あなたは、英語のスピーキング力がなかなか上がらないことで悩んでいませんか。
「ある程度英語の文章は読めるし、時々英語でe-mailのやり取りをすることがある。
けれども英語を使って話をするとなると、言葉がスラスラ出てこなくてスムーズに会話ができない。」
このような話をよく耳にします。
最近は、オンライン英会話を始めとした様々な英会話レッスンがありますし、英語のスピーキング力向上を目的としたアプリも沢山あります。
ですが、どこから手を付ければ効果的にスピーキング力を上げることができるのでしょうか。
今回は、独学で、あるいはオンライン英会話で効果的に英語のスピーキング力を伸ばす方法をお伝えしていきます。
目次
スピーキング力を伸ばすポイント
英語を使って外国の人達と自然に会話ができるようになるのは、多くの日本人の夢です。
しかし、英語のスピーキング力は一朝一夕には伸びません。
特に、英語を使わなくても生活には全く支障のない日本に住んでいる方にとっては、「英語のスピーキング力を伸ばそう」と思い立ったとしても、自分でしっかり学習をしない限り、いつになってもスピーキング力は伸びないでしょう。
英語のスピーキング力を伸ばす上で大事なことは、「インプット」と「アウトプット」を効果的に行うことです。
そのためには、次の3つポイントを押さえて学習しましょう。
ポイント1:英語の音に慣れる
リスニング力がないとスピーキング力も伸びないという話を聞いたことはありませんか。
英語を話すには、相手の話をしっかり聞き取り、その内容を理解した上で話をする必要があります。
つまり、相手の話している英語がきちんと聞き取れない限り、スピーキングの力は伸びません。
また、会話の中で相手が理解できる英語の発音を習得するには、英語の音に慣れ、自分の発音を改善していくことが大事です。
ポイント2:英語の表現を増やす
次に大事なことは、使える英語の表現を増やしていくことです。
英語のスピーキングの練習をしている中で「いつも同じ表現を使うばかりで、あまり自然な英語を話すことができていないな」と感じる方はいらっしゃいませんか。
これは、多くの日本人が抱える悩みです。例えばこのようなケースです。
自己紹介などで趣味や好きなことを話す場面があったとします。
よくありがちな英会話初心者の表現は、
I like to play the piano.
(私はピアノを弾くのが好きです。)
I like to watch movies.
(私は映画を見るのが好きです。)
I like to play basketball.
(バスケットボールをするのが好きです。)
上記のように、I like to〜を使った表現を多用してしまいます。
もちろんこの表現でも相手に言いたいことは伝わります。
しかし、ネイティブスピーカーからするとくどい表現と捉えられてしまい、中には会話の途中で話を聴く気を失ってしまう人もいます。
何故ならば、英語会話で同じ表現を繰り返し使うと嫌がられるからです。
この場合、自然な英語にすると、下記のように表現できます。
I like to play the piano but watching movies is my favorite hobby as well. Also, I am really in to playing basketball.
(私はピアノを弾くのが好きだけれども、映画を見るのも好きです。また、バスケットボールをするのにも熱中しています。)
ここでは、I like to〜以外に、〜is my favoriteやI am really in to〜という表現を使って、自分の好きなことを表現しています。
このように英語のスピーキング力を上げるには、同じことを話すにしても複数の表現を使う必要があります。
ポイント3:英語をアウトプットする
もう一つ大事なポイントは、英語を話し、アウトプットすることです。
言語の学習では、できる限り学習している言語を使うことが必要です。
特にスピーキング力を高めたい方は、日常の中でできる限り英語を使って話す機会を増やしてください。
ここからは、これらの3つのポイントをどのように学習していけば良いかを紹介していきます。
英語の音に慣れるための学習方法
英語の音に慣れるために使える教材やツールは山ほどありますが、ここでは海外ドラマや映画を使った学習をおすすめします。
理由は、日常やビジネスの中で使える生きた英語を楽しみながら学習ができるからです。
ここでは、下記の2点に気を付けて学習をすることをおすすめします。
日常やビジネスの場面を描いたドラマ、映画を教材にする
どのような海外ドラマ、映画を使って学習するかは、英会話を学習する上で非常に重要です。
日本で流行っている海外ドラマ、映画ですと、FBIが絡んでくるような犯罪や、テロがテーマになっているものが多いですが、英語の学習の教材にこのようなドラマや映画は選ばないようにしてください。
何故ならば、ドラマや映画の中で描かれている世界があまりにも日常とかけ離れていて、作品の中で使われている会話は、普通の生活ではほとんど使うことがない表現が多く、日常会話に活かせないからです。
日常会話の向上を目指している方は、普段の日常生活を描いている作品を、またビジネス英会話のレベルアップをしたい方は、ビジネスに関係する内容を描いている作品を選びましょう。
海外ドラマ、映画を使った3つの学習ステップ
ただ海外ドラマや映画を英語で鑑賞するだけでは、英語の音に耳は慣れません。
ここでの学習のゴールは使われている英語の意味を理解し、聴き取ることができることです。
そのためには同じ海外ドラマや映画を最低3回は視聴し、学習サイクルを回すことが必要です。
具体的な学習ステップは下記の通りです。
ステップ1:日本語字幕を表示し、内容を理解する
初めに、ドラマや映画の内容や場面を理解するために、1回目は日本語字幕を付けて鑑賞しましょう。
これは、学習モチベーションを保つ上でも必要なステップです。
内容が分からないドラマや映画を繰り返し見て学習するのは、ただ辛いだけで面白くありません。
最初に内容を理解できていれば、「ここで使われている英語を聞いて話せるようになりたい」という学習のモチベーションにもなります。
ステップ2:英語字幕を表示。聞き取れない英語を確認する
次に字幕を英語に切り替えましょう。
ここでは、聴き取れない英語の音や分からない英語の意味を確認することがゴールです。
聴き取れない、意味が分からない英語は、一時停止をして英語字幕で英語を確認、意味の確認をしてください。
更に、聴き取れなかった部分を自分で発音をしてみてください。
大抵聞き取れない英語は、
「知らない単語」
「発音が日本人に難しいもの」
「前後の単語がつながって聞き取れない」
この3つのどれかが原因です。
単語を確認するだけでなく実際に発音を真似することで、今後同様の単語や表現に出会った時にスムーズに聴き取れるようになりますし、自分でも正しい発音でこれらの表現を使用することができます。
ステップ3:シャドーイングで英語の発音を練習する
3回目の視聴では、ドラマ、映画の英語の音に自分の発音を被せ、シャドーイングをしましょう。
この時は英語の字幕は表示してもしなくてもどちらでも構いません。
ここで一番大事なのは、ドラマや映画の中で聴いた音を真似して発音することです。
シャドーイングをすることで早口でしゃべる英語に耳が慣れ、英語の発音が定着します。
更に、日常でよく使われる表現も身に付きます。
例えば作品の中で、
I’m looking forward to seeing you.
(お会いできるのを楽しみにしています)
という表現があったとしましょう。
ある程度英語を話すことに慣れている方はスラスラこの表現が出てきます。
一方、英語を話すことに慣れていない方は、たとえこの表現の使い方を知っていたとしても、会話中にI’m looking あたりで止まってしまい、その後の表現が出てこないことがよくあります。
ですが、ドラマや映画を使ってシャドーイングを重ねていくことで、このような表現がスラスラと英会話の中でも使えるようになります。
英語の表現を増やすための学習方法
先ほど、英語の表現を増やすことは、自然な英語を話す上で重要だと例を交えてお伝えしました。
それでは、どのようにして英語の表現を増やせば良いのでしょうか。
すぐに思い浮かぶ勉強法は、英単語・英熟語の参考書を使用し、英単語や熟語の意味を一つ一つ覚えていくという方法です。
リーディング、リスニング、ライティングそれぞれの力を高めるのであれば、この勉強法はおすすめできます。
しかし、スピーキング力の向上を目指すのであれば、この勉強方法はおすすめできません。
スピーキング力を向上させるには、実際の英会話の場面で使える表現を増やすことが必要です。
英単語や熟語そのものをただ覚えただけでは、英会話をする時にどのように使ったら良いのか分からず、結局自分が普段使っている表現を多用することになってしまいます。
スピーキングで使える表現を増やすには、先ほど紹介した海外ドラマや映画の他、ポッドキャストなどの英語のニュースを使って学ぶことをおすすめします。
具体的な学習方法には下記の3つの方法があります。
聞き慣れない表現が出てきた時は一時停止をし、意味を確認
聞き慣れない単語や熟語が出てきた時は、一時停止をして意味の確認をしましょう。
例えばよくあるのが、一つ一つの単語の意味は分かるけれど、それが組み合わさって出てくるといまいち意味が分からないというケースです。
例えば、このような例です。
Hit me up!
これはドラマや映画ではよく出てくる表現です。
単語だけ見ると、自分を叩いてくれと言っているような表現にも見えますが、正しくは「電話してね!」という意味です。
この表現の意味が分からない方は、ドラマや映画の中でこの表現が使われている時に
「仲が良さそうな雰囲気なのに、なんでHit という表現を使っているのだろう?」
と疑問に思うことがあると思います。
このように、少しでも違和感を覚えた時は一時停止をして意味を確認するようにしましょう。
表現が使われていた場面と一緒に表現を覚える
新しい表現を覚える時は、表現が使われていた場面の前後の文脈と一緒に覚えることをおすすめします。
できれば、どんな文脈で使われていたかを書き留めておくとよいでしょう。
こうすることで、後から見返した時に、使われていた場面を思い出し、表現を忘れないようになります。
日常のどんな場面で使えるかを考える
これはとても大事なポイントですが、学習する上で以外と抜けてしまいがちな部分です。
英語の表現を覚える目的は、英会話の中で相手が話していることを理解し、自分の言いたいことを的確に表現することです。
ですので、覚えた表現は、「どんな場面でどのように使えるか」を考えてみるようにしましょう。
例えば、映画の中で、
I am going to hang out with Tom.
(トムと会う予定なんだ。)
という聞き慣れない表現があったとします。
その時に、このように考えてみてください。
「Hang out with〜(〜と会う)という表現は、学校の授業や会社の就業時間が終わり、自分の予定を話す時に使えそうだ。
ということは、『これから友達に会います。』と言いたい時、I am going to hang out with my friends from now. と表現すればいいということになる。」
この時、自分の英会話にどう当てはめるかは複数考えてみることをおすすめします。
そうすることで、使える場面のバリエーションが増えますし、覚えようとしている表現も定着します。
アウトプットするための学習方法
ここまでは、どのように英語の音に慣れるか、英語の表現をインプットするかを紹介してきました。
では、実際に英語をアウトプットし、スピーキング力を高めるにはどのような勉強方法があるでしょうか?
ここでは、時間や手間をかけずに気軽にできる、3つの学習方法をお伝えしたいと思います。
英語で独り言を言う
一番手軽で思いついた時にできるのが、英語で独り言を言うことです。
大抵の人は、何かをしている時、またしようとしている時に頭の中で独り言を言っています。
大抵の日本人は、日本語で考えて日本語で独り言を言っています。
しかし、この独り言を英語で考え、声に出すことで、英語のアウトプットの練習になります。
独り言の例
例えば、仕事から帰ってきて疲れている時に、
疲れたなぁ。今日は何を食べようかな。
と考えているとしましょう。これを英語で
I am exhausted. What am I going to eat for dinner.
と独り言にしてみてください。
ポイントは必ず声に出して言うことです。
声に出して英語の独り言を言うことで、英語で考えて会話をする練習になりますし、発音の練習にもなります。
この時よくあるのが、英語で独り言を言おうとした時に適切な表現が見つからないケースです。
こんな場面では、その都度辞書やネットで検索をし、適切な表現を探してみるようにしましょう。
Siriに話しかけるのもおすすめ
また、1人で独り言をブツブツ話すのには抵抗がある方は、「Siri」を使うことをおすすめします。
携帯やタブレットのSiriを英語設定にし、Siriに向かって自分の考えていることを話してみてください。
Siriが返事をしてくれますので、英会話力を向上につながります。
1日を英語で振り返る
英語で日記を付けると英語が上達すると言う話を聞きます。
これは英語のライティング力向上には非常に良い方法です。
スピーキング力を上げるのであれば、1日を振り返って英語で話してみましょう。
最初は自分が1日のうちに取り組んだことを英語で話すだけで構いません。
余裕が出てきたら、自分が何を感じたか、今日の経験を次の日や今後にどう活かしたいかも英語で表現してみてください。
これも先ほどの独り言と同様に、声に出して話すことをおすすめします。
1日の出来事を振り返って話すとなると、ある程度の長い文章を話さなくてはいけないので、話しているうちに自分の英語の癖に段々と気がつくようになります。
1日を英語で振り返る時の例
例えばよくあるのは下記のような例です。
今日は朝9時に職場に行って、3時に外出してお客様先に行った。
仕事を終えた後、同僚と夕食を食べに行って9時に帰ってきた。今日も忙しい1日だったなぁ。
と言いたい時、英語スピーキングの初心者ですと、下記のような表現になります。
Today, I went to the office at 9 AM. I went to the client’s office at 3 PM. After I finished my work, I went to dinner with my coworkers. Today was busy day, as well.
この文章でも間違いはないのですが、I went の表現が多用されていること、また文章と文章の間につながりがないため、一文一文が途切れていて不自然な英語になっています。
この場合、下記のようにうまく接続詞を使って文章をつなげると自然な表現になります。
Today, I went to the office at 9 AM and then, visited my client’s office at 3PM. After I finished my work, I enjoyed dinner with my coworkers. Let’s say it was busy day.
日本語の意味は変わりませんが、I went〜. (私は〜に行った)と言う表現を、I visited〜.(〜に訪問した) I enjoyed〜(〜を楽しんだ)という表現にしたこと。
また、文章の間を、And then(その後)やLet’s say(まぁ言って見れば〜)を付け加えることで、自然な表現にしています。
毎日繰り返すことで重複表現に気づける
「自分で話しているだけでは表現の重複等に気付けないのでは?」
という方もいらっしゃるかもしれません。
確かにその意見には一理ありますが、毎日行っていると、
「いつも同じ表現を使っているな」
「英語の文章がうまくつながっていないな」
ということに気付いてきます。
気が付いたらそのままにせず、インターネットで違う表現方法を探す、または英語が話せる友人に聞いてみるなどして、少しずつ自分の英語表現を改良していくようにしてみてください。
効果的にオンライン英会話レッスンを受講する
アウトプットの方法で最後に紹介するのは、オンライン英会話です。
いつでも、どこでも格安に利用できるとても便利なオンラインレッスンですが、オンライン英会話でスピーキング力を向上するには、目的に応じてレッスンをお願いする先生や、教材などを吟味する必要があります。
そうしないと、「ずっとオンライン英会話を受けているのに、いまいちスピーキング力が伸びない」という状態になってしまいがちです。
オンライン英会話受講の際は下記の2点に気を付けてください。
英語表現を直してくれる先生を選ぶ
オンライン英会話では、楽しく話をしてレッスンが終わるということがよくあります。
英語の初心者中の初心者は、英語を話すことを最優先にしますので、このようなレッスンでも問題ありません。
ですが、英語のスピーキング力を伸ばしたいと思っている方は、きちんと自分の英語表現を直してくれる先生を選ばないと、スピーキング力は伸びません。
受講者の口コミに、先生の良い点や特徴が記載されていることが多いので、その口コミをベースにレッスンを受講することをおすすめします。
また、ビジネス英語を伸ばしたいなど、ある程度目標がはっきりしている方は、類似の経歴を持つ先生を選びましょう。
例えば、ネイティブスピーカーだけれどもビジネスの経験がない先生だと、ビジネス英語に全く造詣がなく、希望するレッスンならないことがあります。事前によく確認してから適切な先生を選んでください。
自分の考えを話す機会が多い教材を選ぶ
オンライン英会話には、何百という英語教材がありますが、なるべく自分の考えを話す機会が多い教材を選びましょう。
よくあるロールプレイを通じたレッスンは英語表現を覚えるには良い教材ですが、スピーキング力向上には適しません。
何故ならば、定型文を読み上げるだけになってしまうからです。
スピーキング力を伸ばしたいのであれば、ニュースやトピックに関するディスカッション形式の教材を選び、「英語で考える」→「意見を英語で表現をする」ようにしてください。
実際に海外の方と話すと、意見を頻繁に求められます。
例えば、
会議などの後で、
How did you find today’s meeting?
(今日の会議はどう感じた?)
と聞かれたり、旅行先で、
How was your trip?
(旅行はどう?)
と聞かれたりすることがあります。
これらの質問には、
It was great!
(よかったよ!)
とだけ答えても問題はありませんが、それでは会話が弾みません。
会話を続けるには、何がよかったのか、何故自分はそう感じたのかを話す必要があります。
そのために、英会話レッスンでも自分の考えを英語で話す練習をすることをおすすめします。
スピーキング勉強のコツ
最後に、英語のスピーキングの勉強を長続きさせるコツを紹介します。
スピーキングの勉強は、「英語を話せるようになりたい!」と強い意志を持って勉強を始めたにも関わらず、道半ばで挫折してしまうということは少なくありません。
なかなか目に見えて向上しないスピーキング力に嫌気が指し、「英語を話す機会がない日本では、スピーキング力は伸びないんだ」と環境を言い訳にしたり、せっかく申し込んだオンライン英会話なのにほぼ受講しないまま月会費だけを払い続けていたりという状態をよく聞きます。
なかなか急には伸びないスピーキングの勉強を続けるためには、勉強の中で少しでも話せるようになってきた手応えを感じることができるかが肝になります。
そのためには、これまでに紹介した、英語のインプットとアウトプットを同時に学習することが大事です。
インプットで学んだことをアプトプットできると達成感を感じ、継続する意識が増してきます。
スピーキングの上達は自分が費やした時間に比例します。
ぜひ、インプットとアウトプットを繰り返し、モチベーションを維持して学習に取り組んでください。