TOEICと英検の特徴は?迷っているならTOEICを受験するのがおすすめ

TOEICと英検の特徴は?迷っているならTOEICを受験すべし

「TOEICと英検の違いは?」
「どちらの方が難しい?」
「どちらを受けるべき?」

この記事ではこのような疑問をお持ちの方に、TOEICと英検それぞれの特徴を解説するとともに、それぞれの受験対策についても紹介します。

※なお、この記事でのTOEICは原則『TOEICR Listening & Reading Test』を表します。

YouTube動画で資格について詳しく解説

英検?それともTOEIC?TOEFLとIELTSは受けるべき?

TOEICと英検の主な違い

TOEICと英検、それぞれの特徴を見ていく前に、大まかな違いを一覧表で確認しましょう。
なお、いずれも2020年7月現在の情報を基にしています。

TOEIC 英検
テスト結果 スコア方式 合否判定方式
テスト形式 全問マークシート マークシート+記述+面接
年間開催数 10回 3回
受験料 6,490円 3,000~10,300円
(級により異なる)
有効期限 無期限※1 無期限※2

※1: スコアの有効期限自体に明記はありませんが、公式認定証については試験日から2年以内に限って発行可能。(参考:TOEIC公式サイト

※2: 取得した級は半永久的に有効ですが、留学に活用する場合の有効期限は合格証明書発行日から2年間。(参考:英検公式サイト「よくあるご質問」

TOEICのスコアと英検の級について

次に、それぞれの検定の難易度をイメージしていただくために、点数比較表を掲載しました。

単純にそれぞれのスコアと級を比較することはできませんが、CEFR※という共通の指標を使って比較することができます。

点数比較表
CEFR TOEIC 英検
C1 945 1級
B2 785 準1級
B1 550 2級
A2 225 準2級
A1 120 3?5級

上の点数比較表から分かるように一概にどちらが難しいということは言えません。

ただし、後ほど解説しますが対策のしやすさという点ではTOEICに分があります。

※CEFRとは
Common European Framework of Reference for Languagesの略称で、ヨーロッパ言語共通参照枠などと訳されます。
欧州内の人材流動化にともなって、人材の適正な言語力評価を欧州統一基準で行う目的などから作られた枠組みです。
引用:TOEIC公式サイト「TOEICR Program各テストスコアとCEFRとの対照表」

履歴書には何点・何級から書ける?

TOEICや英検はどのレベルから履歴書に書けるのか、あるいは書くべきでしょうか。

基準はありませんが、一般的にはTOEIC600点、英検2級以上であれば履歴書に書いても良いと言われています。

英検の公式WEBサイトでも「履歴書で評価される」と明記されています。
(参考:英検公式サイト「各級の目安」
ただし、これはあくまで目安であり、これより低い場合は書いてはいけないということではありません。

TOEICの受験歴がありスコアを持っている、または英検のいずれかの級に合格していれば履歴書に記載することができます。

しかし、英語を使う仕事に就きたい場合は、上に書いたスコア以下ならむしろ「英語力がない」と捉えられかねません。

例えば、2004年の文部科学省の調査によると、富士通の海外赴任・国際業務担当者に求めるTOEICスコアは730以上でした。

何点・何級以上なら評価に繋がるという基準はないので、応募資格などに明記されていない限りは、できるだけ上のレベルを目指すしかないというのが現状です。

TOEICの特徴

TOEICの特徴

TOEICと英検の大まかな特徴を見たところで、ここからはTOEICと英検のそれぞれの詳細について解説いたします。

まずは、TOEICについてです。

TOEICの特徴を表すキーワードは、次の2つです。

  • ビジネス
  • リスニングとリーディングのみ

それぞれ順に見ていきましょう。

ビジネス英語に強いTOEIC

「知識・教養としての英語ではなく、オフィスや日常生活における英語によるコミュニケーション能力を幅広く測定します。」
引用:TOEIC公式サイト

公式サイトに記載されているとおり、TOEICではビジネスに関わる問題が多く出題されます。

そのため、就職や転職の際に持っていると有利になる場合があります。

問題の内容は、リスニング・リーディングともに、ミーティングの内容や出張の手続きに関するやり取りを把握するものなどが出題されます。

また、問題形式としては全問マーク式ではあるものの、リスニングは約45分で100問、リーディングは75分で100問と大量の問題に答える必要があります。

その問題数の多さから、初・中級者にとっては全問解答すること自体が難しい試験となっています。

加えて、リーディングにおいては、単に文章を読んで内容把握に関する設問に答えるだけでなく、チラシや掲示板、メールなど、実生活で経験するシチュエーションから必要な情報を素早く読み取って解答する必要があります。

テストの一例

次の例題はTOEICの公式WEBサイトに掲載されているリーディングテストの一部を抜粋したものです。

テストの一例
問題引用:TOEIC公式サイト「サンプル問題」

一般的な長文読解形式の問題も出題されますが、このようなチャット形式の画面から設問の根拠に該当する部分を把握して解答する形式の問題も多数出題されます。

TOEICでは、その問題数の多さからじっくりと時間をかけて解答している時間がないので、高スコアを取るためにはこのような問題は1分程度で解く必要があります。

TOEICで高スコアを取るためのポイント

これらのことから、TOEICで高スコアを取るためには、

  • ビジネスシーンにおけるボキャブラリーや表現に精通している
  • 高い情報処理能力を持っている

上記の2つが求められています。

したがって、TOEICで高スコアを取得していれば、ビジネスで使える英語力を持っていると見なされます。

出題範囲はリスニングとリーディング

TOEICのもう1つの特徴は、試験内容がリスニングとリーディングのみであるという点です。

これは、「TOEICR Listening & Reading Test」(以下、TOEIC L&R)という正式名称そのままという感じです。

また、スピーキングとライティングのテストである「TOEICR Speaking & Writing Tests」(以下、TOEIC S&W)もありますが、このTOEIC S&Wは2006年から実施されているテストで歴史が浅いこともあり、一般的な知名度はまだ高くありません。

リスニングとリーディングのみの試験であることのメリットの1つに、独学で対策しやすいということが言えます。

スピーキングもライティングも自分自身でフィードバックをすることは不可能ではありませんが、効率的に行うことは非常に困難です。

一方でリスニングとリーディングは「ひとりで」学習を進めることが容易なため、隙間時間で英語学習に取り組むことができたり、英会話教室に通う必要がなかったりするため、経済的にも学習を始めるハードルが高くありません。

英検の特徴

英検の特徴
英検の特徴を一言で言えば、TOEICとは対照的ということです。
特徴は下記の2点です。

  • ビジネスシーンのみならず、幅広い社会生活で必要とされる英語力が求められる
  • スピーキングとライティングを含めた4技能のテストである

以下で詳しく解説します。

英検は英語における総合力が必要

英検で1級に合格するために必要な語彙数は少なくとも1万語以上とされています。

一方のTOEICで900点以上を取るには、英検と同程度の語彙数が必要とされていることから、覚えるべき単語数に顕著な差はありません。

しかし、級ごとにレベルが異なるとは言え、英検の出題分野は幅広く、医療や生物、環境などに関する設問があるので、日頃から身の回りで使われるものや事象について、英語で理解できるようにしておく必要があります。

ただし、最上級の1級でも100分の筆記試験が、41問のリーディングテストと1問のライティングテストで構成されており、仮に45分をライティングに費やしたとしても、残りの55分で41問の設問に答えればいいことになりますので、75分で100問答えなければならないTOEICに比べると大幅に設問数が少ないことが分かります。

このことからTOEICが英語による情報処理能力を求めているのに対して、英検は英語における正確な理解能力が求められていると言えます。

スピーキング・ライティングのテストがある

2つ目の特徴に関しては読んで字のごとくですが、スピーキングとライティングのテストという英語におけるアウトプットの能力も必要になるため、TOEICに比べて独力での対策が難しくなっています。

そして、これら2つの特徴に加えて、実は英検はセンター試験との出題傾向に類似性が見られ、得点に相関関係があるという調査報告があります。

英検が文部科学省の後援で実施されていることなどからも、学校教育との親和性が高いことが分かり、センター試験から大学入学共通テストに移行後も、英検対策をすることが大学受験対策に有効であると予想されます。

TOEICを受けるべき人、英検を受けるべき人

TOEICを受けるべき人、英検を受けるべき人
これまでの解説からTOEICを受けるべき人は、

  • 就職を控えている
  • 国際的な業務への転職を検討している
  • TOEICの受験、あるいは高スコアの取得を通じて、ビジネスにおける実践力の向上、またはキャリアアップを図りたい

以上のような方であると言えます。

また、英検については、

  • 大学受験を控えている
  • スピーキング、ライティングを含めた総合的な英語力を身につけたい

上記のような方に受験をおすすめします。

一方で、英語学習に特定の目的がない、あるいは目的はあるが効率的に学習を進めるためにTOEICもしくは英検の受験を考えているという方には、現時点での英語力に応じてどちらを受けるべきかを判断する方法を以下に紹介します。

今の英語力を確認する方法とその後の学習方針

まずはじめに、今の英語力を確認する具体的な方法は、TOEICのサンプル問題を解くことです。

TOEICのサンプル問題は、リスニング・リーディング、いずれもTOEICの公式WEBサイトで見ることができます。
全ての問題に解答がついているので、正答率を出してみてください。

正答率が5割以上であれば、TOEIC対策に取り組む下地ができていますので、TOEICの受験をおすすめします。

一方で正答率が5割に満たなかった場合や、そもそも問題文の意味が分からないという方は、基礎的な英語力が養われていないと考えられます。

その場合、英検準2級以下の対策から取り組むか、あるいは中高生向けの英単語帳や文法書を利用して、まずは英語力の基礎固めをすると良いでしょう。

なぜ5割が基準なのか気になる、という方は次の「TOEIC正答率の5割がなぜ基準になるか」を、TOEIC受験、あるいはその対策を通じた英語学習の基本的な方針をすぐに知りたい、という方は「英語学習におけるTOEIC利用のすすめ」をご覧ください。

なお、TOEICのサンプル問題の正答率が9割以上だったという方は、TOEIC S&Wか英検1級の受験を検討してみてください。

なぜTOEIC正答率の5割が基準なのか

英語力の基礎があるかどうかを判断する基準として、なぜTOEIC正答率の5割がボーダーラインになるのか。

簡潔に言うと、TOEICの問題で5割以上取ることができれば、高校卒業程度の英語力があると見なすことができるからです。

なぜなら、英検における各級の目安として2級が高校卒業程度として設定されており、これは「TOEICのスコアと英検の級について」で紹介したCEFRではB1レベルにあたります。

CEFRのB1レベルは分かりやすく言うと、「中の下」であり、TOEICでは550点以上と位置づけられています。

これらのことからTOEICで5割以上正答することができるのであれば、高校卒業程度、つまり基礎的な英語力が身についていると見て差し支えありませんし、加えてTOEIC対策をすることが効果的な英語学習を進めることに繋がると期待されます。

英語学習におけるTOEIC利用のすすめ

英語学習を進める上で何かしらの検定試験を目標にすることは非常に効果的であると言えます。

それは、その試験をとりあえずのゴールに定めると、学習プランを立てやすくなるからです。

例えば、「試験がこの日にあるから、逆算してこの教材を1日につき何ページ進めて1週間前には終わらせよう。そして、試験直前の1週間前はひたすら過去問に取り組もう」というようなスケジュールが立てられます。

これは、計画的に学習を継続することが得意な方にとっては、メリットと感じられないかもしれません。

しかし、そういった方に対しても以下の2つの理由からTOEICの受験をおすすめします。

  • 他の試験よりも独学しやすい
  • 試験を受けやすく、学習における目標にできる

TOEICの受験をおすすめする理由の詳細については次の章以降で順番に解説します。

なぜTOEICは独学で対策しやすいのか、またそのメリット

なぜTOEICは独学で対策しやすいのか、またそのメリット

1.独学で学習しやすい

繰り返しになりますが、TOEICはリスニングとリーディングのみの試験となっています。

そのためスピーキングとライティングのようなアウトプットが必要な分野よりも第三者によるフィードバックが少なくて済むため、教材さえあれば自分のペースで学習を進めることができます。

リスニングとリーディングの学習の過程で英語力の基礎固めができれば、スピーキング・ライティングの学習にスムーズに移行できることも期待できます。

この点が、他の試験ではなくTOEIC受験をおすすめする理由であり、さらに言えば、英検とTOEICの両方を同時に受けるよりも、まずはTOEICで高スコアを取れるよう取り組むべき理由でもあります。

加えて、TOEICは一般的な知名度が高いため、他の試験よりも市販の対策教材が豊富であったり、インターネットなどで情報を集めることが容易だったりすることが、他の検定よりも独学をしやすくしています。

また、独学で対策できることのメリットとして英会話教室などに通う必要がないので、投資が少なく済むため、経済的な面でも取り組みやすいと言えます。

さらに、独学では学習が続かないなどの理由でレッスンを受けたい場合も、TOEICの対策講座を設けている英会話スクールが多いため、自分に合った勉強法を選ぶことができます。

2.試験が受けやすい

英語学習を進める上でTOEICを受けるべき2つ目の理由として、試験の受けやすさがあります。

試験が受けやすいとはどういうことでしょうか。

まず、TOEICは年間の開催数が他の検定試験よりも多いということが挙げられます。

この記事でTOEICと比較をしてきた英検は、年間開催数が3回しかありません。

対して、TOEICは年に10回も開催されています。

また、1回の受験料が6,490円と他の試験よりも比較的安価であることから、経済的にもハードルが低いと言えます。

試験の結果を受けた反省点を次の試験に活かせるスパンが短いため、短期間のうちに学習のPDCAサイクル(継続的にプロセスを改善・最適化していく手法)を効率的に回すことができます。

何よりも継続的に試験を受け、そのための対策として勉強を継続できれば、英語学習自体を習慣づけることができます。

さらに、TOEICのテスト結果がスコアで判定されることも、TOEIC受験をおすすめする理由の1つです。

合否判定ではないため、短期間のマイルストーンとして目標スコアを設定し、英語学習のモチベーションにすることができます。

順調にスコアが上がれば、具体的な数字として自分の成長を実感することもできます。

まとめ

さて、今回はTOEICと英検のそれぞれの特徴について解説するとともに、英語学習においてTOEICを利用した学習をすべき理由についても見てきました。

TOEICの主な特徴は、

  • ビジネス英語に強い
  • リスニングとリーディングのテストのみ

英検の特徴は、

  • 総合的な英語力が必要
  • スピーキングとライティングを含めた4技能のテスト

でした。

その他の細かな違いについては、冒頭に掲載した一覧表でご確認ください。

また、TOEICのサンプル問題で正答率が5割未満の初心者の方には英検準2級以下の受験、もしくはその他の学習法による英語力の基礎固めをおすすめしました。

5割以上、正答できる初・中級以上の方には、

  • 独学しやすい
  • 試験を受けやすい

という観点からTOEICの受験を通じた英語学習の方針を提案いたしました。

英語力の向上に効果があるという理由でTOEIC、あるいは英検の受験をおすすめいたしましたが、自分の目標をクリアすると純粋に嬉しいものです。

これまで、こうした検定試験を受けたことがないという方は、これを機会に受験を検討してみてはいかがでしょうか。