中学英語の基礎文法をおさらい! 「前置詞」とは?

中学英語の基礎文法をおさらい! 「前置詞」とは?

英語の「前置詞の使いわけがわからない…。」と悩んでいる人は多いのではないのではないでしょうか。

前置詞は数が多いため、使い分けが難しいとされる品詞です。

その上、それぞれの前置詞に複数の意味が存在するため、最初は複雑に感じるかもしれませんが、位置関係と基本のイメージを意識することで、しだいに使い分けができるようになってきます。

今回は、中学英語で習う前置詞を中心に、例文と練習問題をまじえてくわしく解説します。

この記事内の重要な項目まとめ

前置詞とは

前置詞とは

前置詞は、その名前が示すように、通常は名詞の前に置かれます。

基本の型は、「前置詞 + 名詞(句)」で、方向、時間、場所、位置、空間的な位置関係などを表現するために用いられます。英語では「preposition /prèpəzíʃən/」とよばれます。

ほとんどの前置詞は短い文字数で構成されているため、英語学習者にとって、その単語自体を覚えるのは難しくないでしょう。

しかし、いくつかの前置詞は似たような意味をもち、バリエーション豊かな表現をするときに用いられます。

また、ほとんどの前置詞は、日本語で明確に定義づけすることが難しいため、英語上級者であっても苦手意識を持っている人は少なくはありません。

よって、前置詞を使いこなすには、日本語のものさしにとらわれすぎないことが大事です。それぞれの前置詞のもつイメージをとらえて、例文とリンクさせながら理解するようにしましょう。

おもな前置詞一覧

以下、会話や文章で頻繁に使われる重要前置詞です。

前置詞 基本のイメージ 主な意味
In 容器の中 ~の中
at  ~で、~に
On 表面に乗っている、接触 ~の上、~に
By 近接 ~の近く、~のそば
under ~の下
over 上を円弧が覆っている ~の上
above 高さが上である ~の上
across 十字をつくる、交差する 横切って
through トンネル状のものを抜けていく ~をとおして
to 到達点を指し示す ~へ、~に
from 起点から離れていく ~から
with 一緒にいる ~と
for 向かう ~のために

つぎに、それぞれの前置詞のもつイメージを図解で紹介します。基本のイメージを意識し、例文を参考にしながら具体的な使い方を把握しましょう。

in

inは、「立体的なもの中に入っている」「空間の中に入っている」というイメージです。ある空間の中に身を置くような状態を表します。

【例文】

There is ice cream in the refrigerator.
(冷蔵庫の中にアイスクリームがあります。)

She lives in Tokyo.
(彼女は東京に住んでいます。)

He was waiting in the rain.
(彼は雨の中待っていました。)

at

atは、一点を表すイメージです。ある対象を点としてとらえるので、1日のうちの特定の時間を指す場合や、地図上のある一点を示す場合などに使います。

【例文】

He wakes up at seven every day.
(彼は毎日7時に起きます。)

I met up with him at the station.
(私は彼と駅で待ち合わせをしました。)

You become an adult at age 18 in the United States.
(アメリカでは18歳で成人します。)

on

onは、何かの上に「乗っている」、「くっついている」イメージです。また、くっついていることから派生して、「~の中」、「活動中」という意味でも用います。

【例文】

There is a bag on the table.
(テーブルの上にかばんがあります。)

The clock on the wall is out of order.
(壁にある時計は故障しています。)

She got on a train.
(彼女は電車に乗りました。)

He has gone to Canada on business.
(彼は仕事でカナダに出かけています。)

by

byは、「近い」イメージで、対象との距離が近い場合「~のそば」という意味で使います。

また、何かの目標を達成するには、比較的手近な手段を想定することから、手段や方法を表す場合にも用います。

【例文】

He stopped at a coffee shop by the office.
(彼は会社のそばのコーヒーショップに立ち寄りました。)

I go to school by bicycle.
(私は自転車で学校に行きます。)

The water is sold by the dozen.
(その水はダース単位で売られています。)

under

underには「下の範囲におよんでいる」というイメージがあります。そのイメージから派生して、「監督下」、「影響下」という意味合いでも使われます。

【例文】

I found some papers under a cabinet.
(私は、キャビネットの下から書類をみつけました。)

If you are under 20 years old, do not drink alcohol.
(あなたが20歳未満ならお酒を飲んではいけません。)

over

overにはある対象の「上を円弧が覆っている」イメージがあります。場所や年齢など、そのものより「上である」、「越えている」といった状態を表します。

【例文】

He’s over thirty years old.
(彼は30歳を越えています。)

The sign of the company can be seen over the main entrance.
( その会社の看板は、正面玄関上で見ることができます。)

The children jumped over the wall.
(子どもたちはその壁を飛び越えました。)

above

overには、覆いかぶさるようなイメージがありましたが、aboveは、ある一定の基準より「高さが上」というイメージです。また、onのように接触しているのではなく、少し離れて上にある対象を表すときに用います。

【例文】

There is noise coming from the room above my apartment.
(私のアパートの上の部屋から騒音がします。)

Her grades are above mine.
(彼女の成績は私より上です。)

Something fell from above my head.
(頭上から物が落ちてきました。)

across

acrossには、「十字をつくる」、「交差する」というようなイメージがあります。端から端まである物体を横切る場合に使います。

【例文】

The station is just across the street.
(この通りを渡るとすぐに駅があります。)

We swam across the river.
(私たちはその川を泳いで渡りました。)

He rode his motorcycle across the United States.
(彼はアメリカをバイクで横断しました。)

through

throughは、「トンネル状のものを通過する」というイメージです。空間や物体だけではなく、時間や作業も通過するイメージで「~をとおして」、「~中」という意味でも用います。

【例文】

The truck went through the tunnel.
(トラックはトンネルを通過しました。)

He had a good experience through working hard.
(彼は一生懸命仕事をすることをとおして、いい経験をしました。)

She studied all through the night.
(彼女は一晩中勉強しました。)

to

toはある行為がどこに向かっているのか、「到達点」を指し示すイメージです。目的、時間、場所などを示すときに使います。

【例文】

I went to the cinema yesterday.
(私は昨日映画館に行きました。)

He attached a photo to the document.
(彼は写真を書類に添付した。)

It’s five minutes to 5:00.
(5分で5時に到達する➡5時5分前です。)

from

fromはtoとは反対に、起点から「出発する」、「離れていく」、「分離していく」イメージです。また、距離感が生み出されるイメージから、「区別」も表します。

【例文】

My flight will be departing from Terminal 1.
(私のフライトは、第一ターミナルから出発します。)

My house is far away from the office.
(私の家は会社から遠くにあります。)

Wagyu beef is different from Aussie beef.
(和牛とオージービーフは異なります。)

with

withは「一緒にいる」というイメージで、さまざまなものとのつながりを表します。人やものとのつながり以外にも、原因とのつながりを表現するときにも使います。

【例文】

Would you like to go to the movies with me?
(私と一緒に映画に行きますか?)

He ate sushi with chopsticks.
(彼はお箸でお寿司を食べました。)

She’s in bed with the flu.
(彼女はインフルエンザで寝込んでいます。)

for

forは「何かに向かって進んでいる」というイメージです。方向、対象、目的などを表すときに用います。

【例文】

This train is for Tokyo.
(この電車は東京行きです。)

This letter is for you.
(この手紙はあなた宛てです。)

These clothes are for warmth.
(これらの服は防寒用です。)

間違いやすい前置詞

間違いやすい前置詞

前置詞は似たような意味をもつものが多いため、英語学習者にとってはやっかいな存在です。特に、at、on、inの3つの前置詞は、英語の中・上級者であっても使い分けに悩むことがあります。

つぎに、at、on、inの使いわけについて、場所と時間に分けて解説しますので、使い分けの目安として参考にしてください。

場所を表すat、on、in

場所を表すatは、狭い範囲を示す「点」を指して使います。複数の人が関わる活動の地点であるhome、office、school、college、universityなどと一緒によく使用されます。

そして、on は、あらゆる「表面上」の位置を指し、道路や川に沿った位置、海や湖に沿った位置を表すのに使います。また、公共機関についても使うことができます。

さらに、in は、「空間の中」にあるものを表現するときに使います。また、atより広い範囲の場所や、職場を物理的な場所として見るときにも使うことができます。

at on in
at the corner
(曲がり角で)
on the wall
(壁に)
in the garden
(庭に)
at the bus stop
(バス停で)
on the ceiling
(天井に)
in Tokyo
(東京に)
at the entrance
(玄関で)
on the floor
(床に)
in Japan
(日本に)
at the crossroads
(交差点で)
on the carpet
(カーペットに)
in a box
(箱の中に)
at the front desk
(フロントデスクで)
on the menu
(メニューに)
in one’s pocket
(ポケットの中に)
at the reception
(受付で)
on one’s foot
(徒歩で)
in one’s wallet
(財布の中に)
at home
(家で)
on a bus
(バスで)
in a car
(車の中に)
at work
(職場で)
on a train
(電車で)
in a taxi
(タクシーの中に)
at college
(大学で)
on a plane
(飛行機で)
in an elevator
(エレベーターの中に)
at the bottom
(底に)
on a bicycle
(自転車で)
in the sly
(空に)

時間を表すat、on、in

時間を表すat も「点」を意識する場合に使います。現実には多少の時間幅はあるでしょうが、スケジュールやカレンダーにおいて、ある一点をピンポイントで表現します。

「表面」のイメージのonは、時間においては日づけや曜日など、特定の日を意識する場合に用います。

そして、閉じられた「空間」のイメージであるinは、具体的な期間など時間幅を意識する場合に用います。

at on in
at 7:30
(7:30に)
on Monday
(月曜日に)
in the morning
(午前中に)
at 9 o’clock
(9時に)
on Sunday afternoon
(日曜日の午後に)
in the afternoon
(午後に)
at noon
(正午に)
on fine day
(晴れた日に)
in the day
(昼に)
at breakfast time
(朝食時に)
on rainy day
(雨の日に)
in the night
(夜に)
at present
(現在)
on the following day
(翌日に)
in the next week
(次週に)
at that time
(その時)
on April 1
(4月1日に)
in December
(12月に)
at breakfast time
(朝食時に)
on December 15, 2021
(2021年12月15日に)
in spring
(春に)
at night
(夜に)
on and after November 1
(11月1日以降に)
in 2021
(2021年に)
at Christmas
(クリスマスに)
on Christmas day
(クリスマスの日に)
in the 21st century
(21世紀に)
at Easter
(イースターに)
on New Year’s Day
(元日に)
in the future
(未来に)

前置詞の種類

前置詞の種類

前置詞は、その使い方において、いくつかの種類に分けられます。ここでは、前置詞についてより理解を深めてもらうため、単一前置詞、二重前置詞、群前置詞について解説します。

前置詞の種類の名称を覚える必要はありませんが、幅広く使いこなすためには、それぞれがどのような機能をはたしているのか、大まかに把握しておくことをおすすめします。

単一前置詞

単一前置詞は、英語で「simple prepositions」とよばれ、一つの単語だけで機能する前置詞のことをさします。

例えば、上記で紹介したように、おもに「前置詞 + 名詞(句)」の型をとります。名詞や名詞句の前にinやatなど前置詞を単体で置くことで、後ろの要素を修飾し時間や位置関係などに意味をあたえます。

二重前置詞

二重前置詞は、「double prepositions」とよばれ、2つの前置詞を組み合わせて使います。前置詞 + 前置詞」の型をとって意味をなすまとまりのことをさします。

    

おもな二重前置詞
since before 以前から
till after ~の後まで
from above 上から
from below 下から
from within 内部から
out of ~の外へ

【例文】

He has been studying English since before.
(彼は以前から英語を勉強しています。)

A big ball fell from above.
(上から大きなボールが落ちてきました。)

We built a fence to keep the dogs out of the house.
(私たちは犬が家から外にでないように柵をつくりました。)

群前置詞

群前置詞は、「group prepositions/compound prepositions」とよばれ、2語以上の単語がつながって、一つの前置詞のようにして使う表現のことをいいます。

前置詞、名詞、代名詞、目的語の修飾などを含む単語のグループのことで、おもに以下のようなパターンをもちます。

・「前置詞 + 名詞 + 前置詞」
・「副詞 + 前置詞」
・「形容詞 + 前置詞」
・「接続詞 + 前置詞」

おもな群前置詞
in front of ~の前に
in one’s view ~の見解によれば
in addition to ~に加えて
in place of ~の代わりに
in case of ~の場合
at the end of ~の終わりに
for the sake of ~のために
along with ~と一緒に
away from ~から離れて
due to ~のために
subject to ~を条件として
because of ~のために

【例文】

There is a bookstore in front of the hotel.
(ホテルの前に本屋があります。)

In his view, this project will be a success.
(彼の見解では、このプロジェクトは成功するだろう。)

In case of rain, the event will be cancelled.
(雨天の場合、そのイベントは中止になります。)

練習問題

練習問題

以下に、練習問題を出しておきます。それぞれの英文は、繰り返し声に出して読んでください。そうすることで、前置詞の使い方に慣れることができます。

基礎問題

日本語の意味と同じになるように (  )に適切な前置詞を入れてください。

問題1:Ken played tennis (  ) Sunday.
(ケンは日曜日にテニスをしました。)

on

問題2:We are going to the US (  ) December.
(私たちは12月にアメリカに行きます。)

in

問題3:My mother wakes up (  ) five o’clock every morning.
(私の母は、毎朝5時に起きます。)

at

問題4:Catherine went to the park (  ) Tom.
(キャサリンはトムと一緒に公園に行きました。)

with

問題5:He cleaned the room (  ) the morning.
(彼は午前中、部屋のそうじをしました。)

in

問題6:Mr. Smith is (  ) the train.
(スミスさんは電車に乗っています。)

on

問題7:He went to the station (  ) foot.
(彼は徒歩で駅に行きました。)

on

応用問題

日本語の意味と同じになるように (  )に適切な語句を入れてください。

問題1:They escaped (  ) (  ) the building.
(彼らは建物の外へ逃げました。)

out of

問題2:Our house is located (  ) (  ) the main road.
(私たちの家は大通りから離れています。)

far from / away from

問題3:The train was delayed (  ) (  ) snow.
(雪のため電車が遅れました。)

due to / because of

問題4:Bob attended the meeting (  ) (  ) (  ) Ken.
(ボブはケンの代わりに会議に出席しました。)

in place of

問題5:There are exams (  ) (  ) (  ) (  ) the semester.
(学期の終わりに試験があります。)

at the end of

5. まとめ

本記事では、前置詞について例文とともに解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

前置詞まとめ

▶基本の型:前置詞 + 名詞(句)
▶役割:おもに名詞の前に置いて、方向、時間、場所、位置、空間的な位置関係などを表す。

前置詞を習得するには、それぞれのイメージをつかむことが大切です。まずは前置詞それぞれの基本のイメージを意識し、例文とリンクさせながらイメージを具体化させてください。

前置詞の使い分けができるようになると表現の幅が格段に広がりますので、ぜひこの機会に練習をしてマスターしてください。