
留学エージェントを利用した結果、どうも自分の希望とは違うと感じることは珍しいことではありません。
しかし、いざ断るとなると、なかなか切り出しにくいという方は多いと思いますが、状況によっては断るのは当然の選択肢です。
そこで、留学エージェントを断ってもよい理由と、断る理由別の断り方を例文付きで紹介します。
目次
そもそも留学エージェントは断っても大丈夫?

留学エージェントに相談した後、利用を見送ることにした場合、断っても問題ないのでしょうか。ここでは、契約前と後で、状況によっては断っても法的にも道義的にも問題ない理由を説明します。
留学エージェントとの契約前なら断っても問題なし
留学エージェントのサービスを利用する際、まずは無料相談や見積もりからスタートするのが一般的です。この段階で断ることにはまったく問題ありません。エージェントから提案された内容に納得できるかどうか判断を下す前の段階ですので、契約前であれば、エージェントからの提案を断ることは法的に何の問題もありません。
契約が成立するためには、双方がその内容に合意することが必要です。日本の商法においては、契約は双方の合意によって成立し、片方の意志だけでは効力を発生しません。そのため、まだ契約書にサインしていない、または、合意に至っていない段階では、消費者はサービスの提供を受けない選択をする権利を持っています。この点について法律は、消費者保護の観点から明確に規定しています。
たとえば、留学エージェントが提案したプランが思っていたものとは違っていたり、予算の都合がつかなくなったりした場合でも、その時点で契約を結んでいなければ、法的な問題は何もなくキャンセルが可能です。そもそもエージェント側もそういう可能性を十分に理解していますし、キャンセルされることも想定して営業活動を行っているため、断ることに気まずさを感じる必要はまったくありません。
契約後でもキャンセルポリシーに従えばOK
契約後であっても、キャンセルポリシーに書かれている条件に適合していれば、問題なく解約できます。
真っ当な営業を行っている留学エージェントなら、契約時にキャンセルポリシーを提示しているはずです。そこには、返金の有無やキャンセル料の詳細が明記されています。たとえば、「出発の○日前までのキャンセルは全額返金」とか「出発の○日前以降はキャンセル料○%が発生」といった形で書かれています。こうした内容は契約前に説明されるため、納得したうえで契約を結んでいるはずですから、契約内容に沿ったキャンセルであれば全く問題なく契約をキャンセルできます。
断ることは悪いことではない
また、留学エージェントにキャンセルを申し出ることは、決して失礼な行為ではありません。エージェントとしては、すべての相談者が契約に至るわけではないことを理解しており、一定の割合で断られることを想定して営業しています。むしろ、迷った状態で放置されるより、早めに断りの意思を伝えられた方がエージェントとしてはありがたいでしょう。
また、断ることは自己防衛手段の一つです。本当に納得できるサービスを選ぶために、複数のエージェントを比較検討することは当然のことです。断ることに罪悪感を覚える必要はありません。納得のいく選択をしましょう。
留学エージェントの断り方を理由別に解説

予算の問題やエージェントとの相性の悪さ、他のエージェントに決めた場合など、断る理由はさまざまです。ここでは、理由ごとに具体的な断り方と、その際に使える例文を紹介します。
予算の問題で断る場合
予算が足りない場合は、素直に経済的な理由であると伝えましょう。留学には大きな費用がかかりますから、予算に対して不安を抱くことは当然のことですし、予算を理由に断れるとエージェントとしては引き留めにくくなります。無理をせず、「思っていたよりも費用が高く、今回は見送ります」と正直に伝えることが大切です。
このようにきっぱりと断ることで、エージェントに余計な期待を抱かせず、スムーズに話を終わらせることができます。
お世話になっております。
先日は留学のご相談に乗っていただき、誠にありがとうございました。
非常に魅力的なプランをご提案いただきましたが、予算を検討した結果、今回は見送らせていただくことにいたしました。
また機会がありましたら、改めてご相談させていただければと思います。ありがとうございました。
エージェントとの相性が合わなかった場合
担当者との相性が合わないと感じた場合、正直に「合わない」とは伝えにくいのではないでしょうか。ストレートに「相性が合わない」と言うと相手が感情的に反応したり、しつこく引き留めようとする可能性もあるので、なるべく穏便に、かつ、きっぱりと断りの意思を伝える必要があります。
この場合、たとえば、「他のエージェントから提案されたプランの方が自分に合っている」といった形で、担当者のせいではなく、あくまで自分の選択によるものであることを伝えるのがおすすめです。
この方法なら、エージェント側も納得しやすく、余計な摩擦を避けることができます。
お世話になっております。先日はカウンセリングをしていただき、誠にありがとうございました。
お話を伺い、大変参考になりましたが、他のエージェントから提案されたプランの方が自分の希望に合っていると感じたため、今回はそちらから提案されたプランは見送らせていただきます。
貴重なお時間をいただき、感謝しております。ありがとうございました。
他のエージェントに決めた場合
複数のエージェントを比較検討するのは一般的な行為です。他社に決めた理由を詳しく述べる必要はなく、この場合も、単に「他のエージェントの提案内容がより希望に近かったため」とだけ伝えるのがベストです。すでに決定事項であると伝えれば、エージェントにとしては引き止めようがありません。
「他のエージェントに決めた」と伝えるのは気が引けるかもしれませんが、こういうことはよくあることとエージェント側も理解していますので、気負わずに伝えましょう。
お世話になっております。先日はご提案いただき、誠にありがとうございました。
慎重に検討した結果、他のエージェントの提案内容がより希望に近かったため、そちらに決めることにいたしました。
貴重なご提案をいただき、感謝しております。また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
留学自体をやめる場合
留学自体をやめることになった場合は、それを正直に伝えるのがベストです。曖昧な理由であれば引き止められてしまうかもしれませんが、留学中止という覆らない状況を伝えれば、エージェントとしては納得せざるを得ません。
たとえば、「家庭の事情で留学を見送ることになりました」と伝えることで、相手はそれ以上踏み込んで聞きづらくなります。また、進路変更が理由の場合は、「進路が変わったため、留学は見送ります」と、再検討の余地がないことを示すとよいです。
お世話になっております。先日は留学のご相談に乗っていただき、誠にありがとうございました。しかしながら、家庭の事情により留学を見送ることにいたしました。
今後、状況が変わり再度留学を検討する際には、改めてご相談させていただくかもしれません。その際は、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
その他の理由で断る場合
もし、理由を詳細に伝えたくない場合や、プライベートな事情に触れられたくない場合は、曖昧な表現を使うのも一つの方法です。「諸事情により今回は見送らせていただきます」といった表現を使うことで、具体的な内容を明かさずに断ることができます。
ただし、曖昧な理由を使う場合、相手が深掘りしにくくなる一方で、相手に「なぜ?」と疑問を抱かせてしまうことに考慮する必要があります。相手に不必要な疑念を持たせないように、結論を先に伝えて、話を早めに切り上げるのがポイントです。
お世話になっております。先日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
諸事情により、今回の留学計画は見送ることにいたしました。また何かの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
留学エージェントを断る際の注意点

留学エージェントを断る際には、トラブルや不利益を避けるために注意が必要です。断る際に気をつけるべきポイントを詳しく解説します。
嘘をつかないこと
断ることに対する罪悪感から、嘘をついてしまうケースは少なくありません。しかし、下手な嘘では、エージェント側が「では、こうすれば問題は解決できますよ」と食い下がる原因になってしまいかねません。たとえば、「予算の都合で見送る」と伝えた場合、割引や別プランの提案を受け、話が長引くことも考えられます。
本当に断る意思があるなら、曖昧な嘘をつくよりも「他のエージェントを利用する」「今回は留学自体を見送る」といった明確な断り方をするべきです。その方が、交渉を引き延ばされることなくスムーズに話を終えられます。嘘を避け、はっきりとした意思を伝えることが、余計なやり取りをしなくて済む最善の方法です。
キャンセルポリシーの確認
契約内容によっては、キャンセル料が発生する場合があります。特に手配が進んでいる段階でキャンセルすると、エージェント側が負担した費用を請求されることがあるため、契約書を事前によく確認しておきましょう。
また、返金対応がある場合でも、タイミングによって返金額が変わることがあるため、早めに連絡しておくのが得策です。連絡方法はメールが基本ですが、急ぎの場合は電話での確認も検討しましょう。ただし、記録を残すために、最終的にはメールでのやり取りを推奨します。
特に注意すべき点は、「返金不可」や「キャンセル手数料」が明記されている場合です。契約前にキャンセルポリシーを確認し、納得したうえで契約してください。契約後にキャンセルする場合も、まず契約内容を改めて確認しておくことで不要なトラブルを防げます。
連絡は早めに行う
留学エージェントは契約が完了すると、航空券の手配やビザ申請、語学学校の予約など、多くの手続きを進めます。準備に時間がかかるものもあるため、キャンセルの連絡が遅れると余計なコストが発生する可能性があります。断りを入れるのを躊躇して連絡を先延ばしにするのは避けましょう。
早めに連絡をすれば、キャンセル料が発生する前にキャンセルできる可能性があります。特に航空券のキャンセルポリシーは厳しいことが多いため、キャンセルすると決まったら、ためらわず迅速に断りの連絡を入れましょう。迷惑をかけるのではないかと不安に思うかもしれませんが、早めの連絡こそが誠意ある対応です。
感謝の意を伝える
エージェントはあなたのために時間を割き、プランを提案してくれています。その労力に対して感謝の意を伝えることで、断る際の印象が大きく変わります。「ご提案いただいたプランはとても魅力的でしたが、今回は見送らせていただきます。ご対応いただき、ありがとうございました。」といった言葉を添えるのがおすすめです。
また、感謝の気持ちを伝えることで、今後の関係を良好に保つことができます。今回の留学は見送ることになっても、将来的にふたたび利用する可能性があるのであれば、感謝の意を示して良い関係を維持しておくことはメリットですし、ビジネスマナーとしても欠かせません。
トラブルが発生した場合は専門家に相談
断った後に、しつこい営業が続く場合や、返金に関するトラブルが発生した場合は、一人で悩まずに専門家に相談することをおすすめします。契約内容に反する対応をされた場合は、消費者センターに相談することで解決の糸口が見つかることがあります。
また、法的なトラブルに発展した場合には、弁護士に相談することを検討してください。弁護士を通じての交渉は相手に対して強い説得力を持つため、不当な請求を受けている場合は非常に有効です。
いずれにせよ、トラブルが発生した場合は一人で悩まず、専門家の力を借りましょう。
留学エージェントの断り方についてのまとめ
留学エージェントを断ることは決して悪いことではありません。正直な理由を伝え、礼儀正しく対応することで、スムーズに断ることができます。この記事で紹介した例文や注意点を参考に、自信を持って対応してください。