英検準1級は、国内最大級の英語検定試験「英検」の2番目に難しいレベルで、合格には「大学中級程度」の英語レベルが必要だといわれています。
「高い英語力の証明として英検準1級を取得したい!」という人は多いのではないでしょうか。
実際に英検準1級は、英語講師などの専門職の応募条件として提示されることがあるので、英語に携わる仕事がしたい方は取得しておいて損はないでしょう。
そこでこの記事では、英検準1級に関する基本情報及び、合格するための対策と勉強方法を詳しく解説します。
コンテンツ監修者:朝倉 浩之
英検・受験指導専門家として大学や私学、予備校にて15年で延べ3000人以上の生徒へ指導。中学校教諭一種免許状(外国語)及び高等学校教諭一種免許状(外国語)保有。
目次
英検準1級の基本情報
まず、英検準1級の基本情報を紹介します。
検定料
英検準1級の検定料は以下の通りです。(2022年5月現在)
本会場の検定料 | 9800円 |
2020年度に英検の受験料が改定され、新たな料金体系となっていますのでご注意ください。
英検2級までの級は、「本会場」の他に、英検協会が定めた学校などの団体専用会場である「準会場」での受験が可能でしたが、準1級と1級は「本会場」でのみ受験可能です。
英検準1級の試験内容・試験時間
続いて、英検準1級の試験内容と試験時間を確認していきましょう。
1次試験
英検準1級の1次試験は、リーディング・ライティング・リスニングの3パートに分かれています。
測定の対象となる3技能の問題数はそれぞれ異なりますが、各技能の得点配分は同じです。
つまり、ライティングは問題数が1問(記述式)と少ないですが、比重はリーディングとリスニングと変わりません。
測定技能 | 問題形式 | 問題数 | 解答形式 |
---|---|---|---|
リーディング | 空所補充(短文) | 25 | 4肢選択 |
空所補充(長文) | 6 | ||
内容の一致選択(長文) | 10 | ||
ライティング | 英作文 | 1 | 記述式 |
リスニング | 内容一致選択(会話) | 12 | 4肢選択 |
内容一致選択(文) | 12 | ||
内容一致選択 (Read-Life形式) |
5 |
筆記(リーディング・ライティング)の試験時間は90分間、リスニングの試験時間は約30間分です。
リスニングの放送回数は、すべて1回のみとなっていますので、聞き逃しのないようご注意ください。
2次試験
1次審査に合格すると、2次審査へと進みます。
2次審査では、面接委員との1対1の面接を通して「スピーキング力」が測定されます。
具体的には、「発音」「文法」「語彙」などの英語力に加え、「情報量」や「積極にコミュニケーションを取ろうとする意欲や態度」などの観点からも評価されます。
面接時間は、約8分間です。
英検2級の2次試験との違いとして、「日常会話が加わること」と「受験者の意見を問う質問の数が増えること」があげられます。
そして、面接時間に関しても、2級の面接より2分長くなります。
英検準1級のレベルはどのくらい?
英検準1級のレベルは、「大学中級程度」といわれています。
英検2級と比べて、より実践的なエッセイ形式の英作文力が必要です。
また、英検準1級の資格は、社会で通用する「実際に使える英語力」の証明になります。
従って、現役大学生や、社会的に通用する英語の資格を取得したいという人などの受験がおすすめです。
英検準1級の合格点と合格率
日本英語検定協会の公式ホームページには、合格点に関して「準1級は、各技能の正答率が7割程度の受験者が合格している」といった内容が記載されています。
英検2級の合格のボーダーラインは「6割」とされていますので、英検準1級はさらに合格難易度が高いといえます。
また、英検では、トータルのスコアだけでなく、各技能のスコアバランスを重視しているため、具体的な正答数は公表されていません。
しかし、目安としては満点スコア「750点」のうち、最低でも525点は必要でしょう。
ただし、750点満点中、525点以上を取ることを目標にするよりも、リーディング・ライティング・リスニングの3技能で、それぞれ7割以上の正答率をたたき出すことを目標にするといいでしょう。
続いて、英検準1級の合格率に関してです。
英検の合格率に関しては、2016年度から公表されなくなりました。
2015年度までの過去のデータでは、1次試験の合格率は14~16%、2次試験の合格率は84~87%という数字が出ています。
1次試験の合格率が約15%と、難易度の高さがうかがえます。
ただ、2次試験に関しては、1次試験を合格する英語力があれば、ほとんどの受験者が合格できる難易度であるといえます。
英検準1級の難易度や受験者のレベルが近年で大幅に変化しているとは考えにくいので、合格率はだいたいこの程度と思っておけば問題ないでしょう。
リーディング対策・勉強法
ここまでで、英検準1級の基本情報について説明してきました。
次に、英検準1級に合格するための対策と勉強法を技能ごとに解説していきます。
まずは、リーディングの勉強法から確認していきましょう。
1.過去問を繰り返し解く
まずは、英検準1級の出題傾向をつかむために、過去問を繰り返し解くことをおすすめします。
実際に出題された問題を解くことにより、英検準1級のレベルを体感し、今の自分の英語力と比較することができます。
「単語力が足りない」とか「長文がスムーズに読めない」など、自分の課題を見つけ、弱点を集中的に補強していきましょう。
2.「出る順パス単」で単語を暗記
リーディングセクションで7割以上正答するためには、英単語力の強化は欠かせません。
特に英検準1級では、英検2級と比べて、より難易度の高い英単語が多く登場しますので、英検準1級に特化した英単語の学習が必要です。
旺文社より発売されている「英検準1級でる順パス単」という単語帳では、英検準1級で必要とされる英単語を、「でる順」で効率よく学習することが可能です。
英検準1級合格に向けて、何冊も英単語帳を購入するのではなく、1冊の単語帳をしっかりと使い込むことが大切です。
「でる順パス単」をスキマ時間に活用して、コツコツと英単語を覚えていきましょう。
3.日常的に英文を読む
英検準1級の対策として、日常的にたくさんの英文を読むように心がけましょう。
社会性の高い内容の文章が多く登場する英検準1級の問題には、「英字新聞」や「英語のネットニュース」などと共通する部分がたくさんあります。
英語学習教材に限らず、日常的に英文を読むことで、より実践的な英語力が身に付き、英検準1級で登場する英文を読むのが苦にならなくなります。
英字新聞、洋書、英語のネットニュースなどを読むことを、習慣化するようにしてみましょう。
ライティング対策・勉強法
英検準1級のライティングでは、社会性の高いトピックについて「賛成か反対か」など、自分の意見を述べることのできる英語力が求められます。
「社会性の高いトピックについて意見を述べるのは難しそう…」と思うかもしれませんが、「英語でのエッセイの書き方」をしっかりと身に付ければ、トピックにかかわらず、安定した英語の文章を書けるようになります。
英語のライティングに自信がないという方は、まずは「テンプレートの作成」と「使い回しの効く便利な英語表現の学習」からはじめてみましょう。
テンプレートを作成しよう!
英検準1級のライティングは、「120~150語」とワード数が決まっているので、あらかじめテンプレートを作っておくと、スムーズに回答することができるようになります。
「英語の文章の構成を考えるのが苦手…」という人は特に、事前にテンプレートを作成しておくことをおすすめします。
「序論」「本論」「結論」という構成を意識して、テンプレートを作成しましょう。
- 序論:トピックと自分の立ち位置について述べる。
- 本論:自分の考えの根拠を2~3つ述べる。
- 結論:自分の立ち位置を再び明確にし、締めくくる。
序論では、トピックと自分の立ち位置に触れ、本論で自分の意見の理由を2~3つ明確に述べましょう。
本論を書き終えたら、再び自分の立ち位置を示し、締めくくります。
このようなテンプレートを自分の中で作っておくことで、テーマが変わっても同じ流れでスムーズにエッセイを書けるようになります。
以下で紹介する英語表現を使って、自分専用のテンプレートを作成しましょう。
ライティングで使える!便利な英語表現を紹介
続いて、英検準1級のライティングで役立つ英語表現を覚えておきましょう。
ここでは、実際に使い回しが効く英語表現をいくつか紹介します。
序論
「序論」で自分の立ち位置を示す際に使えるフレーズです。
I agree with the idea that ~.
「私は~という考えに賛成です。」
I disagree with the idea that ~.
「私は~という考えに反対です。」
I think we should ~.
「私は、~すべきだと思います。」
I do not think we should ~.
「私は、~すべきだとは思いません。」
本論
自分の意見の根拠を列挙する際に使えるフレーズです。
In my opinion, ~.
「私の意見では、~。」
There are three reasons why I think ~.
「私が~と考えるのには、3つの理由があります。」
First, ~.
「ひとつ目の理由は、~。」
Second, ~.
「2つ目の理由は、~。」
Third, ~.
「3つ目の理由は、~」
For example, ~.
「例えば、~。」
In addition,~.
「また、~。」
結論
文章の最後で、自分の意見をまとめる際に使えるフレーズです。
Therefore, ~.
「従って、~。」
In conclusion, ~. 「結論として~。」
For these reasons, I believe ~.
「これらの理由から、私は~だと思います。」
これらのフレーズは、どれもテーマに関係なく使えるものですので、覚えておくといいでしょう。
過去問を活用して、ライティングの練習
ライティングのテンプレートの作成と便利な英語表現の学習ができたら、次は実際に過去問を活用して、テーマに沿ってエッセイを書いてみましょう。
過去に出題されたテーマに沿って、何度も文章を書くことにより、英検準1級で求められるエッセイの書き方が身に付きます。
リスニング対策・勉強法
続いて、英検準1級のリスニング対策・勉強法を紹介します。
1.過去問を繰り返し解く
過去問を利用して、実際に音源を聴いて問題を解いてみましょう。
英検準1級では、音源が1度しか流れないので、1回聞いただけでしっかりと内容が把握できるように練習しておく必要があります。
過去問で、英語のスピードと難易度を確認し、対策をしていきましょう。
2.日常的に英語を聞く
英検準1級のリスニングセクションで7割以上の正答率をたたき出すためには、高いリスニング力が必要です。
過去問の他にも、日常的に英語を聞く習慣を付けるといいでしょう。
具体的には、英語ニュースやポッドキャストの活用がおすすめです。
内容的には、日常会話よりも社会的な内容のものをメインに聞くように心がけましょう。
できれば放送原稿のあるものを使うと、より力をつけることができます。シャドーイングをすることでリスニングだけでなくスピーキングも鍛えることができます。
2次試験(スピーキング)対策・勉強法
1次試験を無事合格することができたら、次は「スピーキング・コミュニケーション力」が測定される2次試験です。
1次試験と比べて合格率が高いとはいえ、油断は禁物ですので、しっかりと対策を取るよにしましょう。
1.公式の「バーチャル2次試験」で確認
まずは、日本英語技能検定協会の公式ホームページにある「バーチャル2次試験」というアニメーションを視聴しましょう。
受験する級によって、2次試験の内容が異なりますので、これまでに2級や準2級を受験してきたという人も、今一度しっかりと確認しておくと安心です。
面接の流れが確認できたら、自分が不安に感じるポイントに重点を置いて、対策をしていきます。
「英語での日常会話が不安…。」という人は日常会話の練習、「英語での質疑応答ができそうにない。」という人は、リスニングとスピーキングの練習に取り組みましょう。
2.オンライン英会話を活用
「日常会話」と「質疑応答」が中心の2次試験は1次試験と比べて、ひとりだと対策しにくいことがあります。
「練習相手がいない」とか「日常的に英語を話す機会がない」などという方は、オンライン英会話の活用がおすすめです。
オンライン英会話を活用することで、英語を話すことに慣れることができます。
「英検準1級2次試験の模擬面接がしてみたい!」という方は、「英検2次試験対策」を提供しているオンライン英会話サービスを選ぶといいでしょう。
オンライン英会話であれば、従来の英会話スクールと比べ、手軽に安価で利用できますので、ぜひ活用してみてください。
英検準1級を取得するメリット
最後に、英検準1級を取得することで得られるメリットを見ていきましょう。
高い英語力の証明になる
「英語ができます!」と伝えるだけでは、英語力を証明することはできませんが、英検準1級を保持していれば、それだけで高い英語力の証明になります。
「英検準1級」は認知度が高いので、受験や就活などの場面ではもちろん、プライベートでも通用するでしょう。
また、英検準1級は、TOEICなどの英語検定と比べて「ライティング」と「スピーキング」の比重が大きい検定なので、「実用的な英語力」があることの証明になります。
就活や転職に役立つ
英検準1級は、高い英語力があることを証明する有効な資格のひとつです。
履歴書の資格欄に記載できるのはもちろん、英検準1級は英語講師などの専門分野の仕事に就くことも可能です。
応募資格の条件として「英検準1級以上」となっていることが多いので、取得しておくと仕事の幅が広がります。
まとめ
この記事では、英検準1級の基礎知識と、合格するための対策と勉強法を詳しく解説しました。
英検準1級は、1次試験の合格率が15%程度と難易度が高く、一般的に「高い英語力」があると認知されるレベルなので、合格にはしっかりとした対策と相当な勉強量が必要です。
合格に必要な4技能をバランス良く伸ばすことを目標に、この記事で紹介した勉強法を参考に、コツコツと勉強に励みましょう。