帰国子女が英語力を維持するには?

帰国子女が英語力を維持するには?

ビジネスのグローバル化がすすむ昨今、親の仕事の都合で海外生活を送る子どもは少なくありません。

そうした状況にある親御さんにとって、

日本に帰国したあと、子どもの英語力はどうなってしまうのか?

せっかく身に付けた英会話力を維持してほしいけど、どうしたらいいんだろう?

と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。帰国子女が現地でつちかった語学力や国際的な感覚は、貴重な財産です。

そうした経験は、近い将来、子どもたちが経験するであろう大学受験や就職活動において、きっといいアピール材料になるはずです。

子どもの英語力を維持するには、親がサポートして英語環境を整えてあげる必要があります。

そうすることで、日本にいながらでも英語力を維持することも、さらなる向上をめざすことも可能になります。

帰国後、英語環境を整える手段はいくつかあります。

帰国子女の英語力保持に苦慮している親御さんや、今後海外に転居し子どもが帰国子女になる可能性がある親御さんは、この記事をぜひ参考にしてください。

今回は、帰国子女の英語力保持に役立つ情報について、くわしく解説します。

海外での教育と子どもの努力

海外での教育と子どもの努力

「帰国子女」とは、親の仕事の都合などで長期間海外で過ごしたのち、帰国した子どものことを指します。

まずは、海外において、子どもたちがどのような教育を受けて、どのようなことに奮闘していたのかを大まかに理解しておきましょう。

海外での子どもの教育

平成30年に外務省が発表した資料には、海外に長期滞在している学齢期の日本人(小学生・中学生)の総数は、平成29年時点で約82,500人いると書かれています。

地域別学齢期の在留邦人子女数
地域 人数
アジア 32,425
大洋州 2,802
北米 26,836
中南米 1,947
欧州 16,702
中東 1,100
アフリカ 759
合計 87,571

※外務省「海外在住邦人数調査統計(平成30年要約版)」より

居住した国によって状況は異なりますが、滞在先での子どもの教育は、大きく分けて以下の3つ教育機関が担っています。

日本人学校

日本人の人口が持続されている都市には、現地の日本人会や日本企業商工会が運営する「日本人学校」が存在します。

日本人が多い大都市では、高等部が設置されているところもありますが、基本的には小学校と中学校の義務教育課程の期間しか通うことができません。

日本人学校は、文部科学省の学校教育法施行規則等に則って運営される学校(在外教育施設)で、日本国内の学校と同等の学習指導要領が導入されているので、在学すれば日本国内の学校と同じ資格を得ることができます。

2021年4月時点の文部科学省情報では、世界各地に95校あります。入学条件は、その地域に居住し、日本人会の会員であることとされています。

現地の日本人会や日本企業商工会が運営する日本人学校が設置されている国名と都市は以下です。

インド ニューデリー、ムンバイ
インドネシア ジャカルタ、チカラン、バンドン、スラバヤ
シンガポール クレメンティ、チャンギ
スリランカ コロンボ
タイ バンコク、シラチャ
韓国 ソウル、プサン
中国 北京、天津、広州、深圳、上海、蘇州、杭州、大連、青島
香港 香港、大埔
台湾 台北、台中、高雄
パキスタン イスラマバード、カラチ
バングラディシュ ダッカ
フィリピン マニラ
ベトナム ハノイ、ホーチミン
マレーシア クアラルンプール、ジョホールバル、コタキナバル、ペナン
ミャンマー ヤンゴン
カンボジア プノンペン
オーストラリア シドニー、パース、メルボルン
アメリカ シカゴ、ニューヨーク、ニュージャージー、グアム
アルゼンチン ブエノスアイレス
ベネズエラ カラカス
コスタリカ サンホセ
コロンビア ボゴタ
チリ サンチャゴ
パナマ パナマ
パラグアイ アスンシオン
ブラジル サンパウロ、マナウス、リオデジャネイロ
ペルー リマ
メキシコ メキシコ、アグアスカリエンテス、グアナファト
イタリア ローマ、ミラノ
イギリス ロンドン
オーストリア ウィーン
オランダ アムステルダム、ロッテルダム
スイス チューリッヒ
スペイン マドリッド、バルセロナ
チェコ プラハ
ドイツ ベルリン、デュッセルドルフ、ハンブルグ、フランクフルト、ミュンヘン
ハンガリー ブタペスト
フランス パリ
ベルギー ブリュッセル
ポーランド ワルシャワ
ルーマニア ブカレスト
ロシア モスクワ
アラブ首長国連邦 アブダビ、ドバイ
イラン テヘラン
カタール ドーハ
サウジアラビア リヤド、ジッダ
トルコ イスタンブール
バーレーン マナーマ
エジプト ギザ
ケニア ナイロビ
南アフリカ共和国 ヨハネスブルグ

海外滞在年数が長かったり、両親のどちらかが外国人であったり、といったさまざまなバックグラウンドを持つ生徒たちが切磋琢磨しながら成長することができます。

また、日本人学校の所在地にもよりますが、一般的に英語教育や現地語の学習が盛んで、英検の受験にも積極的に取り組んでいます。

インターナショナルスクール

「インターナショナルスクール」とは、外国人児童を対象とした教育施設のことで、現地政府公認の教育システムではなく、ほかの国の教育システムが導入されています。

アメリカ式、イギリス式、オーストリア式、カナダ式、シンガポール式などがあり、第一言語が英語である学校が大半です。

また、国際バカロレア(IB: International Baccalaureate)の認定を受けているスクールであれば、国際的に通用する大学入学資格を得ることができ、さまざまな国の大学へ進学することができます。

入学にあったっては、学校の母体がある出身国の生徒を優先するスクールがある一方、特定の国の生徒に偏ることがないよう制限を設けているスクールもあります。

また、入学時に選考テストがあり、場合によっては一学年下げさせられることがあります。

基本的には、授業や課外活動はすべて英語です。英語ネイティブの子どもだけではなく、さまざまな国からきた子どもと一緒に学ぶことができます。

現地校

「現地校」とは、現地の子どもたちが通う学校です。

公立・私立ともに居住している国の政府公認のカリキュラムやルールに基づいて学校生活を送り、在学すればその国の教育システムでの資格が得られます。

学校内での使用言語はその国の第一言語です。

基本的に英語圏であれば英語、フランス語圏であればフランス語、中国語圏であれば中国語で、その国の歴史や地理なども現地語で学ぶことになります。

その地域の子どもたちと一緒に過ごす時間が多くなるので、おのずと現地語や現地の文化に親しむことができます。

中には現地語だけではなく、国際共通言語である英語の教育に力を入れるなど、特色のある現地校もあります。

海外での子どもの努力

海外で居住した際の子どもの年齢や滞在年数にもよりますが、海外での居住経験がある子どもたちは、海外生活を通して、さまざまなユニークな経験をしています。

現地でどの教育機関を選択したとしても、

  • 環境への対応
  • 現地語の習得
  • 帰国後の生活を考えての日本語能力の維持

など子どもたちは多大なる努力をしているということを忘れてはいけません。

一般的に、「子どもは新しい環境に馴染みやすい」といわれますが、子どもも大人と同様、場合によっては大人以上に新しい環境に慣れるための時間が必要です。

また、日本と違い安全面に配慮が必要なエリアもあります。日本とは違う生活環境の中で、新しい生活様式に溶け込むには、不安やストレスもともないます。

そして、「大人は新しい言語を覚えるのが難しいけど、子どもは早く英語を身に付けることができる」ともいわれますが、誰しもが難なく現地語を話せるようになるわけではありません。

最初は何をいっているのかわからないところからスタートし、新しい言語を学ぶためにエキストラで特別クラスに参加したり、チューターの個別指導を受けたりしながらしだいに上達していくというケースもめずらしくはありません。

加えて、いずれは日本に帰国することを考えている家庭の場合、日本語も忘れないようにしなければなりません。

平日は、現地校やインターナショナルスクールで勉強し、週末は日本語補習校に通うという多忙な生活を送る子どもがたくさんいます。

さらに、日系の予備校に通ったり、日本の通信教育を受講したりして、高校・大学の受験対策をする子どもも少なくはありません。

帰国子女のメリット

帰国子女のメリット

日本の教育現場では、2020年度から新しい学習指導要領が導入され同要領にそった英語教育が実施されています。

新指導要領導入によって大きな変化があったのは、英語の知識・技能だけではなく、「英語で思考し判断し表現する力を身に付けるとともに、主体性を持って多様な人々と渡りあうことができる人材の育成をめざしている」という点です。

どれくらいの年数を海外で暮らして、何才くらいで日本に帰国したかにもよりますが、帰国子女にとって、英語によるコミュニケーション能力を重視する教育現場の状況は、追い風になっているといえるのではないでしょうか。

つぎに、帰国子女が海外での生活を通して習得した特性について紹介します。

外国語能力

海外でインターナショナルスクールや現地校に通学していた場合、英語や現地語で教育を受けているため、その言語に秀でています。

また、現地で現地語を使用して生活をするので、必要不可欠なコミュニケーション言語が身に付いています。

国際的な感覚

海外でインターナショナルスクールや現地校に通学していた場合、さまざまな国からきた先生やクラスメートと交流したことより、日本とは異なった生活様式、習慣、考え方を理解する能力が鍛えられています。

また、現地での生活を通して、異文化交流を盛んに行ってきた経験から、異なる価値観に対しても臆せず柔軟に対応できる度量が備わっています。

発信力・積極性・リーダーシップ力

海外のインターナショナルスクールや現地校の多くは、クラスでのディスカッションを積極的に取り入れています。

ですので、現状を分析し、自分の意見や解決策を発信する能力が鍛えられています。

また、学級会やクラブ活動などグループでの活動の機会も多く、グループ内での話し合いやディスカッションにおけるさまざまな役割を体験しています。

そのため、積極的に社会に貢献したり、団体での活動をうまく進行するリーダーシップを発揮したりする能力が備わっています。

帰国してから子どもの英語力を保持するには

帰国してから子どもの英語力を保持するには
帰国子女が現地で身に付けた英語力は大きな財産です。

英語力という財産を保持するために親が「英語は将来必ず役にたつ」ということを態度で示し、サポートしてあげることが大切です。

日本に帰国したとたんにこれまで覚えた語彙をきれいさっぱり忘れてしまうことがないよう、英語に触れる環境をできるだけ多くつくって、英語力の衰えを最小限にとどめるようにしてあげましょう。

インターナショナルスクールや国際バカロレアの認定を受けている学校に転入できれば、帰国後もたくさんの英語に触れながら学校生活を送ることが可能です。

しかし、住んでいる地域や家庭の事情によっては、そのような学校にアクセスできないケースが考えられます。

よって、今回は学校以外の環境で、子どもの英語力を保持するための選択肢と主な関連機関を紹介しますので、参考にしてください。

帰国子女の英語力保持に特化したスクール

帰国子女が海外で身に付けた英語力を保持することを目的として、ハイレベルな学習サービスを提供しているスクールがあります。

そうしたスクールでは、

  • フォニックス
  • 基本的な英文法知識
  • 宿題のサポート
  • 英会話のブラッシュアップ
  • 帰国子女枠での中学・高校・大学入試対策
  • 英検などの英語の資格試験対策
  • 海外の大学進学のための準備講座

など、さまざまなコースを用意しています。

帰国子女の英語学習状況は人それぞれですので、スクール側と相談しながらお子さんにとって効果的なコースで学習をすすめましょう。

通学型のレギュラーコースだけではなく、夏期・冬期・春期などの休暇時期のみに集中的に学習するコースもあります。

そのようなコースなら、その期間だけ遠方から赴くという方法を採ることができます。

また、自宅などからオンラインで受講できるコースなら、日本のどこに住んでいても受講できます。

帰国子女に特化したコースのあるスクールを以下の表にまとめました。

海外子女教育振興財団 / JOES

スクール名 海外子女教育振興財団 / JOES
(帰国子女特化型スクール)
対象 帰国子女
先生 ネイティブ講師と日本人講師がメイン
通学コースの拠点 首都圏、中部、関西など9教室
その他コース 夏期講習、オンライン教室など
URL https://www.joes.or.jp/kojin/hoji

スクール名 海外・帰国子女教育専門機関 / JOBA
(帰国子女特化型スクール)
対象 帰国子女
先生 ネイティブ講師と日本人講師がメイン
通学コース 首都圏2教室
その他コース ・中学入試対策
・高校入試対策
・大学入試対策
・夏期講習
・春期講習
・冬期講習
・オンライン教室など
URL https://joba-jp.jolnet.com/

グローバルステップアカデミー画像

スクール名 Global Step Academy
(インターナショナルスクールのアフタースクール) 
対象 未就学児から小学生まで
先生 ネイティブ講師がメイン
通学コースの拠点 首都圏2教室
その他コース ・夏期講習
・春期講習
・冬期講習
・オンライン教室など
URL 公式サイト

スクール名 スモールワールドオンライン英会話
(子ども専門のオンライン英会話教室)
対象 帰国子女、インター生向けなど
先生 日本人講師がメイン
通学コースの拠点 なし
その他コース オンライン教室
URL https://www.sma-world.com/wte/infor/

リップル英会話

スクール名 リップル英会話
(子ども専門のオンライン英会話教室)
対象 3歳から高校生まで
先生 フィリピン人講師がメイン
通学コースの拠点 なし
その他コース オンライン教室
URL 公式サイト

帰国子女のサポート機関からのアドバイス

帰国子女をサポートする団体があります。

帰国後の英語力保持についてだけではなく、進学を希望する学校の受験資格や学校生活への適応問題など、帰国子女の教育に関する専門相談員から、直接アドバイスを受けることが可能です。

また、似たような境遇の海外生活をへて、帰国した親たちが運営するボランティア団体や情報交換ができるオンラインサイトもあります。

こちらでは、帰国後の学校選びや教育上の悩みといった帰国子女が共通して体験する出来事を共有しているので、その中にはきっとヒントになる体験があるはずです。

もし個別に相談をしたい場合は、個別セッションを設定してくれる場合もあります。帰国子女をサポートしている主な団体は以下のとおりです。

海外子女教育振興財団 / JOES

団体名 海外子女教育振興財団 / JOES
海外子女・帰国子女の教育の振興を図るために設立された財団法人
相談担当者 帰国子女を多数受け入れている学校の元教員、
海外駐在員を多数擁する企業の教育相談員経験者など
相談費用 企業・団体会員の家族の場合無料、それ以外は6,000円
URL https://www.joes.or.jp/kojin/sodan

フレンズ帰国生母の会

団体名 フレンズ帰国生母の会
海外在住経験のある母親たちのボランティア団体
相談担当者 海外在住経験のある母親
相談費用 個別相談は要問合せ
URL http://fkikoku.sun.bindcloud.jp/index.html

関西帰国生親の会

団体名 関西帰国生親の会
海外在住経験のある親たちのボランティア団体
相談担当者 海外在住経験のある母親
相談費用 メール相談(無料)
URL http://www.ne.jp/asahi/kakehashi/kikoku/

駐妻カフェ

団体名 駐妻カフェ
海外赴任に帯同する家族に対し有益な情報と交流の場を提供
相談担当者 現役駐在員の妻または駐在経験者の妻
相談費用 個別相談は要問合せ
URL https://cz-cafe.com/

日々の努力も必要

専門講師のクラスを受講したり、経験豊富な指導員からアドバイスを受けたりするのは効果的ですが、子ども自身の日々の努力も重要です。

英語力を保持するには、定期的に英語の本を読むことで、語彙力や読解力が培われます。

子どもの年齢に応じて、英語の絵本、童話、小説、新聞などを読むように促し、そして、その感想を話したり書き出したり、アウトプットするように導きましょう。

また、その日あった出来事を英語で話したり、英語で日記を付けたりするようにリードするのも大事です。

そうした日々の努力を少しずつつみ重ねることが、英語力の保持と成長につながります。

まとめ

本記事では、帰国子女の英語力保持に役立つ情報について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

帰国子女が海外生活でつちかった特性まとめ

・すぐれた外国語能力
・グローバル社会で活躍できる国際的な感覚
・自分の考えを発信し、組織に貢献できる積極性やリーダーシップ力

帰国子女が英語力を保持する手段まとめ

・帰国子女に特化した英会話スクールを利用する
・帰国子女サポート機関に相談し、アドバイスを受ける。
・定期的に英語の本を読み、その感想をアウトプットするなど地道な努力も必要。

海外生活を通して、お子さんが培った英語力はのちの人生できっと役に立ちます。

帰国後に英語力をキープするには、親御さんのサポートが大切ですので、今回紹介した情報を参考に、海外生活で培った能力の保持に活かしてください。