世界で通用する英語試験のひとつに「TOEFL iBT」があります。
TOEFL iBTは、海外の大学に進学する際の英語力を判定する基準として使われるテストです。
しかし、TOEICや英検などの主要英語試験と比べて、日本ではあまり馴染みがないため、試験内容や対策方法について詳しく知っているという人は少ないでしょう。
そこで本記事では、
- TOEFLの試験情報
- TOEFLの特徴(他の主要英語試験との違い)
- セクション別の対策
- 高得点を取るための勉強法
これら4つを詳しく解説します。
TOEFLを受験するか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
TOEFLの種類について
まず、TOEFLと一括りにされていますが、実際には次の2種類に分かれています。
- TOEFL iBT(Internet Based Test)
- TOEFL ITP(Institutional Test Program)
TOEFL iBTは、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能をインターネットを使って受験するテストです。
一方のTOEFL ITPはスピーキングを除いた3技能を測るペーパー試験です。基本的に学校や会社などの団体で申し込む必要があります。
TOEIC ITPはほとんどの場合、学校でクラス分けをする際や社内で英語力を測る際に使用され、スコアを海外進学や就職に使用することはできません。
そのため、海外進学を目的としている場合は、TOEIC iBTを受験する必要があります。
この記事では、「TOEIC iBT(Internet Based Test)」に関する試験情報や対策・勉強法を詳しく解説して行きます。
TOEIC ITPの試験については触れませんので、ご注意ください。
TOEICの試験対策や勉強方法についてはこちらのリンクからになります。
TOEFLとは?
まずは、TOEFLを初めて受験するという方に向けて、TOEFLの試験情報を紹介します。
TOEFLとは、「Test of English as a Foreign Language」の略称で、英語の非ネイティブスピーカーの英語力を測ることを目的としたテストのことです。
主に海外の大学・大学院への進学時の英語力を判断するための基準として使用されます。
そのため、英語圏の大学で学ぶのに必要な英語力があるかどうかを、アカデミックな内容の問題が出題され判断されます。
TOEFLの受験料
TOEFLの受験料は、$245(アメリカドル)です。
申込時の為替相場によりますが、1アメリカドルが105円の場合、日本円にすると25,700円程度になります。
以前はUS$230でしたが、2021年2月より$245(アメリカドル)に改訂されましたのでご注意ください。
TOEFLの試験内容
TOEFLは、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4パートで構成されています。
設問数はあまり多くありませんが、一つひとつのパッセージや音声が長く、テスト全体の所要時間は3時間程度です。
ここでは各セクションの出題形式と出題内容、問題数を表にまとめましたので、参考にしてください。
(※クリック・タップで開く)
リーディング:54分~72分
- パッセージの内容
- 自然科学や芸術など、幅広い分野にわたる教養科目を題材としたパッセージ
- 出題内容
- アカデミックな長文を読み、それぞれ出題される10個の設問に答える
- 問題数
- パッセージ:3~4個
※1つのパッセージにつき10個の設問が出題される
リスニング:41分~57分
聞く内容 | |
---|---|
講義問題 | 幅広い教養科目を題材とした講義 |
会話問題 | 教授と学生、学生同士、大学職員と学生などの会話 |
出題内容 | |
---|---|
講義問題 | 講義を聞き、出題される5~6個の設問に答える |
会話問題 | 会話を聞き、出題される5~6個の設問に答える |
問題数 | |
---|---|
講義問題 | 3~4題 |
会話問題 | 2~3題 |
スピーキング:17分
話す内容 | |
---|---|
Independent Task |
身近なトピック |
Integrated Tasks |
アカデミックなトピック |
出題内容 | |
---|---|
Independent Task |
身近なトピックについて自分の意見を45秒で答える(15秒間の準備時間あり) |
Integrated Tasks |
読んだり聞いたりした内容を要約し、自分の言葉で話す |
問題数 | |
---|---|
Independent Task |
1問 |
Integrated Tasks |
3問 |
ライティング:50分
書く内容 | |
---|---|
Independent Task |
アカデミックなトピック |
Integrated Tasks |
アカデミックなトピック |
出題内容 | |
---|---|
Independent Task |
読んだり聞いたりした内容を要約し、エッセイ形式で書く(150~220 Words) |
Integrated Tasks |
設問に対する自分の意見を書く(300 words以上) |
問題数 | |
---|---|
Independent Task |
1問 |
Integrated Tasks |
1問 |
TOEFLのスコアについて
TOEFLでは、合格・不合格ではなく、各セクション30点満点の総合スコア120点満点で英語力を測定します。
TOEFLのスコアはテスト日より2年間有効です。
失効すると再度受験する必要がありますのでご注意ください。
TOEFLのテスト日程
TOEFL iBTテストは、1ヶ月に3~6回実施されています。
テスト日の約6ヶ月前から申し込むことができますので、受験することを決めたら、時間に余裕を持って公式ホームページより申し込んでおくといいでしょう。
テストの詳しい日程は、公式ホームページに掲載されている「テスト日程・会場」で確認できます。
TOEFLの特徴:他の英語試験との違い
続いて、TOEFLの特徴を他の主要英語試験と比較しながら紹介します。
取得の目的
TOEFLと他の英語試験との違いのひとつに、「取得の目的」があります。
ここでは、TOEFLとTOEICの取得の目的を比較表にまとめましたので、参考にしてください。
TOEFL iBT | TOEIC | |
---|---|---|
取得の目的 | 海外進学、海外留学 | 国内における就職、転職 |
受験者層 | 海外への進学・留学を視野に 入れた大学生や社会人 |
就活を視野に入れた大学生や社会人 |
TOEFLとTOEICはテストの名称が似ていることもあり、どちらを受験するべきか迷う人は多いでしょう。
しかし、実際には「高得点を取得する目的」「スコアの利用目的」が大きく異なります。
TOEFL iBTは、上でもお伝えしたとおり、海外(主に英語圏)の大学やコミュニティカレッジに進学・留学する際の英語力の判断材料として使用されます。
その一方で、TOEICは国内の就職・転職活動において、英語力をアピールする際に役立ちます。
実際に、新卒採用や中途採用でTOEICの一定スコアが求められることはよくありますが、TOEFL iBTのスコアを求められることはほとんどありません。
逆もまた然りで、海外進学の際に英語力の判断材料としてTOEICスコアの提示を求められることはありません。
難易度
TOEFLの難易度は比較的高いとされています。
文部科学省が発表している『各試験・各試験とCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の対照表』を基に、TOEFL iBTとTOEIC、実用技能英語検定(英検)の比較表を作成しました。
CEFR | TOEFL iBT | TOEIC L&R/ TOEIC S&W |
英検 |
---|---|---|---|
C1 | 120~95 | 1990~1845 | 1級 |
B2 | 94~72 | 1840~1560 | 1級~準1級 |
B1 | 71~42 | 1555~1150 | 準1級~2級 |
A2 | 1145~625 | 2級~準2級 | |
A1 | 620~320 | 準2級~3級 |
上記の表を見ると、TOEFL iBTで満点を取るためには、英検1級、TOEICで約925点以上を取得できる程度の英語力が必要ですし、最低でもTOIECの1150点、英検の2級以上の英語力がないと受験できるレベルではないがことが分かります。
そのため、TOEFL iBTはTOEICなどの他の英語試験と比べて、より難しいテストだと言えそうです。
ちなみに、英語圏の大学に進学するためには、コミュニティカレッジで60点程度、大学で80~100点程度のスコアが必要とされています。
測定する技能
TOEFLの特徴として、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能すべてを測定する点が挙げられます。
さらに、各セクションの配点が30点となっており、高得点を狙うためには4技能をバランス良く習得する必要があります。
ここでは、主な英語試験の測定技能を一覧表にまとめましたので、参考にしてください。
TOEFL iBT | TOEIC L&R | TOEIC S&W | 英検(3級以上) | |
---|---|---|---|---|
リーディング | 〇 | 〇 | 〇 | |
リスニング | 〇 | 〇 | 〇 | |
スピーキング | 〇 | 〇 | △ (2次試験にて測定) |
|
ライティング | 〇 | 〇 | △ (3級と準2級のみ) |
この表を見て分かるように、4技能をまとめて測定できることがTOEFL iBTの強みです。
セクション別に解説!TOEFLの対策・勉強法
ここまでで、TOEFL iBTの試験情報と特徴をお伝えしてきました。
そこで次に、セクション別の対策・勉強方法を詳しく解説します。
リーディング
TOEFLのリーディングセクションでは、54分~72分で3~4つの長文を読み、設問に答える必要があります。
これらのパッセージは、本文・設問ともに文字数が多いため、いかに速くかつ正確に英文を理解できるかが重要なポイントになります。
具体的には、
- たくさんの英文に触れ、英語長文に慣れる
- 時間を意識して、英文を読むスピードを上げる(速読)
- アカデミックな文章の理解度を高めるために、アカデミックな文章に頻出の単語やフレーズを学習する
などといった対策が効果的です。
TOEFL iBTの模試テストやインターネット上にある英語の記事などを活用して、アカデミックな英語長文に日常的に触れるよう心がけましょう。
リスニング
TOEFLのリスニングセクションでは、講義形式の音声と会話形式の音声を聞いて、それぞれ出題される設問に解答します。
リスニングセクションで高得点を取るためには、まず英語に耳を慣らすことが重要です。
最終的には、アカデミックな内容の講義や会話をしっかりと聞き取れるようになることが理想ですが、まずは英語に対する苦手意識をなくすことを目標に取り組みましょう。
海外ドラマやYouTubeの動画などを積極的に活用して、ネイティブスピーカーによるナチュラルスピードの英語に耳を慣らしましょう。
ただし、英語学習者向けのゆっくりとしたスピードの、教科書のような英語音声を聞くのは避けてください。
スピーキング
TOEFLのスピーキングセクションでは、コンピューターのマイクに向かって英語を話します。
「英語を間違いなく話せているか」ということはもちろん、下記の内容も評価されます。
- 話の筋が通っているか
- 話を展開するテンポが良いか
つまり、TOEFLのスピーキングテストで高得点を取るためには、英語を間違いなく話せるだけでなく、話を順序よく展開する力も求められるということです。
具体的なスピーキングの対策としては、
- TOEFLの出題形式を知る
- 回答のテンプレートを学習し、テンプレートに当てはめて回答できるように練習する
というTOEFL特有の対策が効果的です。
TOEFLのスピーキングセクションでは、「身近なトピックについて意見を述べる」というタスクと、「読んだり聞いたりした英文を要約して伝える」という、タスクの2つが出題されます。
そのため、「自分の意見を伝えるための英文テンプレート」「英文を要約して伝えるための英文テンプレート」を頭に入れておけば、出題されるトピックに関わらず、スムーズに英語を話せるようになります。
ライティング
TOEFLのライティングセクションでは、タイピングで英語の文章を入力します。
読んだり聞いたりした内容を要約して書くタイプと、自分の意見を述べるタイプの2つのエッセイを書く必要があります。
ここでは、英語の語彙や文法に関する知識はもちろんのこと、英語で説得力のある論理的な文章を書く力が求められます。
たとえ、言語能力が高くても、論理的な文章を書けなければ高得点を取得することはできません。
そのため、普段から自分の意見を論理的に書きまとめる練習をしたり、記事やコラムの内容を自分の言葉で要約したりするトレーニングを積んでおく必要があります。
アカデミックなライティングでは、
There are three reasons why I think ~.
(私が~と思う理由は3つあります。)
Thus, I believe that~.
(従って、私は~と信じます。)
など、繰り返し使える便利な定型文が存在します。
実際に文章を書く練習をすることにより、「序論・本論・結論」といったパターンに当てはめて、論理的な文章が書けるようになります。
さまざまなアカデミックなトピックに対応できるように、TOEFLの模試テストや予想問題集などを活用して、文章を書く練習をしましょう。
ちなみに、実際に書いた文章は、学校の先生や英語が得意な友人などに添削してもらうとさらに効果的な学習ができます。
TOEFLで高得点を取るためのポイント
最後に、TOEFLを受験する上で知っておきたい、高得点を取るためのコツを紹介します。
目標スコアを決めて専門的な対策を講じる
TOEFL iBTは、アカデミックな内容に特化した英語試験です。
長文や英語の音声、スピーキング・ライティングのお題などは、海外の大学生活で遭遇するようなアカデミックな内容に基づいています。
ですので、TOEFLの受験を決めたら、目標の点数を決めた上で、TOEFLの出題形式や出題内容に合わせて専門的な対策を講じておきましょう。
ただ英語力を伸ばすことを目標にして学習に取り組むよりも、「TOEFLで100点を獲得する」という具体的な目標に向かってコツコツ勉強をする方が、より高い効果が期待できます。
4技能をバランス良く学習する
上でもお伝えしたとおり、TOEFLではリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能がそれぞれ30点満点で測定されます。
そのため、高得点を獲得するためには、すべての技能をバランス良く身につけておく必要があります。
得意技能を伸ばすことはもちろん、苦手分野がある場合は、一刻も早く弱点を補強しておきましょう。
まとめ
本記事では、TOEFLの受験を検討している方に向けて、TOEFLの試験情報とセクション別対策・勉強法について解説しました。
TOEFLの学習に取り組む際には、
- 目標スコアを決めて専門的な対策を講じる
- 4技能をバランス良く学習する
の2つのポイントを押さえて学習に励んでください。
TOEFLを受験する際は、ぜひこの記事で紹介した試験情報と対策・勉強法を参考に、高得点を目指しましょう。
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コンテンツ監修者:朝倉 浩之
英検・受験指導専門家として大学や私学、予備校にて15年で延べ3000人以上の生徒へ指導。中学校教諭一種免許状(外国語)及び高等学校教諭一種免許状(外国語)保有。