「頑張って勉強しているのに、英語がぜんぜん聞き取れない…」という悩みを抱える英語学習者は少なくありません。
英単語や英文法の知識はあるのに英語が聞き取れないのは、英語の「音声変化」の学習不足が原因かもしれません。
英語の「発音ルール」の学習は、つい後回しにしてしまいがちですが、英語のリスニング力を強化するためには必要不可欠です。
そこで今回は、英語の音声変化5パターンについて具体例を挙げて詳しく解説します。
音声変化の学習・トレーニングに最適なアプリと教材も合わせて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
英語の音声変化とは?
英語の音声変化とは、ネイティブがナチュラルスピードで英語を話した時に起こる「音」の変化、すなわち英語の発音が変化する法則・ルールのことです。
英語を話す際、音をつなげたり省略したりした方が発音しやすいという理由から、音声変化は起こります。
例えば、“Can I?”が“キャナイ?”のように聞こえるのは、“n”の音と“i”の音がつながって発音されているからです。
また、“night”の“g”の音が発音されないのも、音声変化のルールに基づいたものです。
音声変化を学習すると、ネイティブに近い綺麗な発音が身につくだけでなく、リスニング力も伸びるなど嬉しい効果が期待できます。
「英語が聞き取れない…」と悩んでいる方は、ぜひ英語の音声変化をマスターしましょう。
英語の音声変化一覧表
英語には、主に次の5種類の音声変化があります。
音声変化 | 説明 | 例 |
---|---|---|
1.連結 (リンキング) |
2つの音がつながる | Keep out 「キープアウト」 →「キープァウト」 |
2.同化 (アシミレーション) |
2つの音がつながって、 新たな音に変化する |
Meet you 「ミートユー」 →「ミーチュー」 |
3.脱落 (リダクション) |
音が省略される (発音されない) |
Stop 「ストップ」 →「ストッ」 |
4.ら行化 (フラップt) |
“t”“r”の音は「ら行」の音になる | Water 「ウォーター」 →「ウォーラー」 |
5.弱形 | 機能語が弱く発音される | I was born in Japan. →“was”と“in”が弱く発音される |
ここでは、これら5つの音声変化についてそれぞれ具体例を挙げて分かりやすく解説していきます。
連結(リンキング)
連結(リンキング)とは、2つの単語の音がつながる音声変化のことです。主に「子音」で終わる単語に「母音」で始まる単語が続く時に起こります。
「子音」+「母音」
1つ目の単語が「子音」で終わって、2つ目の単語が「母音」で始まる場合、子音と母音をくっつけて発音されます。
【例】
keep out
「キープアウト」→「キープァウト」
cut it
「カットイット」→「カットィット」
hang out
「ハングアウト」→「ハングァウト」
「子音」+「子音」
次に「子音」と「子音」が続く場合もリンキングすることがあります。子音と子音のリンキングは、同じ音または似ている音が連続する時に起こります。
【例】
put them
「プットデム」→「プッドェム」
stop playing
「ストッププレイング」→「ストップレイング」
「母音」+「母音」
母音と母音が続く場合もリンキングし、2つの音の間に“y”や“w”のような音が聞こえることがあります。
【例】
do it
「ドゥイット」→「ドウィット」
you are
「ユーアー」→「ユーウァー」
同化(アシミレーション)
同化は、2つの音が合わさって異なる音になる音声変化です。
具体的には、“t”“d”“s”“z”の音の後に“y”が続く場合、それぞれ「チュ」「ヂュ」「シュ」「ジュ」といった音に変化します。
【例】
meet you
「ミートユー」→「ミーチュー」
need you
「ニードユー」→「ニージュー」
impress you
「インプレスユー」→「インプレシュー」
脱落(リダクション)
脱落(リダクション)とは、音が省略される、または省略されたように聞こえる音声変化です。
連続する音の種類によって、まったく発音されなかったり、かすかに聞こえる程度にしか発音されなかったりします。
破裂音 | |
---|---|
無声音 | 有声音 |
“t” “p” “k” | “d” “b” “g” |
完全に省略されている訳ではありませんが、本来「ップ」や「ット」という音が「ッ」のように聞こえます。
【例】
fruit
「フルーツ」→「フルーッ」
stop
「ストップ」→「ストッ」
look
「ルック」→「ルッ」
good
「グッド」→「グッ」
morning
「モーニング」→「モーニンッ」
また、“b”で終わる単語の場合、最後の“b”は発音されません。
【例】
thumb
「サム」
comb
「コーム」
firebomb
「ファイヤーボム」
「子音」+「子音」
次に、破裂音の子音と子音が続く場合、音が同じだったり似ていたりすると、前の子音は発音されなくなります。
【例】
good boy
「グッドボーイ」→「グッボーイ」
sit down
「シット ダウン」→「シッダウン」
「子音」+「t/k/d」+「子音」
“t”“k”“d”の音が子音に挟まれると、発音されないことがあります。
“Night”を「ナイグト」と読まないのは、この音声変化のルールが存在するからです。
【例】
exactly
「エグザクリー」
night
「ナイト」
castle
「キャッソー」
ら行化(フラップt)
ら行化とは、“t”や“d”の音が「ら行」の音になる音声変化のことです。
主にアメリカ英語で起こる音声変化で、イギリス英語では「ら行化」することはほとんどありません。
【例】
water
「ウォーター」→「ウォーラー」
battle
「バトル」→「バロゥ」
better
「ベター」→「ベラー」
shut up
「シャットアップ」→「シャラップ」
弱形
弱形は、「機能語」が弱く・短く発音される音声変化です。機能語の代表例としては、主に次の5つが挙げられます。
- Be動詞(am、is、areなど)
- 冠詞(a、an、theなど)
- 助動詞(can、do、willなど)
- 代名詞(her、his、usなど)
- 前置詞(and、for、inなど)
これらの機能語は、文の中で重要な意味を持たないことから、弱く発音される傾向があります。
例えば、“I lived in America for 10 years.(私はアメリカに10年間住んでいました。)”という文では、キーワードである“lived”や“America”、“10 years”は強調して発音され、反対に“in”や“for”は弱く発音されます。
【例】
I was born and raised in Japan.
(私は日本で生まれ育ちました。)
⇒“was” “and” “in” は弱く発音される
I met her at the library.
(私は彼女に図書館で会いました。)
⇒“I” “her” “at” “the” は弱く発音される
ただし、これらの機能語が重要な意味を持つ場合など、機能語を強調して話す時には「弱形」の音声変化は起こりません。
【例】
I’m doing it for you.
⇒「あなたのためにやっている。」の「ために」を強調したい時、“for”は強く発音されます。
I left it in the car.
⇒「車の中にそれを入れました。」の「中」を強調する場合、“in”を強調して発音します。
音声変化の学習におすすめのアプリ3選
ここまでで英語の音声変化の基礎知識について解説しました。そこで次に、英語の音声変化を学べるおすすめの英語学習アプリを3つ紹介します。
「音声変化の学習方法がよく分からない…」「もっと手軽に音声変化を学習したい」という人にはアプリの活用がおすすめです。
スタディサプリ-新日常英会話コース
スタディサプリの「新日常英会話コース」は、1回3分からのスキマ時間を活用して日常英会話を学べるアプリです。
アプリ自体は、英語の音声変化に特化したものではありませんが、「リスニングPLUS」というコンテンツを利用することで音声変化を効果的に学習することができます。
リスニングPLUSでは、リスニング練習を通してAIが「“連結”を聞き取れているか」「弱形を聞き取れているか」などといった点を細かく評価してくれます。
そのため、自分の実力や理解度をしっかりとチェックすることが可能です。
「一人で音声変化の学習をするのは不安…」という方や、「自分の弱点をしっかりと把握したい」という方には、スタディサプリがおすすめです。
少しでも気になった方は、ぜひ7日間の無料体験を試してみてください。
価格 | 月額2178円 ※7日間無料体験あり |
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レベル目安 | 初心者〜上級者 |
主な機能 | ・ドラマ式レッスン ・リスニングPLUS(AI搭載) ・1回1分の神授業 |
Listening Hacker Pro
アプリダウンロード Appstore | GooglePlay
「Listening Hacker Pro」は、リスニング力の強化に欠かせない6つの音声変化を身につけることを目的としたアプリです。
この記事で紹介した5種類の音声変化「連結」「同化」「脱落」「ら行化」「弱形」に加えて、“I’m”や“You’re”など「短縮における音の変化」も学べます。
本アプリでは、短文リスニングや長文リスニングをすることで、聞き取りにくい英語の「音」や音声変化を身をもって理解できるようになります。
また、リスニング問題は「初級」「中級」「上級」の3つのレベルから選べるので、初心者でも無理なく取り組めます。
すべての例文に日本語訳がついているのも嬉しいポイントです。
音声変化を学習したい人はもちろん、TOEICや英検のリスニング対策をしたい人にもおすすめのアプリです。
価格 | 610円 |
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レベル目安 | 初心者〜上級者 |
主な機能 | ・6つの音声変化学習 ・リスニングテスト |
ディクトレ
アプリダウンロード Appstore | GooglePlay
「ディクトレ」は、ディクテーションを用いたリスニング学習ができる英語学習アプリです。
ディクテーションとは、英語の音声を聞いて書き取るというトレーニングのことで、「英語を聞く力」の向上に効果的です。
本アプリには、英語の音声と問題の答えをタイピングできる空欄が用意されているので、スマホ一台でいつでもどこでも手軽にディクテーションができます。
ディクテーションは、音声変化の学習法としてよく用いられますが、本アプリには音声変化に関する詳しい解説は掲載されていません。
そのため、すでに音声変化の学習を終えていて、ディクテーションを用いて音声変化の理解を深めたいという人におすすめです。
「音声変化を含む英文の聞き取り練習をしたい!」という方は、ぜひダウンロードしてみてください。
価格 | 無料 |
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レベル目安 | 中級者 |
主な機能 | ・音声機能 ・ディクテーション機能 |
おすすめの英会話アプリ比較表
各社 | 料金 | 無料体験 | 返金・保証 | 公式サイト |
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スピークバディ | 1か月分 61,600円(税込)~ | 無料カウンセリング | あり | 公式サイト |
POLYGLOTS | 4カ月完結型プラン 49,800円(税込み) | オンライン面談あり | なし | 公式サイト |
トーキングマラソン | 月4,378円(税込) | 2週間 | なし | 公式サイト |
スタディサプリ ENGLISH | 月額 2,178円(税込)~ | 7日間 | あり | 公式サイト |
音声変化の学習におすすめの教材3選
続いて、音声変化に特化したおすすめの教材を3つ紹介します。
「音声変化のルールについてもっと詳しく勉強したい!」という方には、教材の活用がおすすめです。
CDやダウンロード可能な音声データが付属している教材を選べば、実際に音声変化を聞く中で音声変化のルールを理解することができます。
5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れる
こちらは、本記事で紹介した5つの音声変化のルールが詳しく解説された教材です。
ドリル形式になっており、最短10日間で集中的に音声変化のルールをマスターすることができます。
リスニング用の音声データは、インターネットから無料でダウンロードできます。分かりやすい解説とネイティブスピーカーによる音声で、効果的に音声変化を学習できます。
音声変化の基礎を学べる本書は、英語の学習を始めようと考えている超初心者〜初心者におすすめの1冊です。
出版社 | マイナビ出版 |
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レベル目安 | 超初心者〜初心者 |
リスニングの教科書-日本語ネイティブが苦手な英語の音とリズムの聴き方がいちばんよくわかる
こちらは、英語特有の音声変化が日本語ネイティブ向けに分かりやすく解説してある教材です。
中でもリンキングの解説・エクササイズが多数掲載されており、「子音+母音」「子音+子音」などあらゆるパターンの音声変化に触れることができます。
本書は解説とトレーニングの全6章で構成されていて、最終章では「ホテルに泊まる」「モノを買う」など場面別の対話文を用いてリスニングを練習します。
音声変化の基礎を学びたい初心者から、ネイティブレベルのリスニング力を身につけたいと思っている上級者まで、幅広いレベルの方におすすめできる一冊です。
出版社 | テイエス企画 |
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レベル目安 | 初心者〜上級者 |
英語耳 発音ができるとリスニングができる
こちらは、英語耳を鍛えるための方法が分かりやすく解説してある教材です。
本書は「発音できない音は聞き取れない」というコンセプトのもと、英語の発音を鍛え、リスニング力を強化することを目的としています。
英語の音声変化についてはもちろん、それぞれの「音」の発声の仕方まで詳しく解説してあります。
「英語耳を鍛えたい!」「英語の発音をマスターしたい」という方はぜひ手に取ってみてください。
出版社 | KADOKAWA |
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レベル目安 | 初心者〜中級者 |
まとめ
今回は、英語の代表的な音声変化の基礎知識と、音声変化を学べるおすすめのアプリ・教材を紹介しました。
- 連結(リンキング)
- 同化(アシミレーション)
- 脱落(リダクション)
- ら行化(フラップt)
- 弱形
日本人は英語の音声変化に馴染みがないため、最初は学習のハードルを高く感じてしまうかもしれません。
しかし、自分に合ったアプリや教材を活用して音声変化を学習すれば、英語が聞き取れることはもちろん、ネイティブのような正しい発音が身につくなどの嬉しい効果が期待できます。
「英語を聞き取れるようになりたい!」という英語学習者は、ぜひこの機会に音声変化を学習して、英語のリスニング力を向上させましょう。