「hear」と「listen」はどちらも日本語では「聞く」と訳され、辞書上でも類義語として分類されています。しかし、これらの単語は同じようで根本的な違いがあるのはご存知でしょうか。
その違いを知ることで、表現の幅が広がりコミュニケーションが円滑になります。
今回は、hearとlistenの基本的な使い方と頻出表現ついて詳しく解説しますので、使い分けの参考にしてください。
目次
「hear」と「listen」の違いについて動画で解説
動画でも「hearとlisten」について解説していますので、ぜひ活用してみてください!
hearとlistenの意味と基本の使い方
hearとlistenは「聞く」という大意を表し、英会話や文章表現において日常的に使用されています。
どちらも初級レベルの英単語として習得してきたことでしょうが、その根本的な違いを認識せず使用している学習者は意外と少なくはありません。
それぞれの意味の違いや使用方法を理解することは大切です。
きちんと使い分けをすることで、自身の意図している内容が正確に伝わるようになりますし、また、コミュニケーション上の誤解が生じる状況を防ぐことができます。
まずは、目安として、それぞれの英単語の辞書上の定義と基本の使い方を把握しておきましょう。
「hear」の意味と基本の使い方
hearは動詞(他動詞・自動詞)の働きをします。自然なプロセスとして私たちに起こることで、必ずしも聞こうとしなくても無意識に耳に入ってくる音に対して使います。
発音 | /híɚ/ |
---|---|
基本の意味 | ・(~が)聞こえる、(~を)聞く
意図せずに耳に入ってくる音 意図せずに耳に入ってくる話 heard(過去形) / heard(過去分詞形) |
他動詞としての使い方 (目的語をともなう) |
[hear + 目的語 / ~を聞く] I heard a noise outside. (私は外の物音を聞きました。) They heard an explosion. We heard her shouting. I heard someone calling my name. I heard that Ken and Nancy got married. We heard that Jane was promoted. |
自動詞としての使い方 (目的語をともなわない) |
[主語 hear / (主語が)聴覚的に聞こえる]
I can’t hear well. I have heard of him. Have you heard about his promotion? |
「listen」の意味と基本の使い方
listenは主に動詞(自動詞)の働きをします。注意をはらい意識して音に耳を傾けて聞くときに使います。また、名詞として使うこともあります。
発音 | /lísn/ |
---|---|
基本の意味 | ・聞く、聞こうとする、~に耳をかす、~に聞き耳をたてる
意識して傾聴する音 意識して傾聴する話 listened(過去形) / listened(過去分詞形) |
自動詞としての使い方 (目的語をともなわない) |
[主語 listen / 聞く]
I’m listening. Listen carefully. I often listen to the radio. Please listen to me. We listened for his footsteps. My dad listens in on my phone conversations. |
名詞としての使い方 | ・聞くこと
Have a listen. |
hearとlistenのニュアンスの違いと頻出表現
hearは、自身が望む望まざるに関わらず耳に入ってくる音を聞くことを意味します。また、listenは、聞こえてくる音に対して意識的に注意を払って聞くことを意味します。
hearとlistenの基本的な使い方は理解できたと思いますので、つぎはニュアンスの違いと頻出表現を紹介します。それぞれを使いわけるときの参考にしてください。
hearとlistenのニュアンスの違い
動詞にhearを用いた場合とlisten (to)を用いた場合では、具体的にどのようなニュアンスの違いがあるのか以下の例でみてみましょう。
【例1】
He heard an argument between neighbors last night.
(昨夜、彼は隣人同士の言い争いを聞いた。)
➡彼は意識して聞こうとしたのではなく、言い争う声が聞こえてきた。
He listened to an argument between neighbors last night.
(昨夜、彼は隣人同士の口論を聞いていた。)
➡自然と聞こえてきたのではなく、彼は意識的に口論をしていたのを聞いていた。
【例2】
I heard the election campaign speeches in front of the station.
(私は駅前で選挙演説が聞こえた。)
➡意識して聞こうとしたのではなく、選挙演説が聞こえてきた。
I listened to the election campaign speeches in front of the station.
(私は駅前で選挙演説が聞いた。)
➡自然と聞こえてきたのではなく、意識的に選挙演説に耳を傾けて聞いていた。
hearの頻出表現
以下、hearを用いた日常的によく使われる表現を解説します。
Can you hear me?
(聞こえますか?)
電話やオンライン会議などで、相手に自分の音声が聞こえているかどうか確認したいときに使います。
その応答として、聞こえるならI can hear you well.(よく聞こえます。)、聞こえないならI can’t hear you.(聞こえません。)と答えるといいでしょう。
I hear you.
(そうだよね)、(なるほど)
直訳では「私はあなたのいいたいことは聞こえている。」ですが、「いいたいことはわかる。」というような意味合いです。
相手の言い分に理解を表すときに使います。
I’m glad to hear that.
(それを聞けて嬉しいです。)
相手の話した内容に対して、「それを聞いてよかった」と嬉しい気持ちを伝えるときに使います。
gladをhappyに置きかえI’m happy to hear that.としても同じ意味合いです。
I’ve heard a lot about you.
(あなたのお噂はよく聞いています。)
会話をはじめるときの決まり文句で、初めて会う人であっても相手について何か知っていると場合、または共通の友人・知人がいる場合などに使えます。
listenの頻出表現
以下、listenを用いた日常的によく使われる表現を解説します。
Listen to me.
(ちょっと聞いて。)
自分の話を聞いてもらいたいとき、何か伝えたいことがあるとき、話はじめのフレーズとしてよく用います。
また、Listen.だけでは、「ねえ」とよびかける意味合いでも使えます。
I am listening.
(私はきちんと聞いています。)
相手の話をきちんと聞いている事を強調し、話の続きを促す表現です。
また、悪い内容に対しては、「聞いているけど…何か?」というように、しぶしぶ相手の話を聞いているニュアンスが含まれる場合もあります。
Thank you for listening.
(聞いてくれてありがとうございます。)
話を聞いてもらった相手に対してのお礼として使うフレーズです。プレゼンテーションの結びの言葉としてもよく使われます。
Listen to your heart.
(自分の胸に聞いてごらん。)
これは「あなたの心の声に耳を傾けてください。」という意味です。「自分に素直になれ!」といった含みがある場合もあります。
練習問題
最後におさらいとして練習問題を出しておきます。
それぞれの英文は、繰り返し声に出して読んでください。そうすることで、hearとlistenの使い方に慣れることができます。
( )にhearかlistenのどちらかを適切な形で入れてください。
問題1:I ( ) the baby crying.
(赤ちゃんの泣き声が聞こえます。)
heard
問題2:( ) carefully to your teacher.
(先生の話をよく聞いてください。)
Listen
問題3:The signal is very bad on the line. I can’t ( ) you.
(回線の電波状態が非常に悪い。あなたの声が聞こえません。)
hear
問題4:I ( ) someone singing.
(誰かが歌っているのが聞こえた。)
heard
問題5:She is ( ) to music in her room.
(彼女は部屋で音楽を聞いています。)
listening
まとめ
本記事では、「聞く」を表す英単語の基本的な意味合いに加え、それぞれのニュアンスの違いと頻出表現について解説しました。
hear:自然なプロセスで耳に入ってきた音を聞く、予期しない音を聞くことを意味する。
➡ 意識的に聞くのではない。
listen:音に注意をはらって聞く、集中して耳を傾けて聞くことを意味する。
➡意識的に聞く。
hearとlistenは類義語に分類されますが状況に応じて使い分けが必要です。
最初は複雑に感じるかもしれませんが、それぞれの基本的な使い方を理解し日常的によく使われる表現に慣れることでだんだんと使い分けができるようになります。
ぜひこの機会に実践してみてください。