英語の「冠詞」a/an とtheの使い分けをわかりやすく解説

「冠詞」a/an とtheの使い分けをわかりやすく解説

英語の「冠詞」a/an と the について、文中でどれを使えばいいのか使い分けに苦労している人は少なくはありません。

そもそも冠詞は日本語にはないので、とっつきにくさを感じるのは当然です。

しかし、英語では名詞の数量や文脈において限定を加える働きをするので、自然な英語表現をする上では必要不可欠な構成要素です。

今回は、冠詞の特徴とそれぞれの使い方について、例文もまじえて詳しく解説しますので、ぜひ英語学習の参考にしてください。

冠詞の特徴と名詞の性質

冠詞の特徴と名詞の性質

英語において冠詞は名詞や名詞句を修飾する限定詞の一種で、article(アーティクル)といいます。

a/an、the の3つの冠詞があり、それぞれは単独で用いられることはなく必ず名詞または名詞句の前に置かれます。また、名詞によっては冠詞を必要としない場合もありえます。

ネイティブスピーカーは、ただなんとなく冠詞をつけたりつけなかったりしているわけではありません。

名詞の性質によってa/an、theのどの冠詞を用いればいいのか、また冠詞が不要なのかという規則性を自然と見極めているのです。

まずは、冠詞の特徴と名詞の性質について大まかに理解しておきましょう。

冠詞の特徴

冠詞とは限定詞の一種であり、後ろに続く名詞の文脈上の意味や数量・性質などをしめす働きをします。

日本語には冠詞は存在しませんが、英語は名詞に対して厳格な言語です。

名詞の前には、①不定冠詞、②定冠詞、③無冠詞の3種類のうちいずれかの形をとり、それによって含むニュアンスが示されるのです。

冠詞の種類

  • 不定冠詞 + 名詞
  • 定冠詞 + 名詞
  • 無冠詞 + 名詞

不定冠詞

不定冠詞はaとanの2つがあり、不特定の名詞の前に用います。

例えばpenは名詞で「ペン」を意味しますが、不定冠詞aを前に置きa penとなると「一本のペン」を表し、また文脈においては「(いくつかある中から)特定されていないペン」を表します。

定冠詞

定冠詞はtheのみです。theは特定の名詞の前に用います。

名詞の前にtheを置きthe penとすると、文脈においてテーブルに置いたペンといったように限定が加えられ、「そのペン」というように具体的な意味を表します。

無冠詞

無冠詞は文字通り名詞の前に冠詞ななく、a/an、theのいずれもつけないケースを指します。

具体的には、名詞が複数形の場合や総称を指す場合や固有名詞の前には冠詞はつけません。

例えば、複数の犬を表す名詞dogs、総称としてのcoffee、固有名詞Japanなどには冠詞は不要です。

名詞の種類

名詞とは人やものや場所などを表す品詞ですが、英語の名詞には、可算名詞(数えられる名詞)と不可算名詞(数えられない名詞)の2種類があります。

また、可算名詞には①普通名詞と②集合名詞があり、不可算名詞には③物質名詞、④抽象名詞、⑤固有名詞があります。

可算性を見極めるにはその名詞のもつイメージを意識することがポイントです。

可算名詞 普通名詞 → 数えられる
(数をイメージ)
集合名詞
不可算名詞 物質名詞 → 数えられない
(量をイメージ)
抽象名詞
固有名詞

数ある英語名詞の中には可算・非可算の区分があいまいなものや、どちらともなりえる語があります。

文法書によっては解釈がことなるものもありますが、以下目安としてそれぞれの名詞の特徴と一覧を記します。

普通名詞

普通名詞は目に見えて形があり、1本2本3本、1冊2冊3冊などと数えることができる名詞を指します。普通名詞は単数と複数の形をとることができます。

普通名詞一覧

pen(ペン), book(本), bag(かばん), car(車), dog(犬), watch(腕時計), apple(りんご),table(テーブル), picture(絵), file(ファイル),dream(夢)など

集合名詞

集合名詞は、人やものの集まりの集合体を1まとまりとして数える名詞のことをいいます。

単数と複数の形をとることができますが、アメリカ英語では集合名詞は単数形で使用されることが多いです。

集合名詞一覧

family(家族:親、子どもなどのまとまり),audience(観客:見ている人たちのまとまり),stuff(スタッフ:働いているメンバーのまとまり),crowd(群衆:人の群れのまとまり)など

物質名詞

物質名詞は、液体、気体、原材料、食材など形や区切りがあいまいなものの名前を指します。数えられない名詞の一種で、単数形で使用されます。

日本語の感覚ではmoney(お金)は形があるように感じますが、英語では形があるのはbill(紙幣)やコイン(コイン)であり、お金そのものには形はなく量に基づく物質として考えます。

物質名詞一覧

Water(水), air(空気), fire(火),sugar(砂糖), salt(塩),gold(金), rain(雨), snow(雪), money(お金)など

抽象名詞

抽象名詞は、そのもの自体には具体的な形をもたず抽象的な概念や考え方を表す名詞です。感情や社会システムを表す語も抽象名詞になります。

数えられない名詞の一種であり、単数形で使用されます。

抽象名詞一覧

Information(情報), beauty(美しさ),luck(幸運), love(愛情), intelligence(知性), failure(失敗), relationship(関係), freedom(自由), wealth(富), democracy(社会主義)

固有名詞

固有名詞とは、人・もの・場所など特定の名称を表す語です。具体的には、人名、地名、会社名、商品名などが該当します。

また、数えられない名詞の一種で、単数形で使用されます。

固有名詞一覧

Sheave Jobs(スティーブ・ジョブス), Mt. Fuji(富士山), Japan(日本),Tokyo(東京), Toyota(トヨタ), Microsoft(マイクロソフト), iPhone(アイフォン, ), sun(太陽),

冠詞の使いわけ

冠詞の使いわけ

冠詞の種類と名詞の性質を述べましたが、つぎに、a/an(不定冠詞)、the(定冠詞)、冠詞なし(無冠詞)のそれぞれの使い分けについて解説します。

例外もありますが、名詞の性質によって次のようなパターンをとることが可能です。

可算名詞 単数形 → a/an, theをともなう。
複数形 → theをともなうか冠詞なし。
不可算名詞 単数形のみ → theをともなうか冠詞なし。

aを使う場合

不定冠詞aが使えるのは可算名詞で単数形の場合です。おもに不特定多数のものの中の一つや会話の中で初めて話題にあがる名詞に対して用います。

【例文】

He will stay at a hotel tonight.
(彼は今夜ホテルに泊まります。)
→ たくさんあるホテルの中でどこかのホテルに泊まるというニュアンス。

Would you like to go to a Japanese restaurant?
(日本料理店にいきませんか?)
→ たくさんある日本料理店の中でどこかのレストランに誘っているニュアンス。

I saw a cat here yesterday.
(私は昨日ここで猫を見ました。)
→ 会話の中で猫に関してはじめて話題にあがった。どんな猫かは特定されていない。

anを使う場合

anはaと同じ用途で使いますが、冠詞のあとに続く語の発音が、母音(a, e, i, o, u)ではじまる場合はaの代わりにanを用います。

単数形の場合anを使う単語の例

apple(りんご), orange(オレンジ), egg(卵), airport(空港),idea(考え), hour(時間), X-ray(レントゲン)など
※単語のスペルではなく発音が母音で始まる語ということに注意しましょう。

【例文】

I bought an apple at the supermarket.
(スーパーマーケットでりんごを一つ買いました。)
→ たくさんならんでいるりんごの中から一つを買ったニュアンス。

My mom took an egg out of the fridge.
(私のお母さんは冷蔵庫から卵を一つ取り出しました。)
→ 冷蔵庫内にいくつかある卵のうち、一つを取り出したニュアンス。

She waits more than an hour.
(彼女は一時間以上まっています。)
→ 特定されていない時間の一時間を待っているニュアンス。

theを使う場合

冠詞theは対象となる名詞が特定されている場合に使います。

常識的に唯一無二のもの、一度話題に登場してすでに認知されているもの(文脈から判断できるもの)、海洋・河川・山脈などの一部の固有名詞が該当します。

【例文】

The sun will set soon.
(太陽は間もなく沈みます。)
→ 太陽は唯一無二のもの。

I saw a cat yesterday. I saw the cat again today.
( 私は昨日猫を見た。今日もその猫を見た。)
→ 一度話題に上がった猫をまた話題にあげたので猫について特定されている。

He is crossing the Pacific Ocean on his yacht.
(彼はヨットで太平洋を横断中です。)
→ 太平洋は海洋。

冠詞なしの場合

おもに名詞が複数形の場合、不可算名詞の場合、可算名詞であっても全般の意味の場合は無冠詞となり冠詞はともないません。

【例文】

She ate oranges.
(私はオレンジを食べました。)
→ 一つではなくいくつかのオレンジを食べた。

It costs money to go to college.
(大学に行くにはお金がかかる。)
→ 物質としてのお金と全般としての大学には冠詞は不要。

Would you like coffee or tea?
(コーヒーか紅茶はいかがですか?)
→ 全般としてのコーヒー・紅茶には冠詞は不要。

冠詞の練習問題

冠詞の練習問題

以下に、練習問題を出しておきます。それぞれの英文は、繰り返し声に出して読んでください。そうすることで、冠詞の文脈での使用に慣れることができます。

基本問題

日本語を参考に(  )内に適切な冠詞を入れてください。

問題1:I bought ( ) book.
(私はある本を買いました。)

a

問題2:( ) book was interesting.
(その本はおもしろかったです。)

the

問題3:He had ( ) idea.
(彼には考えがあった。)

an

問題4:He went to buy ( ) orange and ( ) apple each.
(オレンジとリンゴを1個ずつ買いに行きました。)

an, an

問題5:There is not a cloud in ( ) sky.
(空には雲一つありません。)

the

応用問題

日本語を参考に(  )内に適切な冠詞を入れてください。入れる必要がない場合は×を入れてください。

問題1:He is going to ( ) New York next month.
(彼は来月ニューヨークに行きます。)

×

問題2:Can you turn off ( ) TV?
(テレビを消してくれませんか?) ※ついているテレビがどれだかわかっている。

the

問題3:There is ( ) air on ( ) earth.
(地球上には空気があります。)

×, the

問題4:He bought ( ) notebook. Today he gave ( ) notebook to Nancy.
(彼はノートを買いました。今日、そのノートをナンシーにあげました。)

a, the

問題5:She added ( ) salt and ( ) pepper to ( ) dish.
(彼女はその料理に塩と胡椒を加えました。)

×, ×, the

まとめ

本記事では、冠詞の特徴とそれぞれの使い方について例文をまじえて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

冠詞の特徴は、冠詞は限定詞の一種。後ろに続く名詞の文脈上の意味や数量などを限定する働きをする。

冠詞の種類まとめ
不定冠詞 a/an 特定されていない単数名詞の前に用いる。
定冠詞 the 特定されている名詞の前に用いる。
無冠詞 冠詞なし 単数性や形を意識しない名詞には冠詞をつけない。

冠詞は日本語にはない要素なので最初は使い分けに迷います。

しかし、冠詞の種類と基本的な特徴に加え名詞の性質について理解することで、しだいに冠詞の使い分けが身についてきます。

ぜひ、この機会に練習をして苦手意識を克服してください。