英会話学習は、とにかく「習うより慣れよ」の世界だと思われがちですが、教室に通ったり、教材を使ったりして学習することは、間違いなく効果的・効率的な英会話の学習方法です。
しかし、学習を通して身につけた英会話能力だけをもって、ネイティブとの会話を問題なくこなせるようになる訳ではないというのも、また事実です。
たとえば、今回紹介する「スラング」は、教室・教材ではなかなか学ぶことのできない英会話の要素のひとつです。
スラングとは、同じ環境や集団に身を置く者の間で用いられる、砕けた言葉・表現のことです。
私たちが日常的に略語や造語を使っているのと同じように、ネイティブも日常会話で頻繁にスラングを使っています。
したがって、英語で自然なコミュニケーションが取れるようになりたいのなら、スラングへの理解は必須です。
この記事では、基本的なスラングについて紹介するだけではなく、スラングを学ぶメリットと注意点の解説もしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
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スラングを学習するメリットと注意点
はじめに、スラングを学習する三つのメリットと、スラングに関して気をつけなければならない二つの注意点を解説します。
メリット①スムーズな英会話が行えるようになる
スラングを学習する一つ目のメリットは、スムーズなコミュニケーションが行えるようになることです。
スラングは、言葉を省略したり、表現を簡略化することによって、同じ集団にいる者同士のコミュニケーションを円滑にする役割を担っています。
また、スラングの中には、日常会話における定型句となっている表現が多いため、一から文を組み立てたり、相応しい表現を探したりする手間が省けると言う意味でも、流暢な英会話には欠かせません。
メリット②「仲間意識」を持ってもらえる
スラングは、相手が仲間・身内であるかどうかの確認、あるいは、自分が仲間・身内であることのアピールとして使われる側面があります。
特にカジュアルな場では、この「仲間意識」を相手に持ってもらえるかどうかが、友好的なコミュニケーションが成立するかどうかに大きく関わってきます。
外国への移住や海外旅行、外国人の友達を作る等の目的のために英会話を学んでいる人にとっては、「仲間意識」の醸成がスラングを学習する一番大きなメリットかもしれません。
メリット③海外の映画や音楽を理解しやすくなる
大衆文化として親しまれている映画や音楽などのエンターテインメントは、スラングとは切っても切れない関係にあります。
ヒップホップの歌詞や、映画の日常会話シーンなどにはスラングが頻出するため、スラングを理解することができれば、そういった海外作品をより楽しめるようになります。
「外国人と交流するためというよりは、海外のコンテンツを視聴するために英会話を学びたい!」という人にも、スラングを学習するメリットがあります。
注意点①TPOに注意!
スラングに関して一番気をつけなければならないのが、スラングを使う時と場所、場合(TPO)です。
日本でも、「マジ」「ヤバイ」などの俗語を改まった場では使わないのと同じように、スラングをビジネスシーン等のフォーマルな場で使用してはいけません。
また、それぞれのスラングには、「砕け具合」や「卑俗度合」のようなものがあるため、会話相手との関係や親密度によっても、使用してよい言葉が変わります。
スラングはコミュニケーションを円滑にする便利な表現ですが、TPOを考えず、みだりに使用するのは控えましょう。
注意点②微妙なニュアンスに注意!
「翻訳された言葉は、翻訳前の言葉と完全に同一だとは言えない」という問題は、スラングに限った話ではありません。
しかし、価値観を共有する集団の中で培われたスラングは、「翻訳から漏れるニュアンス」を特に多く含んでおり、日本語訳だけを見て使うのは避けたほうがいい表現が数多くあります。
「これくらいの親しさの相手に、これくらいの感情を持った時に、この言葉を使う」といったネイティブが感覚的に判断して使い分けていることを、非ネイティブが一朝一夕で身につけられるものではありません。
明日から使える!押さえておくべき基本のスラング
スラングを学習するメリットと注意点について理解を深めたところで、次は基本的なスラングを押さえておきましょう。
日常会話で使うことが多い、挨拶やリアクション表現のスラングを中心に集めましたので、ぜひ覚えて、使ってみてください。
Sup? / Whassup? / Whazzup?
「最近どう?」といった意味の挨拶、「What’s up?」を省略したスラングです。
省略する前の「What’s up?」自体もカジュアルな挨拶で、若者の間では「よう!」くらいの意味で使われることもあります。
「What’s up?」と言われたら、「なんてことないよ」という意味で「nothing」や「not much」と返すのが一般的です。
Alright mate? / You alright?
「よう、元気?」という意味のスラングで、主にイギリスで使われる挨拶です。
簡単に「alright(大丈夫)」と返してもよいですし、「I’m fine(元気だよ)」「Not bad(悪くない)」などと、自分の調子を答えるのもよいでしょう。
cool / awesome
「かっこいい」「いけてる」「素晴らしい」と、人や物を褒める時に使うスラングです。
「Cool」は相手に何かを提案された時に、「それいいね!」と賛同する時にも使うことができます。
epic
本来は「叙事詩」という意味の言葉ですが、スラングでは「Your car is epic!(キミの車、最高だね!)」のように、「最高」「すごい」「いけてる」などといった意味で使われます。
「fail(失敗)」と組み合わせて「epic fail」とすると、「大きな失敗・失態」を意味する表現になります。
next level
何かが「平均を凌駕するほどのものである」ことを意味するスラングです。
基本的には「優れている」という意味で使われますが、「平均にすら遠く及ばないレベル」というふうに、悪い意味で使われることもあります。
amped / psyched
何かが楽しみで待ちきれない時に、興奮する気持ちを表現するスラングです。
「excited」と入れ替えて、「I’m so amped for this trip!(今回の旅行、めちゃくちゃ楽しみ!)」のように使うことができます。
hook
日本でも「フック」は外来語として馴染みのある言葉ですが、スラングとしての使われ方は多岐に渡ります。
「be hooked on」で「夢中になる、中毒になる」といった意味になり、「hook up with」なら、「(恋愛関係にない者と)イチャイチャする、性的関係を持つ」という意味になります。
「hook up」は他にも、「(友人同士で)集まる、つるむ、合流する」などといった意味で使われます。
blast
本来は「突風」「爆発」などを意味する言葉ですが、スラングでは「楽しい時間・経験」を意味します。
「Have a good time!(楽しんできてね!)」と同じ意味で、「Have a blast!」という使い方をしいます。
delish
「美味しい」という意味である「delicious」の砕けた表現なので、日本語の「うまい」と似たニュアンスを持っています。
「うまい」を表現するスラングは「delish」の他にもいくつかあり、ケンタッキーフライドチキンのキャッチコピーとして有名な、「finger licking good」もそのひとつです。
「lick」は「舐める」という意味なので、「finger licking good」は「指まで舐めたくなるくらいうまい」という意味になります。
bae
最近、若者を中心に広がっているスラングで、夫、妻、恋人、親友、愛犬など、「愛する誰か・何か」に対してならば、何にでも「bae」と言うことができます。
由来に関しては諸説あり、赤ちゃんや恋人などを指す「baby / babe」から来ているとも、「before anyone else(誰よりも優先して)」の略語だとも言われています。
取扱注意!使用しないほうがいいスラング
外来語としての「スラング」は、略語、造語、隠語、俗語、卑語など、フォーマルな場での使用に適さない言葉・表現を、包括的に表した言葉です。
そのため、一口にスラングと言っても、親しい友人の間で頻繁に使われているものもあれば、あまりに卑俗な表現であるがゆえに、親しい間柄でもあまり使われないものもあります。
これから紹介するスラングは、下品である等の理由から、使用しないほうがいいスラングです。
知識として頭に入れておく程度に留めて、「こういうスラングは使っちゃダメなんだな」という理解・判断の参考にしてください。
fuck
日本でも非常に有名なスラングで、洋画などで耳にする機会が多いと思いますが、上品とは言えない表現なので、気軽に使用しないでください。
「What the fuck(なんてことだ)」、「Fuck off(失せろ)」などの、「fuck」を含む表現も同様です。
「fucking good(めっちゃイイ)」のように、「とても」という意味のスラングとしても用いられる単語ですが、こちらの使い方も、慣れないうちは控えましょう。
bitch / cunt
「Fuck」と同じように、これらの言葉も、耳にする機会が多いかもしれません。
どちらも女性を侮辱する時に使われるスラングですが、「あの女」「嫌な女」などの訳語から受ける印象より、はるかに攻撃的な言葉です。
なにより、「bithch」や「cunt」のような、性を関連付けた侮蔑語の使用は、親しい間柄でも避けたほうが良いでしょう。
bastard / retarded
「bastard」は「嫌なヤツ、くそったれ」、「retarded」は「馬鹿なヤツ」という意味です。
誰かを罵倒する際に使う言葉なので、上品な言葉遣いでないのはもちろんですが、「bastard」の本来の意味が「私生子」、「retarded」の本来の意味が「知恵遅れ」と、単語が持つ本来の意味自体が、非常に侮蔑的です。
bullshit / asshole
「bullshit」は「嘘」「でたらめ」、「asshole」は「クソ野郎」「馬鹿」などといった意味です。
直訳すると、「Bullshit」は「牛糞」、「Asshole」は「尻の穴」となります。
どちらも、いわゆる「下ネタ」が元なので、気軽に使うと良からぬ印象を相手に与えてしまうことになります。
現代では必須!?押さえておくべきネットスラング
現代社会においては、インターネットを通じて海外の人とコミュニケーションをする機会が少なくありません。
そこで、最後に、SNSやオンラインチャットで使えるネットスラングを紹介します。
Good luck / Have fun / GLHF
対戦ゲームをはじめる時の挨拶として使うスラングで、「よろしく」という意味です。
「幸運を祈る」「楽しんで」といった意味の言葉ですが、本来の意味はあまり意識されず、単に「よろしく」という挨拶として使われています。
「GLHF」は、「Good Luck, Have Fun」の略です。
tx / thx / thnx / ty / tyvm
「Thanks」、「Thank you」、あるいは「Thank you very much」の略で、「ありがとう」と感謝を伝える時に使えるネットスラングです。
「Thanks for the follow(フォローしてくれてありがとう)」の略である「TFTF」や、「Thanks for the info / invite(教えてくれてありがとう/招待してくれてありがとう)」の略である「TFTI」など、より限定されたシチュエーションで使われるスラングもあります。
yw / np
それぞれ「You are welcome」、「No problem」の略で、「どういたしまして」という意味です。
「問題ない」という意味の「np」は、日本語で言う「全然構わないよ」のような感覚で、「thx(ありがとう)」に対する返答として使われます。
もちろん、「問題ない」という意味のスラングとして使うこともできます。
CUL / CYA
「またね」と別れの挨拶をする時に使えるスラングで、それぞれ「see you later」、「see you」の略です。
幼児語で「バイバイ」という意味の「ta ta」を使った、「TTFN (ta ta for now)」というネットスラングもあります。
luvu / ILU / ILY / ILUSM
「luvu」と「ILU」、「ILY」は、いずれも「I love you(あなたが好き)」を意味するスラングで、「ILUSM」は「I love you so much(あなたが大好き)」を意味します。
スラングで贈られた愛の言葉には、こちらもスラングで「lu2(I love you, too」と返すのが良いでしょう。
IMO / IMAO / IMBO / IMHO / IMPO
それぞれ、「in my opinion(私の意見では)」、「in my arrogant opinion(あえて言わせてもらえば)」、「in my biased opinion(偏った意見かもしれませんが)」、「in my humble opinion(愚見ですが)」、「 in my personal opinion(私見ですが)」の略語で、自分の意見を述べたい時に使えるネットスラングです。
話の内容や自分のスタンスに応じて使い分けられると便利です。
’cause / cuz / cus / bc
全て「because」の省略表現で、「なぜなら」という意味です。 略され方が豊富なのは、日常的によく使われる接続詞だからでしょう。
テキスト上の表現だけではなく、実際の会話で使われることもあり、その場合は「カズ」「コズ」と発音されます。
LOL / LMAO / ROFL / ROTFL
それぞれ、「laugh out loud(声を上げて笑う)」、「laugh my ass off(尻がもげるほど笑う)」、「rolling on the floor laughing(床を笑い転げる)」の略語で、日本語のネットスラングで言うところの「笑」や「草」に当たる表現です。
笑った、笑っているということを表現するネットスラングとしては、笑い声をそのまま表した「hahaha」や「hehehe」が使われることもあります。
meh / blah / bleh
「どうでもいい」「つまらない」など、無関心や退屈な気持ちを表現する際に使うネットスラングです。
「How was today?(今日はどうだった?)」などと聞かれた時に、「Today was meh(今日はつまらなかった)」のように使うことができます。
WTF / WTH
「What the fuck」、「What the hell」の略で、どちらも「何てことだ!」と驚いた時に使うスラングです。
「使用しないほうがいいスラング」でも解説しましたが、「fuck」を含んだ粗暴な表現なので、あまり親しくない相手に使うのはやめたほうが良いでしょう。
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まとめ
この記事では、教材などでは学ぶことが難しい、英語のスラングについて紹介・解説しました。
スラングを学んでおくと、ネイティブと親密な関係を築けたり、海外のコンテンツが理解しやすくなったりと、様々なメリットがあります。
今回紹介したスラングを覚えて、実際に使ってみましょう。
ただし、スラングはあくまで砕けた表現であり、なかには卑俗な表現を含んだものもあるので、スラングを使う場合は話相手とTPOには、十分気をつけてください。