英会話のリスニング能力を鍛えるなら、「聞き流し」がおすすめ!

英会話のリスニング能力を鍛えるなら、「聞き流し」がおすすめ!

日常会話に不足がないくらいの英語リスニング能力を身につけたい、と考えたとき、「聞き流し」学習法はとても魅力的にみえます。

英語を聞き流しているだけで、手軽に、ストレスなくリスニング能力が向上するのなら、これほど理想的な学習法はありません。

一方で、「そんなうまい話はない」と考える方も多いでしょう。

今回は、「聞き流し」という学習法を取り入れようと考えている方へ向けて、なぜ「聞き流し」がリスニング能力の向上におすすめなのか、また、聞き流し学習をするときに気をつけなければならない注意点等について、解説していきます。

目次

聞き流し学習をおすすめする理由

赤ちゃんや小さい子供は、親をはじめとする周囲の人が会話しているのをただ聞いているだけで、言語を習得しています。

大人が同じ要領で言語を習得することは簡単ではありません。
だからと言って、「聞き流し」がまったく言語能力向上の助けにならない、ということではありません。

聞き流し学習には、大きく分けて三つの優れた点があります。

英語学習におけるインプットとは、英語でニュースを聞いたり、単語帳を使って語彙を増やしたりして、知識を「入力する」ことです。

反対に、英語を話したり書いたりして、インプットしたものを「出力する」ことを、アウトプットと言います。

英会話を勉強するにあたって、インプットとアウトプットはどちらも重要ですが、注目したいのは、「インプットしていないことはアウトプットできない」ということと、「インプットしたことを100%アウトプットするのは難しい」ということです。

アウトプットするためには、それに倍するインプットが必要です。だからこそ、大量にインプットできる「聞き流し」がおすすめということになります。

英語に慣れることができる

ネイティブスピーカーが英語を話すとき、「英語を話そう」と意識しながら話すことはありません。
言語は無意識に扱うことが理想であり、英語を話そうと「意識」することは、英会話でのスムーズなやり取りの妨げになります。

この「意識」を取り除くためには、英語に慣れることが一番です。

「聞き流し」は、英語に触れる時間を増やすとともに、別の作業をしながらおこなう「ながら学習」によって、「英語」と「日常」の間に存在する意識の壁を取り払うこともできるので、英語に慣れるためにぴったりの学習法と言えます。

「ながら学習」で時間を効率的に使える

何か作業をしながら、同時に「聞き流し」で学習できるというのには、英語に慣れることができるというだけでなく、時間を効率的に使えるというメリットがあります。

家事や部屋の整理、ウォーキングなどと並行して聞き流し英会話アプリなどを活用することで、限られた時間でリスニング能力を鍛えることができるでしょう。

時間を取れられないということは、学習を継続できるかどうかにも関わってきます。
英会話を身につけようという場合、「継続」は重要なファクターのひとつです。

「聞き流し」なら、無理なく効率的に学習を継続することができます。

こんなやり方はNG!効果が出にくい「聞き流し」

こんなやり方はNG!効果が出にくい「聞き流し」
「聞き流し」は、何も考えず、漫然と英語を聞いていればリスニング能力が上がる、というような、魔法の学習法ではありません。

やり方によっては、時間と労力を無駄にする結果になってしまうこともあります。
「聞き流し」をする際には、これから紹介する「三つの落とし穴」にはまらないように気をつけてください。

基礎的な英語能力がないまま「聞き流し」

「聞き流し」をするためには、基礎的なボキャブラリーと文法理解が不可欠です。
お経をいくら聞き流したところで、お経の意味がわかるようにはならないのと同じように、まったく意味のわからない「音」をずっと聞いていても、英語が理解できるようにはなりません。

単語帳や参考書を使って、英語能力の「基盤」をしっかり構築してから、「聞き流し」に臨むのが良いでしょう。

自分の英語能力に見合わない教材を使う

意味をなさない「音」を聞き流していても仕方がない、というのは、基礎ができていない初心者だけに言えることではありません。

自分の英語能力に見合わない教材を選べば、同様に、「聞き流し」が「音を聞く作業」となってしまいます。
目安として、リスニングの段階で7~8割の内容を理解できる教材を選ぶと良いでしょう。

英会話教材ならスクリプト(リスニングの内容が文字になっているもの)、映像作品等なら字幕を見ればほとんどの内容が理解できるくらいのレベルが望まれます。

集中力を必要とする作業と一緒に「ながら学習」をする

「聞き流し」をおすすめする理由として、「ながら学習」で時間を効率的に使うことができる、という点を挙げました。

しかし、「ながら学習」の際に、集中力を大きく割かなければならない作業をおこなうと、「聞き流し」の効果が著しく低くなってしまいます。

特に、本を読んだり、書類を作成したりする言語に関係する作業は、集中力が分散してしまうので避けてください。

「ながら学習」をするときには、ウォーキングや後片付けなど、意識をあまり集中しなくていい作業をしながらにしましょう。

自分の英語力に合わせた教材の選び方

自分の英語力に合わせた教材の選び方
自分の英語能力に合った教材を選ぶことが大切だと話しましたが、具体的にはどのような教材が「聞き流し」に適しているのでしょうか。

英語能力で初級者・中級者・上級者と大雑把にレベル分けしたうえで、それぞれの人におすすめの「聞き流し」教材を紹介していきます。

初級者はCDがついている参考書を活用しよう

まだ英会話の基礎が固まっていない初級者におすすめなのは、CDがついている参考書です。

参考書で基礎的な単語力・文法力を身につけられるうえに、解説が載っているので、「何度聞いても意味がわからないまま」ということがありません。

参考書についているCD音声は、発音が綺麗で、話すスピードが速すぎないので、初級者が「聞き流し」の教材にするにはもってこいです。

中級者は英語ニュースを聞き流そう

重りの重量を徐々に上げていく筋力トレーニングと一緒で、リスニング能力のトレーニングも、「簡単にできること」を続けていくだけではなかなか効果が出ません。

使っているリスニング用の教材を簡単に感じてきたら、次のステップに進みましょう。

参考書にも設定された難易度がありますので、より難しい参考書を使っていくのも良いですが、「英語ニュースの聞き流し」もおすすめです。

あらかじめ日本語のニュースを聞いていれば内容を知ることができるので、「NGな聞き流し」である、「理解できない内容の聞き流し」になることがありません。

また、アナウンサーの話す英語は聞きやすく、訛りのない語り口になっているので、リスニング用の教材にぴったりです。

わからなかったところは確認できるように、「聞き流し」には字幕のついているニュースを使ってください。

上級者は海外映画・ドラマに挑戦

映画やドラマは、「日常生活にはない多様なシチュエーションが登場する」、「皮肉やジョーク、スラングが飛び交う」、「アメリカやイギリス以外の国の出身者が演じている」など、多くの点から、リスニング教材としては難易度がかなり高くなります。

しかし、これは裏を返せば、「多様な場面における会話」、「ネイティブが日常会話で使う生の英語」、「色々な国の訛り・アクセント」を学べるということであり、映画・ドラマは、上級者ならば得るものが多い教材だと言えます。

また、自分の興味のあるジャンル・内容のものを選び、楽しみながら学習ができるというのも、大きなメリットです。

どんなに効率を追求しても、結局は学習を「積み重ねられるかどうか」が重要なので、リスニング内容が面白く、興味を引かれるものであることに越したことはないでしょう。

プラスアルファでより効果的な「聞き流し」を!

プラスアルファでより効果的な「聞き流し」を!
「聞き流し」はどちらかと言うと、じっくり腰を据えておこなうタイプの勉強法ではありません。
「ながら学習」をおすすめしていることからもわかるように、「質より量」の勉強法であると言えます。

しかし、「聞き流し」で学習をする際に一手間加えるだけで、より効果的で質の高い学習になる方法があります。

ある程度まとまった時間が取れ、集中する環境を用意できる場合など、「量より質」のリスニング練習ができるときには、実践してみてください。

シャドーイング

シャドーイングとは、英語を聞くと同時にそれを真似て発声する、英会話の学習法のひとつです。

インプットとアウトプットを同時におこなうことで、蓄えた知識を実践的なコミュニケーションに利用する訓練になります。

実際の英会話では「リスニング」と「スピーキング」を同時にこなさなければならないので、これら二つの能力を同時に鍛えられるシャドーイングは、英会話を勉強するうえで理想の学習法と言えます。

はじめのうちは、スクリプトや字幕を用意して、それを見ながらシャドーイングをしてみましょう。

シャドーイングで英会話能力を向上させるコツは、聞いた言葉を「自分の発音」で発声するのではなく、できるだけ「聞いたまま」真似をして声に出すことです。

そうすることで、ネイティブスピーカーのアクセントやイントネーション、リズムを学んでいくことができます。

ディクテーション

聞いた英語を即座にスピーキングするシャドーイングに対し、聞いた英語をライティングしていくのがディクテーションです。

小中学生のとき、「教科書を読むだけでは理解できない」「ノートを取ったほうが良い」と言われたことはないでしょうか。

インプット・タイプの学習法は処理が頭の中で完結するので、「わかった気」になってしまいがちです。

アウトプットも併用するディクテーションならば、聞き取れなかった単語がはっきりわかるので、「どういう発音の単語を聞き取りづらいか」などの弱点を洗い出すことができます。

聞こえた単語を書き取っていくのは思った以上に難しく、集中力を必要とする作業なので、普通の「聞き流し」に使う教材より、簡単な教材を使うのがいいでしょう。

また、一発でリスニングした通りの文章を完成させる必要はありません。

まずはディクテーションをせずに聞き流し、その後は同じ音声を何度も聞きながら、徐々に文章を完成させていくと良いでしょう。

大切なのは、わからなかった単語をわからないままにしないことです。

どうしても聞き取れない単語があった場合は、スクリプトや字幕を確認し、「どうしてこの単語が聞き取れなかったのか」を分析してみてください。

まとめ

「聞き流し」は、大量のインプットを効率よくおこなえる、おすすめの学習法です。

ただ、「意味のわからない音を漫然と聞く作業」では、リスニング能力を鍛えることができないので、自分の英語能力に合った教材を選び、ある程度は集中することができる環境を整えたうえで、「聞き流し」をおこないましょう。

「シャドーイング」や「ディクテーション」を「聞き流し」と組み合わせることで、より効果的にリスニング能力を鍛えることができます。

「聞き流し」に割く時間と集中できる時間をうまく調整しながら、「継続」を第一に、英会話の学習をしていきましょう。

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