。
この際、英語の音声をただ聞き流すのはNGです。理解できない部分を聞き流していては、リスニング力の向上は望めません。
下記の練習法ように、聞き取れない箇所はスクリプトでしっかり確認し、意味を理解した上で繰り返し聞くことが上達のポイントです。
- まず一度音源を聞いてみる
- 聞き取れない箇所をスクリプトで確認する
- 意味を理解した上で、繰り返し聞く
- 発音と聞き取りのズレを認識する
- 英語のリズムとスピードが身につくシャドーイング
音源を何度も繰り返し聞くことで、耳を英語に慣らしながらリスニング力が鍛えられます。
音読練習をする
音読練習もリスニング力をつけるのに効果的な勉強法の一つです。
音読練習と聞くと、「スピーキング力を身につけるための勉強法では?」と思うかもしれません。
しかし実は、英語を正しい発音で音読すると、英語の理解が深まり、英語を聞き取りやすくなるという効果が期待できます。
自分で正しく発音できる単語が増えれば、正しく聞き取れる単語も増えるという訳ですね。
英語の音源を繰り返し聞いたら、スクリプトを使って音読練習にも取り組んでみましょう。
ディクテーションに取り組む
ディクテーションとは、英語の音声を聞いて、聞いた内容をそのまま文字に書き起こすという勉強方法です。
ディクテーションでは、冠詞(a, theなど)や動詞の活用など、細かな部分までしっかり聞き取って書き取る必要があるため、「集中して英語を聞き取る能力」を鍛えることができます。
また、ディクテーションに取り組むことには、「自分がどこを聞き取れていないのか」が明確にわかるというメリットも。
「文章の構文(文法事項)を理解できていない」「知らない単語が多すぎる」など、自分の弱点が見えてくるので、そこを重点的に補強してスコアアップを目指すことができます。
ディクテーションは、音源とノート、ペンがあれば手軽に取り組むことができるので、ぜひ試してみてください。
毎日英語の音声を聞く
TOEICのリスニングで英語を聞き取れるようになるには、普段から耳を英語に慣らしておくことが大事です。
「毎日英語の音声を聞く」というと、簡単なことにように思うかもしれませんが、これができている人は意外と多くありません。
毎日聞く英語の音声は、TOEIC対策用のものでなくても構いません。
英語ニュースやポッドキャスト、ビジネス系の海外ドラマなど、自分が楽しく続けられるものを選んで「毎日英語を聞くこと」を習慣化しましょう。
発音と聞き取りのズレを認識する
英語が聞き取れない原因の一つに、「自分が知っているつもりの単語の音」と「実際に聞こえる音」が大きく違っていることがあります。
代表的な例が、単語と単語がつながって発音される「リエゾン」です。たとえば「Take it out」が「/ˈteɪkɪɾaʊt/」と聞こえるように、語と語の境界があいまいになります。
また、発音されるはずの音が消えてしまう「脱落」もよく見られる現象です。たとえば「next door」の場合、「nexdoor」のように[t]の音が消えて聞こえます。「of」や「to」といった機能語は、しばしば「uh」「tə」のように弱くあいまいに発音されます。
このような音声変化を知らないと、「知っている単語なのに、まったく聞き取れなかった」となってしまうのです。
こうしたズレを修正していくには、スクリプトを使った確認作業が有効です。まず音声を聞き、何を言っているのかわからなかった箇所を把握してからスクリプトを見直してみましょう。すると、知っていたはずの単語でも、音声変化のせいで聞き取れないことに気づくことができるわけです。
この視点を持って音声を繰り返し聞くことで、聞き取れなかった音の正体が少しずつ明らかになっていくでしょう。次に似たような表現が出てきたときには、自然と意味をつかめるようになっていくはずです。
英語のリズムとスピードが身につくシャドーイング
リスニング中に英語のスピードに追いつけず、途中でわからなくなってしまうという悩みを抱えている人は少なくありません。このような問題に対して有効なのが「シャドーイング」という勉強法です。
シャドーイングは、音声を流しっぱなしにした状態で、ほんの数語遅れてその音声を自分でも発声して追いかけていくトレーニングです。
音声を一旦停止してから復唱するのではなく、音声と自分の発声がほぼ同時に進行していきます。音を聞いて理解し、処理を一瞬で行う必要があるため、リスニング時の反応速度や集中力、語順処理力を総合的に鍛えることが可能です。
なお、シャドーイングに取り組む際は、その英文の意味を理解し、正しい発音をあらかじめ確認しておくことが前提です。意味が取れていないまま音声を追いかけるだけでは、何を言っているのかわからず、ただ音をなぞるだけの練習になってしまいます。
シャドーイングの準備段階としておすすめなのが、英文を意味のかたまりごとに区切りながら聞き取る「スラッシュリスニング」です。
スラッシュリスニングとは、英文を意味のかたまりごとに区切って読む「スラッシュリーディング」という勉強法から発展したものです。文法構造に沿って「どこで意味が区切れるか」を明確にしながら読むことで、英文の理解がしやすくなります。
たとえば 「I’d like / to confirm / our meeting schedule」 のように、文を意味単位で分けて理解することで、英語の語順に従って意味を把握しやすくなります。最初はスクリプトを見ながら意味のまとまりを確認してから、音声を聞くことから始めるとよいでしょう。
このように文構造と音声の関係を意識しながら聞く習慣が身につくと、シャドーイング時にもリズムやイントネーションが自然に再現しやすくなるはずです。
TOEICリスニング勉強法:出題形式編

TOEICでスコアアップを狙うなら、TOEICの出題形式に慣れることが大切です。
ここでは、TOEICの出題形式に慣れるための勉強法を紹介します。
- 同じ問題集を繰り返し解く
- 苦手なパートは重点的に対策する
- Part2の解き方のコツ
- Part3・4を解くための戦略
同じ問題集を繰り返し解く
TOEICの同じ問題集を何度も繰り返し解くという勉強法が効果的です。
中には「問題集は、一度解いて採点して終わり」と考える方もいるかもしれませんが、実は1度だけ解いてやめてしまうのは非常にもったいないことです。
というのも、同じ問題を何度も解くことで、TOEICの出題形式に慣れ、自分が苦手にしている部分を把握し克服することができるからです。
出題形式や英語音声のスピード、語彙・文法のレベル感などに慣れるまで、繰り返し問題集を解き続ければ、確実にリスニング力を身につけることができます。
たとえば、問題集を2~3回解いてみると、「発音が聞き取れない」とか「単語の意味を思い出そうとしている間に、答えを聞き逃してしまう」など、自分の弱点が見えてきます。
自分の弱点をしっかり把握した上で、また繰り返し問題集を解き続ければ、だんだんと苦手意識が薄れ、それに連れてスコアも上がってきます。
TOEICの問題集を次から次へと購入する必要はありません。手元にある問題集を繰り返し活用して、TOEICで求められるリスニング力を効率良く鍛えましょう。
苦手なパートは重点的に対策する
TOEICの問題集を繰り返し解いていると、自分が苦手なパートが見えてきます。
正答率が極端に低いパートがあるとリスニングのスコアアップは望めないため、重点的に対策して苦手を克服することが大切です。
たとえば、Part1の写真描写問題が苦手なら、Part1の問題をたくさん解いて「どのようなことを問われるか」「写真のどんなところに注目すると良いか」など、正答を導くためのコツを掴むと良いでしょう。
インターネット上には、各パート対策に特化した問題を無料で解けるような学習サイトが多数あります。
教材や学習サイトを上手に活用して、苦手なパートは重点的に対策するようにしましょう。
Part2の解き方のコツ
TOEICのPart2では、短い設問に対して3つの応答から最も適切なものを選びますが、なんとなく聞き取れた単語に引き寄せられて不正解を選んでしまうという誤答パターンが非常に多いです。
正解にたどり着くには、設問の最初の一語、特に疑問詞(Who、Where、Whatなど)を正確に聞き取ることが鍵です。
たとえば「Where」で始まるなら場所が、「Why」で始まるなら理由が述べられているかを意識しながら聞くと、正しい選択肢を選べるようになるでしょう。
また、設問のタイプによって、返答のパターンにも違いがあります。たとえば、「Would you prefer coffee or tea?」のように選択肢が2つ提示される質問では、「coffee」か「tea」どちらかを答える返答だけでなく、「Either is fine.(どちらでもいいです)」や「I’ll have water instead.(代わりに水をください)」のように、直接は答えていない選択肢も用意されていることがあります。
このように、「どちらかを選ぶものだ」という思い込みにとらわれず、話の流れとして自然な返答かどうかを判断するのがコツです。
Part2において、設問と選択肢でキーワードが一致しているパターンは多いですが、それだけで判断するのは危険です。単語だけに引っ張られず、話の流れとしてふさわしい返答かどうかを判断する力が、このパートでの正答率を大きく左右します。
Part3・4を解くための戦略
TOEICのPart3とPart4は、数人の会話や短い説明を聞いた後で設問に答える形式です。次々と流れてくる英語を処理しきれずに、「結局、何の話だったのかよくわからなかった」という人は少なくないのではないでしょうか。
こうした状況を避けるには、音声が流れる前に設問と選択肢を先に読む「先読み」が有効です。
たとえば、問題用紙に「What problem does the man mention?」、「What will the woman do next?」、「Where does the conversation take place?」という3つの設問が並んでいれば、何か問題が発生していて、女性が対応を考えていて、その会話の場所を特定する情報が話の中で出てくると予測できます。このように、事前に設問から話の展開をイメージしておけば、不要な部分に意識を割かずに済むわけです。
なお、Part3・4の設問には、大きく分けて2つのタイプがあります。1つは「話全体の方向性や意図」を問うもので、これは流れを把握できれば自然に答えにたどり着けます。もう1つは、数字・時間・場所・選択肢など、聞き逃すと取り返しのつかない情報を問うタイプです。
たとえば、「What time is the meeting scheduled to start?」という設問があれば、「時間情報がどこかで出る」と構えて聞く必要があります。逆に、「Why is the man calling?」のような設問であれば、冒頭の2~3文で目的が語られることが多いため、出だしに注意を集中する必要があります。
このように、設問の内容によって「どこで、どの情報に集中すべきか」が変わります。音声が流れる前に設問を読んで、問題のタイプごとに何に狙いを定めるかを意識しながら聞くことができれば、長い英語音声も恐れるに足りません。
とはいえ、音声が流れるまでの短い時間で、3つの設問と選択肢のすべてを読み切るのは難しいと感じる人も多いはずです。読み切ろうとして焦るあまり、設問の内容が頭に入らないまま音声が始まってしまうことも少なくありません。
全文を先読みするのが難しい場合は、各設問の先頭だけでもざっと見て、何が問われているかを意識しながら音声を聞くようにしましょう。そうするだけでも、答えに関係がありそうな発言があったときに反応しやすくなります。慣れないうちは、練習段階で設問を何秒でどこまで読めたかを計ってみるとよいでしょう。自分の英語の処理スピードや読み取りの癖に気づくことができます。
ともあれ、Part3・4では、設問を全部先読みすることより、聞くべきポイントを意識することこそが大切です。
TOEICリスニング対策におすすめの教材
ここまで、TOEICリスニング対策の流れや具体的な勉強法についてお伝えしました。
そこで次に、TOEICリスニング対策におすすめの教材を「参考書」「問題集」「学習サイト」の3つのカテゴリーに分けて紹介します。
TOEICリスニング対策におすすめの参考書
ここでは、リスニング対策に役立つおすすめの参考書を紹介します。
TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ
『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』は、朝日新聞社出版のTOEIC対策向け人気教材です。
Amazonの「英語の単語・熟語カテゴリー」でベストセラー第1位を獲得する(2022年10月現在)など、多くの英語学習者から選ばれています。
本書は、600点レベルの英単語を400語、730点レベルを300語、860点レベルを200語、990点レベルを100語収録しています。
また、アプリをダウンロードすると、英単語と例文の音声を無料で聞くことができるのも、学習者に指示されている理由です。
TOEIC500点以上のレベルの方、定番のTOEIC頻出単語帳を使ってリスニング対策をしたい方におすすめの一冊です。
TOEIC L&Rテスト 英単語出るとこだけ!
『TOEIC L&Rテスト 英単語出るとこだけ!』は、語学系出版物の企画・制作・販売を行っている株式会社アルクが出版するTOEIC対策教材です。
本書は、TOEIC満点を取得した著者によって厳選された重要語630語と、基本単語280語を収録しています。
TOEICの得点に直結する単語だけを効率良く覚えられるので、短期間でTOEIC100点アップを目指すことができます。
重要語630語にはTOEICの問題形式に合わせた例文がついており、リスニング練習や音読練習、ディクテーションなどに取り組める点でも高く評価されています。
短期間でTOEICに通用する語彙力を身につけたい方、ムダなく効率良くTOEIC頻出単語を覚えたい方におすすめしたい一冊です。
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。
『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』は、学研の教育図書等を出版している学研プラスが出版する英文法参考書です。
英語を超基礎から学び直したい高校生・大人向けに、中学校3年間分の参考書の内容を一冊にまとめて収録しています。
練習問題の英文が吹き込まれたCDが2枚付いているので、発音とリスニング力もしっかり鍛えられます。
TOEIC対策に特化した教材ではありませんが、TOEICのリスニング力を身につけるために英語の基礎文法をしっかり学び直したい方にピッタリの教材です。
TOEIC L&Rテスト 英文法 ゼロからスコアが稼げるドリル
『TOEIC L&Rテスト 英文法 ゼロからスコアが稼げるドリル』は、アルクから出版されている英文法ドリル教材です。
TOEICで頻出する英文法の基礎知識と解法の時短テクニック、ドリル(全540問)を収録しており、英文法が苦手な人でも徐々にレベルアップすることができます。
なお、本書の効果は、企業研修や大学のTOEICリスニング講座で実証されています。
英文法が苦手な方や、TOEICのスコアが300点以下という初心者にピッタリの英文法ドリルです。
「文法が苦手で何から始めていいかわからない……」とお悩みの方は、ぜひ本書を手に取ってみてくださいね。
TOEICリスニング対策におすすめの問題集
続いて、TOEICの問題演習ができるおすすめの問題集を紹介します。
公式TOEIC Listening&Reading 問題集8
『公式TOEICR Listening&Reading 問題集8』は、TOEICの運営元であるETS(国際ビジネスコミュニケーション協会)が出版する公式教材の最新刊です。
最大の特長は、ETSによって本番のテストと同じプロセスで作られた問題を収録しているところ。
本番のテストに限りなく近い問題で勉強できるので、TOEICの模試として活用することができます。
リスニングセクションでは、本番と同じ公式リスニング音声を収録しているので、TOEICで求められるリスニング力を正確に把握するのにも役立ちます。
本格的にTOEI対策をしたいなら、一冊は持っておきたい問題集です。
TOEIC L&Rテスト 究極の模試600問+
『TOEIC L&Rテスト 究極の模試600問+』は、アルクが出版するTOEICの問題集です。
本書は、本番と同じようなTOEIC模試3回分と復習用の模試を収録しています。
また、全600問の解説動画を視聴することもできるので、まるで講義を受けている感覚でしっかり理解を深めることができます。
TOEICの模試に取り組める教材を探している方、解説動画でじっくり丁寧に学習したい方におすすめしたい一冊です。
公式TOEIC Listening & Reading 800+
『公式TOEIC Listening & Reading 800+』は、ETSが出版する公式のTOEIC対策教材です。
TOEICで800点以上のスコア獲得を目指す人向けに、過去のテストデータで正答率が低かった問題をパート別に掲載しています。
正答率が低い難問も確実に正解し、高得点を取りたい方にぴったりの良書です。
同じシリーズからは、TOEIC500点到達を目指す初心者向けに『公式TOEIC Listening & Reading 500+』という教材も出ています。
こちらの教材では、500点に到達するために確実に正解すべき問題に取り組みながら、正解の導き方を学ぶことができます。
自分の現時点のスコアや目標スコアに合わせて、『公式TOEIC Listening & Reading 500+』または『公式TOEIC Listening & Reading 800+』を手に取ってみてください。
TOEICリスニング対策におすすめの英語学習サイト
TOEICリスニング対策には、英語学習サイトを活用する方法もおすすめです。
ここでは、TOEICリスニング対策にピッタリな英語学習サイトを紹介します。
スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コース

スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースは、リクルートが提供するTOEIC対策に特化した学習サービスです。
20回分相当のTOEIC L&Rの問題演習が繰り返し学習できたり、カリスマ講師として知られる関先生による動画レッスンが用意されています。これらの教材は、2016年5月以降のTOEIC新形式に対応しており、最新の試験傾向を反映しています。
また、リスニング力や単語、フレーズ、正しいイントネーションを身につけることができる、「ディクテーション」と「シャドーイング」の学習ができる機能も用意されています。
1週間の無料体験も実施中ですので、スマホ1つで本格的にTOEIC対策をしたいという方は、ぜひ試してみてください。
TOEIC公式サイト
TOEICの運営元であるETSが運営する公式サイトでは、TOEICのサンプル問題が無料で公開されています。
Part1からPart7まですべてのパートの問題が用意してあります。各パートの問題を数問ずつ解いて実力をチェックする際に重宝します。
また、TOEICの公式サイトで公開されている問題ということもあり、問題の質が高いのもうれしいポイントです。
TOEIC対策を始める際や、各パートの出題形式を確認する際にもおすすめです。
Exam English
「Exam English」は、各種英語資格試験の練習問題に取り組める海外の英語学習サイトです。
TOEICにも対応しており、リスニングからリーディングまですべてのパートの練習問題を用意しています。
自分が練習したいパートを選んで、練習に取り組むことができます。
ただし、回答の解説は用意されていないため、間違えてしまった場合は「なぜこの回答になるのか」を自分で調べる必要があります。
無料で利用できるので、自分が得意なパートの実力試しにぜひ活用してみてください。
TOEICリスニング対策のポイント

TOEICのリスニング対策を効率良く進めるために押さえておきたいポイントを紹介します。
- 毎日英語に触れる
- YouTubeや英語学習サイトを活用する
- オンライン英会話を利用する
- スキマ時間に英語を聞く習慣を作る
- 理解済みの音声素材を使う
- TOEIC対策に使える音声素材
毎日英語に触れる
これはTOEIC対策に限ったことではありませんが、英語力を効率良く伸ばすには毎日英語に触れることがとても大切です。
たとえ1日に5時間勉強しても、学習を継続することができなければ、覚えたことが定着しないのでリスニング力の向上は望めません。
また、忙しくてまとまった時間を作るのは難しいという方は、TOEIC対策アプリなどを利用してスキマ時間に学習するのもおすすめです。
「通学・通勤中に英語ニュースを聞く」「帰宅後、問題集を1パート分解く」など、自分でルールを決めて、英語の勉強を習慣化しましょう。
YouTubeや英語学習サイトを活用する
TOEICのリスニング対策では、単語帳や本を使った勉強法の他に、YouTubeや英語学習サイトを活用する方法も効果的です。
たとえば、YouTubeでは、英語学習やTOEIC対策に関する動画が数多く配信されています。
YouTubeで配信されている動画を活用すれば、生きた英語を聞く練習ができるだけでなく、「パート1の対策法」「リスニングスコアを伸ばす方法」といったTOEIC対策に役立つ情報を得ることもできます。
また、YouTubeや英語学習サイトには、スマホさえあれば場所を問わず手軽に視聴できるというメリットも。
YouTubeや英語学習サイトを活用してたくさんの英語に触れ、効率良くリスニング力を鍛えていきましょう。
オンライン英会話を利用する
「一人だと英語学習に対するモチベーションを保てない」「TOEIC対策を得意にしている講師からアドバイスをもらいたい」などという方には、オンライン英会話の利用をおすすめします。
オンライン英会話スクールの中には、TOEIC対策を専門に取り扱っているところや、TOEIC対策コースを用意しているところがあります。
TOEIC対策に強いオンライン英会話を活用すれば、短期間で効率良くTOEICのスコアアップに必要なリスニング力を身につけることができます。
教材や無料の英語学習サイトを使って対策する方法と比べるとやや費用はかさみますが、TOEIC対策を得意にしている講師にマンツーマンで教えてもらえることを考慮すれば、コストパフォーマンスは悪くありません。
短期間で効率良くTOEICリスニングをスコアアップしたい方は、オンライン英会話や英語コーチングなど、プロの手を借りることも検討してみましょう。
下記のページでTOEIC対策ができるおすすめのオンライン英会話を紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。

スキマ時間に英語を聞く習慣を作る
TOEICのリスニング対策で苦戦する最大の原因は、日常的に英語を聞く時間が取れないことにあります。
この状況を解決する最も簡単な方法が、通勤や通学、家事や散歩といったスキマ時間を活用して英語を聞く習慣を作ることです。たとえば、通勤時間の片道15分だけを「リスニングの時間」と決めてしまいましょう。
毎日のスケジュールを変えずに英語を聞く時間を確保できます。スマホとイヤホンさえあれば、満員電車でさえ自分の勉強部屋になります。
英語のリスニングは、一度に長時間聞くより、短時間でも毎日続けることが大切です。
その方が、脳が英語の音に慣れやすくなります。まずは1日15分でもいいので、耳を英語に慣らす時間を生活のなかに組み込むことから始めてみてください。
理解済みの音声素材を使う
スキマ時間に聞く英語は、すでに勉強して内容を理解しているものがおすすめです。
英語を聞く習慣はできたとしても、なんとなく音を流しているだけでは、TOEICのリスクニングセクションのスコアアップには直結しません。
初中級レベルでは、初めて聞く音声の場合、そもそも単語の区切りや文の構造が音として捉えられず、話がどこから始まり、どのように展開しているのかを把握する前に音声が終わってしまうことがあります。
「聞いたはずなのに何を言っていたのか思い出せない」という感覚が残るのは、音と意味が頭の中で結びついていないためです。
TOEICでは音声は一度しか流れないため、後から思い出そうとするよりも、意味を即座に捉える力を養うことが大切です。一度理解した音声を何度も繰り返すことが、TOEICのリスニング上達のコツなのです。
TOEIC対策に使える音声素材
すでに意味や構造を理解した音声を繰り返し聞くことが、TOEICのリスニング力を伸ばすうえで最も効果的であることは前述の通りです。では、それを前提に、具体的にどのような音声を選ぶとよいのでしょうか。
基本となるのは、TOEICの公式問題集や模試、対策用の教材に付属している音声です。これらは実際の試験形式と一致しており、語彙・話題・スピード感などが本番とほぼ同じ水準に設計されています。
スクリプトも併載されているため、精読や音読練習にも適しており、「意味を確認し、発音を把握し、それを繰り返し聞く」という学習サイクルにぴったりです。
公式教材だけでは単調で飽きてしまうという人には、英語学習者向けのポッドキャストを補助的に取り入れることをおすすめします。1回の放送時間も10分程度の短めのものが多く、スキマ時間で繰り返し聞くには扱いやすい形式です。
スクリプトが提供されている番組も多いので、そういうものを選べば、精読・音読・発音確認といった準備を経て、繰り返し聞くという学習サイクルを回すのにも適しています。
TOEICリスニング対策についてのまとめ
今回は、TOEICリスニング対策の流れや具体的な勉強法、おすすめの教材を紹介しました。
TOEICリスニング対策では、「語彙・文法力を鍛える」「リスニング力を伸ばす」「TOEICリスニングの出題形式に慣れる」の3ステップで、TOEICに特化した対策をすると同時に、本物のリスニング力をつけることが大切です。
本記事を参考にしっかりTOEIC対策をして、リスニングセクションのスコアアップを目指しましょう。

