「子どもの英語学習はみんなどうしているのだろう?」
「子どもに英語を学ばせたいけど、具体的にどうしたらいいのかわからない…」
といった疑問や悩みを持っている人は多いのではないでしょうか。
以前は、中学一年生から教科の一つとして英語を学び始める人が大多数を占めていました。
しかし、昨今は、グローバル化に対応できる人材を育成するため、実質的な世界の共通言語である英語の習得を早期化する傾向が強まっています。
幼児英語教育のカリキュラムがある幼稚園にかよったり、キッズ英会話スクールで勉強したりする子どもたちが増えていますが、自宅でも工夫をすれば、ある程度英語に慣れ親しむことは可能です。
英語教育の最初の一歩として、それほど費用をかけずお手軽にできる方法もありますので、子どもの英語教育で迷っている親御さんは試してみることをおすすめします。
今回は、小学校の英語教育に役立つ勉強法と、ダウンロードして使える無料の英語ドリルコンテンツを紹介します。
目次
英語教育早期化の背景
急速なグローバル化がすすむ中、日本においても英語の必要性が増し、英語教育の早期化をすすめる動きが活発になっています。
「小学校から始まる英語教育に遅れをとってほしくない…」
「自分のように英語の習得に苦労してほしくない…」
「英語の基礎を早めに身につけて、将来的に大学受験や就職活動を有利にすすめさせてあげたい」
などというさまざまな思いから、親御さんの英語教育に対する関心も高まっています。まずは、英語教育が早期化している背景をおおまかに理解しておきましょう。
国際共通言語としての英語の必要性
世界中の何億という人が英語を話しています。また、英語は「国際共通言語(リンガ・フランカ)」として、重要な役割をはたしていると地球規模で認識されています。
一昔前は、英語が母国語ではない人にとって、「英語を話すことは特別な能力」と考えられていました。
しかし、世の中がグローバル化していくにつれて、仕事で英語でのやり取りが必要とされる状況が確実に増えており、現在は、「必要に迫られて英語を勉強している」状況です。
そして、「だれもが英語が話せて当たり前」の時代が近づいてきているといわれています。アジア諸国を含めた世界の国々が、英語の早期教育に尽力しています。
そんな中日本でも、国際競争に遅れをとらないために、英語でコミュニケーションがとれる人材を育成する必要性が求められるようになってきました。
言語の習得に最適な「ゴールデンエイジ」期間
小学生までの子どもは、論理的な意味づけがなくても、英語を英語のまま直接吸収する能力が高く、大人(中学生以上)のように文法などのルールにもとづいた体系的な学習をしなくても、目と耳で感覚的に言葉を吸収することが可能だといわれています。
脳科学において、脳神経の発達が著しい時期は「ゴールデンエイジ」とよばれ、子どもの言語能力の成長が期待できる時期とされています。
個人差はありますが、一般的にゴールデンエイジは以下表に記載した3つの時期にわかれ、それぞれの時期にあったアプローチをすることにより、言語習得のメリットがあるとされています。
ゴールデンエイジの時期は、英語を英語のままで学び、言葉のニュアンスを感覚的に理解する「英語脳」が育つ時期なので、早い時期から英語に触れる機会を持つことが大切です。
呼称 | 時期のめやす |
英語習得に 効果的なアプローチ |
---|---|---|
プレ ゴールデン エイジ |
3歳~8歳 | 子ども自身では感情のコントロールが難しいので、 大人のサポートが必要。 身体を大きく動かしたり、五感をたくさん用いたりして、 遊びの中で英語に触れ、英語学習の土台を築く。 |
ゴールデン エイジ |
9歳~11歳 | ある程度感情のコントロールが可能な時期。 一つの課題に集中させることで、 状況に応じた言葉が選べるようになるなど、 これまで難しかった豊かな表現ができるようになる。 |
ポスト ゴールデン エイジ |
12歳~14歳 | 脳神経が十分に発達し、身体が大人に近づいてくる時期。 考えながら行動することができるようになるので、 学習の質を重視しながらじっくり腰を据えて勉強することが大切。 |
新学習指導要領の導入
これまでの日本の英語教育は、受験を念頭においていたので、英文法や英文読解を重視する学習に偏っていました。
しかし、グローバル化がすすむ中で、多文化・多民族の人たちと対等な関係になるためには、英語でのコミュニケーション能力を向上させることが課題となっています。
そこで、新しい学習指導要領が策定され、2020年度より小学校での英語教育が開始されました。
具体的には、小学校3年生と4年生は、英語に親しむことを目的にクイズや歌やダンスをとおして英語に触れる活動型の学習を「外国語活動」として実施しています。
また、5年生と6年生は、算数や国語と同じ通常の教科として、日常英会話や基礎の英文法を学びます。
小さな子どもは、ものごとを素直に受け止めます。
新しい学習指導要領には、早期英語教育を導入することにより、英語への抵抗感をなくし、自然な形で英語に親しみ、主体的なコミュニケーション能力を育成させたいという期待があります。
具体的な勉強法
幼稚園児・小学生向けの英語教育には、
- キッズ英語スクールに通わせる
- オンラインで子ども向けの英会話クラスを受講させる
- 英語学習教材を購入して学習させる
などといったさまざまな方法があります。
専門家の指導や監修にお任せして英語の基礎力をのばすという手段もありますが、子どもの英語教育に適した勉強法を取り入れることで、ある程度は専門家に頼らなくても対応は可能です。
日常生活の中で、親が子どもをサポートしながら一緒に英語に触れる時間を持てば、子どもが「英語を身近なもの」としてとらえます。
抵抗感を持たず学習をスタートすることで、自主的な学習にもつながります。より効果的に英語を学習するためには、子どもに適した勉強法を理解しておく必要があります。
単語を視覚で理解する
応用言語学においては、単語は文字だけではなく、その状態を表わした絵、イラスト、写真などの素材と一緒に勉強したほうが、状況を理解しやすく記憶に残りやすいとされています。
アルファベッドや動物や植物などの英単語のポスターやシールを、自宅の壁など目に入りやすいところに貼っておきましょう。
また、イラスト付きのフラッシュカードや絵本を繰り返しみせながら、クイズ形式でトレーニングをするのもいいでしょう。
記憶力だけではなく、発想力や想像力がやしなわれ、言葉と視覚のイメージがリンクして、文字で表されている言葉の意味を理解できるようになります。
英語耳をきたえる
英語が話せるようになるには、英単語やフレーズを聴いてそのままで理解する「英語耳」を育てることが非常に大切です。
知らない言葉であってもたくさん聴くトレーニングをすることで、しだいに聴いた言葉を声に出して発することができるようになります。
この時は、リズムにのせたり体を動かしたりしながら練習をすると効果的です。
また、子どものころからネイティブスピーカーの発する音声を聴いていると、無意識に自然な発音が身に付くというメリットもあります。
そして、アルファベットが理解できるようになったら、音と文字の結びつきを学ぶ学習法である「フォニックス(Phonics)」を取り入れてみましょう。
日本人的なアルファベットの読み方では、「a(エイ)、b(ビー)、c(シー)、d(ディー)、e(イー)…」ですが、フォニックスでは「a(ェア)、b(ブ)、c(ク)、d(ドゥ)、e(エ)…」となります。
アルファベット26文字それぞれが持つ正確な発音と文字の並びとを結びつけて習得します。
英語圏の子どもたちと同じ法則で学ぶことで、知らない単語に出会ったとしても、文字の持つ音をつなげて推測することができるようになり、約7割の英単語が読めるようになるといわれています。
身近な状況を表現する
英単語や発音を練習する教材があっても、話す練習をしないと大きな上達は望めません。そこで、誰かが話し相手になって英語で会話するようにしましょう。
話し相手をネイティブ講師や専任講師に限定する必要はありません。英語に自信がないと感じる親御さんでも大丈夫です。
例えば、「How are you feeling today?(今日の気分はどんな感じ?)」と問いかけると、「Happy.(楽しいよ。)」や「I’m good.(元気だよ。)」などと形容詞を用いて自分の気持ちを表現する練習ができます。
そして、「What are you doing now?(今なにをしているの?)」と問いかけると、「I’m reading a book.(私は本を読んでいます。)」や「This book is interesting.(この本はおもしろいです。) 」などと、子どもは自分の知っている単語を用いてその状況を説明します。
いつも身近にいる親が英語で話しかけることで、子どもは「英語って必要なものなんだ!」と認識します。
日ごろからシンプルな会話をつみ重ねることで、いずれは友達の話や学校の話など、話す内容の幅が広がってきます。
小中の英語学習の連携
「ゴールデンエイジ」のメリットを享受できる時期には限りがあります。
中学生になるころには、英語を英語のままで聞き取りまねることで情報を蓄積できる能力は、じょじょに薄れていきますが、逆に、じっくり考えて理解する能力が高まり、落ち着いて学習できるようになります。
可能であれば、英語を自然に吸収できるゴールデンエイジの期間に、たくさんの英語に触れさせるようにしましょう。
なぜなら、中学校で体系的に学習する時、その蓄積した知識があることで比較的スムーズに理解が深まります。
また、子どものころから楽しみながら英語に触れていると学習意欲が持続するようになり、より高度な英語表現の習得が期待できます。
おすすめの英語ドリル
子ども用の英語教材はたくさん販売されているので、どれを選んだらいいのか迷ってしまいます。
フォローアップ体制がしっかり行き届いた英語教材もありますが、そのような教材は高額です。
そこで英語学習の第一歩として、英語学習サービスを提供しているウエブサイトのコンテンツを利用してみることをおすすめします。
ほとんどのサイトは、無料でダウンロードすることができます。英語ドリルをプリントアウトして、学習教材として使用してみることをおすすめします。
以下で紹介するウエブサイトはどれも、子どもだけではなく大人も楽しく遊びながら英語に触れることができます。ぜひ利用してみてください。
ちびむすドリル
対象目安 | 幼児、小学生、中学生 |
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費用 | 無料 |
英語のコンテンツ | ・アルファベット表 ・アルファベットカード ・仲間の英語一覧表 ・フォニックス教材 ・英語カレンダー ・クロスワードパズル ・クイズ ・小学5,6年生 ・中学生の教科書ぴったりトレーニングプリントなど |
URL | https://happylilac.net/index2.html |
「ちびむすドリル」は、幼児、小学校、中学校向けの学習コンテンツを無料公開しているウエブサイトです。
保護者だけではなく、幼稚園、小学校、塾、公共施設など多くの人がこのサービスを利用しています。
無料会員登録をすることで、利用したコンテンツの得点を管理したり、よくアクセスするコンテンツをお気に入りに保存したりすることができます。
英語すぺたんドリル
対象目安 | 幼児、小学生 |
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費用 | 無料 |
英語のコンテンツ | ・アルファベット表 ・ローマ字表 ・月・曜日・天気・季節の英単語表 ・数の英単語表 ・あいさつを練習するプリント ・感情を表現するプリント ・ものの説明をさせるプリント ・ものをたずねるプリントなど |
URL | https://startoo.co/sutapen_english/ |
「英語すぺたんドリル」とは、英語の自宅学習用ドリルを無料でダウンロードできる学習サイトです。
英語であいさつしたり、自分の感情を英語で表現したり、ものの説明を英語でしたり等々、小学校で学ぶ英語の内容がカバーされているので、事前学習や復習に適しています。
学習プリント.com
対象目安 | 幼児、小学生 |
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費用 | 無料 |
英語のコンテンツ | ・アルファベット表 ・アルファベットのなぞり書きプリント ・ローマ字表 ・ローマ字練習プリントなど |
URL | https://xn--fdk3a7ctb5192box5b.com/ |
「学習プリント.com」は、教育現場の指導者向けのコンテンツを掲載しているサイトで、便利で教えやすいプリントの制作方法に力をいれています。
英語関連のコンテンツは多くありませんが、どれも親しみやすいロゴとイラストがあり、無料でダウンロードが可能です。
アルファベットをなぞり書きをしながら覚えて、あわせてそのアルファベットを使った単語の読み書きを勉強できます。
Bridge to English
対象目安 | 幼児、小学生、中学生 |
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費用 | 無料 |
英語のコンテンツ | ・人体英単語ポスター ・アルファベット別英単語練習シート ・月・日・曜日の英単語リスト ・英単語リスト ・虫食いクイズ ・ワードスクランブルクイズ ・四択クイズ ・英単語練習プリントなど |
URL | http://bt-english.com/downloads |
「Bridge to English」は、幼児・小学生・中学生向けの英語教室が運営する英語学習サイトです。
現役の小学校外国語活動指導者が監修している英語教材プリントとワークシートが多数掲載されており、無料でダウンロードできます。
小学校・中学校で習得することが求められている英単語がカバーされています。
大多数の単語はイラストとともに記されているので、これから英語学習をはじめる子どもでも、単語とイラストを関連付けながら英単語を覚えられます。
あいうえおフォニックス
対象目安 | 幼児、小学生 |
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費用 | 無料 |
英語のコンテンツ | 英語の音をフォニックスにもとづいて一音ずつ解説 |
URL | https://aiueophonics.com/ |
「あいうえおフォニックス」は、英語の音と文字を関連付けて英単語をオンラインで学習するウエブサイトです。
母音をクリックすると、かわいいオリジナルキャラクターが登場するYouTubeの解説動画が現れます。
日本の読み方とフォニックスの読み方の違いを詳しく説明してくれるので、大人でも勉強になります。
また、その母音が含まれる英単語が、フラッシュカード形式で画面に表示されます。
ダウンロードすることはできませんが、KADOKAWA出版より関連書籍が販売されてるので、興味のある人は購入してみてください。
おすすめのアプリ
次に子どもの英語学習に特化した無料または格安で利用できるアプリを紹介します。スマホやタブレットにインストールしておけばいつでも学習できて便利です。
タッチでABCアルファベット!-ちびっこ英語-
対応OS | iOS |
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対象目安 | 幼児、小学生 |
費用 | 無料 |
音声 | あり |
「タッチでABCアルファベット!-ちびっこ英語-」は、子ども向けの英語学習アプリです。
アルファベットやイラストをタップするとネイティブの発音が聞けます。発音を聴いてまねをすることで、正しい発音が身に付きます。
アルファベット、数字、果物、動物など簡単な英単語が収録されているので、飽きずに楽しく学習できます。
ワォっち!イングリッシュスクール
対応OS | iOS /Android |
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対象目安 | 幼児、小学生 |
費用 | 無料(App内課金あり) |
音声 | あり |
「ワォっち!イングリッシュスクール」は、親子で楽しめる子ども向けの知育アプリです。アルファベットや英単語だけではなく、簡単な日常会話も学ぶことができます。
・語彙をかるたで覚える
・画面に現れるシャボン玉を消しながら英数字を覚える
・動物の鳴き声を聴きその動物の英語での呼び名を覚える
などといった、バラエティーに富んだ内容になっています。
サメのかぞくABCフォニックス
対応OS | iOS /Android |
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対象年齢 | 2歳から10歳 |
費用 | 無料(App内課金あり) |
音声 | あり |
「サメのかぞくABCフォニックス」は、アルファベットと英単語を学ぶ子ども向けの教育アプリです。
スクリーンをなぞってアルファベットの大文字と小文字を学習したり、フォニックスに関する童謡のアニメーションを視聴したりして、英語の音に関する理解を深めていきます。
まとめ
本記事では、小学校の英語教育に役立つ勉強法と無料でダウンロードして使える英語ドリルについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
・グローバル化がすすむにつれ、国際共通言語としての英語の必要性が高まってきている。
・言語の習得に最適な「ゴールデンエイジ」期間のメリットを活かす。
・新学習指導要領の導入にともない、2020年度より小学生3年生から外国語活動が実施されている。
・絵やイラストを用いて単語を視覚で理解させる。
・ネイティブの発音を聴かせて英語耳をきたえる。
・シンプルな文章で身近で起きた出来事を説明できるようにする。
・ゴールデンエイジ期に楽しみながらたくさんの英語を吸収させ、中学校での英語学習つなげる。
子どもの英語学習関連のウエブサイトには、英語学習に役立つコンテンツがたくさんあります。
また、子どもの英語学習に特化したアプリを活用すれば、ゲーム感覚で英語に触させることができます。
どれも気軽に試せるので、使い勝手がいいと感じたものをお子さんの学習教材として取り入れてみてください。