英検(実用技能英語検定)は、年に3回実施される国内最大規模の英語検定試験です。
実力試しや、受験や就職を有利にするために、毎年多くの人が受験しますが、「各級のレベルや対策法がよく分からない…」と感じている人は多いのではないでしょうか。
英検で合格を狙うには、受験する級のレベルを把握した上で、徹底した対策を講じる必要があります。
そこで本記事では、
- 英検の試験情報
- 各級ごとの英語レベル
- 各級ごとの対策・勉強法
- 効果的に学習するためのポイント
これら4つについて詳しく解説します。英検を受験予定の方や、受けようかどうしようか迷っている方は参考にしてください。
目次
英検の試験情報
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まずは、英検を初めて受験するという方に向けて、英検の試験情報を紹介します。
「実用技能英語検定」の通称。公益財団法人・日本英語検定協会によって年3回実施される国内最大規模の英語検定試験のこと。
レベルはもっとも簡単な5級から、4級、3級、準2級、2級、準1級、最難関の1級まで7つに分かれており、自分の英語レベルや目標に合わせて、どの級からでも受験することが可能です。
英検の受験料
英検の受験料は、級によって異なります。本会場で受験した場合の受験料を表にまとめましたので、参考にしてください。
受験料(税込) | |
---|---|
1級 | 1万2600円 |
準1級 | 1万500円 |
2級 | 9700円 |
準2級 | 9200円 |
3級 | 7900円 |
4級 | 4900円 |
5級 | 4500円 |
※2021年2月現在
英検のテスト日程
英検は受験する級にかかわらず、年に3回実施されます。
- 第1検定:6月(一次試験)、8月(二次試験)
- 第2検定:10月(一次試験)、11月(二次試験)
- 第3検定:1月(一次試験)、2月(二次試験)
具体的な日程については、英検の公式ホームページで確認できます。
テスト日の約3ヶ月前からが申し込むことができますので、受験のチャンスを逃さないように、時間に余裕を持って申し込んでおくといいでしょう。
英検1級~5級の英語レベルの目安とは?
続いて、各級ごとのレベルの目安を紹介します。英検は、自分の実力や目的に合わせてどの級からでも受験することができますので、受験する級を決める際の参考にしてください。
レベル目安 | |
---|---|
1級 | 大学上級程度 |
準1級 | 大学中級程度 |
2級 | 高校卒業程度 |
準2級 | 高校中級程度 |
3級 | 中学卒業程度 |
4級 | 中学中級程度 |
5級 | 中学初級程度 |
英検1級のレベル
英検で最も難しい級である英検1級のレベルは、「大学上級程度」です。
TOEICで900点以上を取得するよりも遙かに難易度が高いと言われており、取得にはかなり高い英語力と徹底した対策が必要です。
実際に英検の公式ホームページには、「英検1級は、世界で活躍できる人材の英語力を証明する」と記載されています。
英検準1級のレベル
英検準1級のレベルは、「大学中級程度」です。英検で2番目に難しいレベルですので、合格には高い英語力が必要です。
具体的には、エッセイ形式の英作文の問題が出題されるなど、社会生活で必要となる「実践的な英語力」を身につけていることが求められます。
英検2級のレベル
英検2級のレベルは、「高校卒業程度」です。日常生活の域を超え、医療やテクノロジーなど社会性の高い英文を理解し使いこなせる程度の英語力が必要です。
準2級までの級と比べて難易度がグンと上がることもあり、取得していると国内の入試や海外留学、ビジネスシーンなどにおいて高く評価されます。
英検準2級のレベル
英検準2級のレベルは、「高校中級程度」です。日常生活で使われる英語に加え、教育や科学などを題材とした長文も出題されます。
文部科学省によって「高校卒業段階の英語力の目標達成」に設定されていますし、センター試験と問題形式が似ていることから、大学入試対策としても有効な試験です。
英検3級のレベル
英検3級のレベルは、「中学卒業程度」で、文部科学省によって「中学卒業段階の英語力の達成目標」に設定されています。
英検5級、4級との最大の違いは、二次試験(面接形式のスピーキングテスト)が実施されることです。
英語のリスニングとリーディングスキルに加えて、実際に対面で英語を話す力も必要となります。
英検4級のレベル
英検4級のレベルは、「中学中級程度」です。5級と比べて、より実践的な英語力が求められますが、出題形式や難易度に関しては大きな違いはありません。
英検5級のレベル
英検5級のレベルは、「中学初級程度」です。家族や趣味、スポーツなど身近な話題に関する初歩的な英語を理解し、使える程度の英語力が求められます。
英語の学習を始めたばかりの小学生や中学生が、最初の目標として掲げるのに最適なレベルです。
各級ごとの合格するための対策・勉強法を解説!
ここまでで、英検1級~5級のレベルについて紹介しました。そこで次に、実際に英語の受験を控えているという人に向けて、各級の試験内容と、合格するための対策と勉強法を詳しく解説します。
英検1級の対策・勉強法
英検で最も難しい1級の試験内容と対策・勉強法を見ていきましょう。
測定技能 | 形式 | 問題数 |
---|---|---|
リーディング | 短文の語句空所補充 | 25 |
長文の語句空所補充 | 6 | |
長文の内容一致選択 | 10 | |
ライティング | 英作文 | 1 |
リスニング | 会話の内容一致選択 | 10 |
文の内容一致選択 | 10 | |
Real-Life形式の内容一致選択 | 5 | |
インタビューの内容一致選択 | 2 | |
スピーキング (二次試験) |
自由会話 | – |
スピーチ | 1 | |
Q&A | – |
英検1級はかなり難易度が高く合格するのは容易ではありません。たとえ英検準1級程度の実力があったとしても、合格には50時間以上の勉強時間が必要です。
具体的には、次のような徹底した対策が欠かせません。
- 専門性の高い英単語の学習
- 二次試験の「スピーチ」の練習
英検1級では、英検準1級よりも遙かに多い語彙数が必要となります。また、専門性の高い単語が多く登場するため、英検準1級程度の実力があっても、徹底した語彙力強化が必要です。
また、英検1級の二次試験は、準1級までのスピーキングテストと比べものにならないほど難易度が高いため、専門的な対策を講じておかなければ、合格はままなりません。
スピーチテストでは、社会性の高いトピックについて、その場でスピーチの流れを組み立てて発表しなければなりません。
ただ英語を話せることだけでなく、「相手に伝える力」や「話の筋が通っているか」なども評価されるので、練習量が合否のカギを握ります。
過去問題集や予想問題集を活用して、何度もスピーチの練習を行いましょう。
英検準1級の対策・勉強法
英検準1級の試験内容は以下の通りです。
測定技能 | 形式 | 問題数 |
---|---|---|
リーディング | 短文の語句空所補充 | 25 |
長文の語句空所補充 | 6 | |
長文の内容一致選択 | 10 | |
ライティング | 英作文 | 1 |
リスニング | 会話の内容一致選択 | 12 |
文の内容一致選択 | 12 | |
Real-Life形式の内容一致選択 | 5 | |
スピーキング (二次試験) |
自由会話 | – |
ナレーション | 1 | |
受験者自身の意見を問う質問 | 4 |
英検準1級のライティングセクションでは、エッセイ形式の英作文の問題が出題されます。そのため、リーディング・リスニングの対策に加え、ライティングに重点を置いた対策を講じる必要があります。
具体的には、次の2つの対策が効果的です。
- 日常的に英語を読み・聞きする機会を設ける
- エッセイで使えるテンプレートを用意する
まず、英検準1級に合格するためには、英検に特化した対策を講じることはもちろん、日常的に英語に触れ「実践的な英語力」を身につけることが重要です。
英検準1級の参考書や過去問題集に限らず、洋画や海外ドラマ、英語のニュース記事などを積極的に活用するといいでしょう。
また、エッセイ形式の英作文はしっかりと専門的な対策を講じておかないと、たとえ高い英語力があっても高得点を狙うことは容易ではありません。
ですので、「序論」「本論」「結論」と筋の通った文章を短時間で書けるように、あらかじめテンプレートを用意しておきましょう。
英検2級の対策・勉強法
続いて、英検2級を受験予定の方に向けて、英検2級の試験内容と対策・勉強法を紹介します。英検2級の試験内容は以下の通りです。
測定技能 | 形式 | 問題数 |
---|---|---|
リーディング | 短文の語句空所補充 | 20 |
長文の語句空所補充 | 6 | |
長文の内容一致選択 | 12 | |
ライティング | 英作文 | 1 |
リスニング | 会話の内容一致選択 | 15 |
文の内容一致選択 | 15 | |
スピーキング (二次試験) |
音読 | 1 |
パッセージについての質問 | 1 | |
イラストについての質問 | 1 | |
受験者自身の意見など | 2 |
英検2級に合格するためにおすすめの対策・勉強法は次の3つです。
- 4技能をバランス良く身につける
- 過去問題集を繰り返し解く
- 英語を話す練習をする
まず、英検2級に合格するためには、各技能において「6割以上の正答率」が必要です。そのため、一つでも苦手分野があると合格する可能性が低くなってしまいます。
そこで、自分の弱点を見つけるために過去問題集を活用することをおすすめします。過去問題集を解いて見つけた自分の弱点は、単語帳や参考書などを活用して、徹底的に補強しましょう。
また、英検2級の二次試験では、実際に面接官と英語でコミュニケーションを取る必要があります。
英語を話せる友人やオンライン英会話などを積極的に活用して、普段から英語を話す機会を作るように心がけましょう。
英検準2級の対策・勉強法
英検準2級の試験内容は以下の通りです。
測定技能 | 形式 | 問題数 |
---|---|---|
リーディング | 短文の語句空所補充 | 15 |
会話文の文空所補充 | 5 | |
長文の語句空所補充 | 10 | |
長文の内容一致選択 | 7 | |
ライティング | 英作文 | 1 |
リスニング | 会話の応答文選択 | 10 |
会話の内容一致選択 | 10 | |
文の内容一致選択 | 10 | |
スピーキング (二次試験) |
音読 | 1 |
パッセージについての質問 | 1 | |
イラストについての質問 | 2 | |
受験者自身の意見など | 2 |
英検準2級は、英検3級と出題形式がよく似ていますが、難易度はグンと上がります。英検準2級に合格するための対策は次の3つです
- 過去問題集で問題演習
- 苦手分野を補強する
- より実践的な英語力を身につける
英検準2級では、英検3級と比べてライティングの文字数が増えたり、二次試験の面接時間が1分間長くなったりと、「実践的な英語力」が求められます。
そのため、普段から英文を読んだり、英語の音声を聞いたりして、より実践的な英語力を身につけることをおすすめします。
また、過去問題集を繰り返し解き、自分の弱点を見つけることも重要です。
英検は総合得点ではなく、リーディング、リスニング、ライティングの各技能の正答率で合否が決まるため、得意分野を伸ばすことだけでなく、苦手分野の補強にも取り組むといいでしょう。
英検3級の対策・勉強法
続いて、英検3級の試験内容を以下の表にまとめました。
測定技能 | 形式 | 問題数 |
---|---|---|
リーディング | 短文の語句空所補充 | 15 |
会話文の文空所補充 | 5 | |
長文の内容一致選択 | 10 | |
ライティング | 英作文 | 1 |
リスニング | 会話の応答文選択 | 10 |
会話の内容一致選択 | 10 | |
文の内容一致選択 | 10 | |
スピーキング (二次試験) |
音読 | 1 |
パッセージについての質問 | 1 | |
イラストについての質問 | 2 | |
受験者自身のことなど | 2 |
英検3級からは、4級と5級になかった「ライティング」と「二次試験(面接形式のスピーキングテスト)」が加わります。
レベルは「中学卒業程度」ですが、4級・5級と比べてより本格的な試験対策を行っておく必要があります。英検3級に合格するために効果的な対策は次の3つです。
- 過去問題集を本番さながらの形式で繰り返し解く
- 単語帳を使って語彙力を強化する
- 一次試験合格後、模擬面接を受ける
まず、英検3級の過去問題集を時間を測って本番さながらに解いてみましょう。そうすることにより、「時間配分」と「得意・苦手分野」を明確に把握できるようになります。
模試テストをすると同時に、英検3級の頻出英単語を網羅した単語帳を使って、語彙力の強化も忘れずに行ってください。
通学時間や昼休みなどのスキマ時間を積極的に活用して、コツコツと語彙を増やしましょう。
また、一次試験に合格した後は、面接形式のスピーキングテストの対策に専念しましょう。
学校の先生や英語を話せる家族や友人などに面接の練習をしてもらうと、本番でリラックスして英語を話せるようになります。
英検4級の対策・勉強法
続いて、英検4級の試験内容と対策・勉強法を紹介します。英検4級の試験内容は以下の通りです。
測定技能 | 形式 | 問題数 |
---|---|---|
リーディング | 短文の語句空所補充 | 15 |
会話文の文空所補充 | 5 | |
日本文付き短文の語句整序 | 5 | |
長文の内容一致選択 | 10 | |
リスニング | 会話の応答文選択 | 10 |
会話の内容一致選択 | 5 | |
文の内容一致選択 | 10 | |
スピーキング | 音読 | 1 |
パッセージについての質問 | 2 | |
イラストについての質問 | 1 | |
受験者自身のことなど | 1 |
試験内容は英検5級とよく似ていますが、英検5級よりもやや長い文章が出題されます。英検4級に合格するための対策は、次の2つです。
- 中学の教科書に登場する単語やフレーズを覚える
- 中学校で習う英文法を理解する
英検4級のレベルは、「中学校中級程度」ですので、中学校レベルの英単語と英文法を学習・復習することで、効果的な対策ができます。
すでに英検5級に合格している、または英検5級程度の実力がある場合、15~20時間程度の勉強時間で合格を狙えます。
中学校レベルの英単語と英文法を中心に、英語の基礎をしっかりと固めることを目標に勉強に励みましょう。
英検5級の対策・勉強法
英検5級の試験内容は以下の通りです。
測定技能 | 形式 | 問題数 |
---|---|---|
リーディング | 短文の語句空所補充 | 15 |
会話文の文空所補充 | 5 | |
日本文付き短文の語句整序 | 5 | |
リスニング | 会話の応答文選択 | 10 |
会話の内容一致選択 | 5 | |
イラストの内容一致選択 | 10 | |
スピーキング | 音読 | 1 |
パッセージについての質問 | 2 | |
受験者自身のことなど | 1 |
英検5級に合格するための効果的な対策としては、次の3つが挙げられます。
- 英検出題形式に慣れる
- リーディングとリスニングの基礎を学習する
- 音読の練習をする
まず、英検5級を受験する人の多くは、「英語の試験を受験するのが初めて…」という人でしょう。ですので、まずは難しく考えすぎず、英検の出題形式や時間配分などに慣れることを目標に学習を進めましょう。
英検の公式ホームページに掲載されている、過去3年分の問題を実際にやってみると、英検5級の試験内容や英語レベルがよく分かるのでおすすめです。
出題形式や難易度を把握したら、英検5級で求められる「中学初級程度」の英語力を身につけることを目標に、リーディングとリスニングの基礎を学習しましょう。
また、録音式のスピーキングテストでは、マイクに向かって英文を音読する必要がありますので、普段から英文を声に出して読む練習をしておくといいでしょう。
英検合格に向けて効果的に学習するためのポイント
ここまで各級ごとに合格するための対策・勉強法を紹介しました。最後に、効果的に学習を進めるためのポイントを2つ紹介します。
まずは頻出単語をマスターする
英検を受験することを決めたら、まずは頻出単語の学習から始めることをおすすめします。その理由は、知っている英単語の数が増えると、読んだり聞いたりした英語がよく理解できるようになるからです。
また、先に頻出単語をマスターすれば、リーディングやリスニングなどといった分野の学習をより効率的に進められるようになります。
過去問や予想問題集を活用する
英検を受験する際は、過去問題集や予想問題集を必ず1冊は入手して、繰り返し解くことをおすすめします。実際に出題形式に沿った問題を解くことにより、次のようなメリットが得られます。
- 自分の現時点での実力が分かる
- 自分の弱点が分かる
- 出題傾向がつかめる
- 受験する級の難易度を理解できる
参考書を読んだり、単語を覚えたりすることも重要ですが、実際に問題を解くことでしか学べないことはたくさんあります。
英検の過去問題集は、書店や通販サイトにて手軽に購入することができますので、受験を決めたらぜひ早めに手に入れてください。
まとめ
本記事では、英検の試験情報や各級ごとのレベル、対策・勉強法について解説しました。合格を狙うためには、自分が受験する級の難易度を知り、徹底した対策を講じることが重要です。
英検を受験する際は、この記事で紹介した各級ごとのレベルと対策・学習法を参考に、一発合格を狙いましょう。
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コンテンツ監修者:朝倉 浩之
英検・受験指導専門家として大学や私学、予備校にて15年で延べ3000人以上の生徒へ指導。中学校教諭一種免許状(外国語)及び高等学校教諭一種免許状(外国語)保有。