「have to」と「must」のニュアンスの違いと使い方を徹底解説!

“have to”と“must”のニュアンスの違いと使い方を徹底解説!

“have to”と“must”は、どちらも「〜しなければならない」「〜に違いない」という意味があるので「何がどう違うの?」と疑問に思いますよね。

これら2つのフレーズはニュアンスが異なるので、時と状況に応じて使い分けられるとスマートです。

本記事では、“have to”と“must”のニュアンスの違いや具体的な使い方をわかりやすく解説します。

have toとmustの基本の意味

have toとmustの基本の意味

ここでは、“have to”と“must”の主な意味を例文をまじえて解説します。

それぞれの使い分けについて見ていく前に、まずは各フレーズの基本的な意味を理解しましょう。

have toの意味

“have to”は、主に「〜しなければならない」「〜に違いない」という意味で使われる助動詞表現です。

なお、“have”は一般動詞であるため、「I have to go.」「She has to go.」「He had to go.」のように変化します。

発音
/ˈhæf·tu, ˈhæv-, -tə/
意味
①〜しなくてはならない
②〜に違いない

〜しなくてはならない

「〜しなくてはならない」は、“have to”の最も一般的な意味です。

外的な条件や客観的な要因によって必要なことを表現する際に使います。

話し手の意思は含まれておらず、どちらかというと「周りの人がしているから」「誰かに言われたから」といったニュアンスが強く現れます。

客観的に見て必要なことを伝える表現であり、“must”と比べると強制のニュアンスは弱いことから、自分以外の誰かにも使うことができます。

主語 + have to + 動詞の原形 〜
・I have to go now.(私は今行かなくてはならない。)
・You have to study harder.(あなたはもっと勉強しなくてはならない。)
・She has to work on every Sunday.(彼女は毎週日曜日に働かなければならない。)

②〜に違いない

“have to”は、「きっと〜に違いない」という推量の意味でも使うことができます。

“have to be〜.”のように後ろには、be動詞が来ることが多く、話し手が確信していることを表現します。

主語 + have to + 動詞の原形 〜
・There has to be a way to solve the problem.(この問題を解決する方法がきっとあるに違いない。)
・This has to be the worst day ever. (今日はこれまでで最悪な日に違いない。)
・This has to work. (〈このやり方なら〉きっとうまくいくはず。)

mustの意味

“must”は、「〜しなければならない」「〜に違いない」という意味の助動詞です。

“Must”の後には、動詞やbe動詞の原形が続きます。

なお、“must”は、「I must go.」「She must go.」など、主語が変わっても形が変わることはありません。

このように、主語によって変わらない動詞のことを「法助動詞」と言います。

発音
/mʌst, məst, məs/
意味
①〜しなくてはならない
②〜に違いない
③ぜひ〜してください

〜しなくてはならない

「〜しなくてはならない」は、“must”の最も一般的な意味です。

自分の意思で「(絶対に)〜しなければならない」と伝えたい時によく使います。

自分以外の誰かに“You must〜.”と伝えることもできますが、“have to”よりも意思や強制が強く出る上、命令に似たニュアンスがあるため使い方には注意が必要です。

主語 + must + 動詞の原形 〜
・I must leave now.(私は今去らなければならない。)
・You must wash your hands before entering the room.(その部屋に入る前に、絶対に手を洗わなければならない。)
・You must ask the teacher first.(あなたはまず先生に聞かなければなりません。)

〜に違いない

「must + be動詞の原形 + 形容詞、副詞、名詞など」で「〜に違いない」という意味になります。

「〜に違いない」とほぼ100%確信している時に使います。

基本的に、“have to”よりも強く確信していることを表します。

「〜しなければならない」という義務のニュアンスはないため、使い分けに注意しましょう。

主語 + must + 動詞の原形 〜
・You must be tired after a long day at work.(長い仕事をした1日の後で、あなたはきっと疲れているでしょう。)
・She must be our new teacher.(彼女が私たちの新しい先生に違いない。)
・You must be Rachel. I heard a lot about you!(あなたはきっとレイチェルですね。あなたのことをたくさん聞きましたよ。)

ぜひ〜してください

“must”は、相手に何かを提案する際や、相手を招待する際にも使います。

たとえば、友人をパーティに誘う際、“You must come!”のように“must”を使うと、強い勧誘の気持ちを表すことができます。

“You have to come!”や“You should come!”よりも強く勧誘の気持ちを表現することができるので、 時と場合にもよりますが、「ぜひ〜してください」という親切な印象を与えます。

主語 + must + 動詞の原形 〜
・You must come!(ぜひ来てください!)
・You must join us.(ぜひ参加してください。)
・We must catch up soon.(ぜひ会って話しましょう。)

“have to”と“must”の違いと使い方

“have to”と“must”の違いと使い方

“have to”と“must”は互換性があることが多いものの、厳密には細かなニュアンスや使い方に違いがあります。

ここでは、“have to”と“must”の細かなニュアンスの違いと使い方について解説します。

「〜しなければならない」の違い

“have to”と“must”には、どちらも「〜しなければならない」という必要性や義務を表す時に用います。

しかし、厳密には細かなニュアンスの違いがあります。

“have to”は、外的・客観的な要因による義務を表すことが多いのに対して、“must”は話し手の強い意思が含まれる場合に多く使われます。

実際に、コリンズ英語辞典ではそれぞれ下記のように定義されており、“must”には話し手の「〜することが重要である」「〜する必要がある」といった話し手の意思が含まれることがわかります。

コリンズ英語辞典での定義
have to “You use have to when you are saying that something is necessary or required, or must happen.
”訳:何かが必要である、または起こらなければならないと伝える際に“have to”を用いる。
must “You use must to indicate that you think it is very important or necessary for something to happen.
”訳:あなたが何かがとても大切だ、または何かが起こるために必要だと思う際に“must”を用いる。

たとえば、下記の2つの文章はいずれも「明日、私は会議に出席しなければならない」と訳すことができます。

  • I have to attend the meeting tomorrow.
  • I must attend the meeting tomorrow.

しかし、“have to”を用いた文章は「上司や会社の指示、あるいは仕事上の義務」といったニュアンスが強く、逆に“must”を用いた文章は自分の意思による「〜しなければいけない」というニュアンスが強く感じられます。

I have to attend the meeting tomorrow.
→(例:上司にお願いされたから、周りの人が参加しているから)明日、私は会議に出席しなければならない。

I must attend the meeting tomorrow.
→(例:〇〇について知りたいから、昇進のチャンスだから)明日、私は会議に出席しなければならない。

このようなニュアンスの違いから、相手との電話を切る時やその場を去る時、ネイティブは“I must go now.”ではなく“I have to go now.”を使います。

“I have to go now.”を使えば、「(本当は電話を切りたくない/帰りたくないけど……)ごめんね、行かなければいけない」というニュアンスを伝えられるため、親切な印象を与えることができます。

逆に、自分の意思で電話を切りたい、その場を去りたいということを伝えたい時は“must”を用います。

「〜に違いない」の違い

“have to”と“must”は、いずれも「〜に違いない」という推量・推定の意味で使うことがあります。

この場合、“have to”と“must”の後に「be動詞の原形+形容詞、副詞、動詞のingなど」が後ろに続きます。

たとえば、次の文章の場合、いずれも「冗談に違いない」という意味になります。

  • You have to be kidding.
  • You must be kidding.

大まかな意味は同じですが、強いて言えば“must be〜”のほうがより強い確実性を孕みます。

コリンズ英語辞典での定義
have to “You can use have to in order to say that you feel certain that something is true or will happen.
”訳:何かが正しい、または起こると確信している感じる際に“have to”を用いる。
must “You use must, or must have with a past particle, to indicate that you are fairly sure that something is the case.
”訳:何かがそうであるはずだと確信している際に、過去分詞と一緒に“must”を用いる。

否定形の違い

“have to”と“must”は肯定文の場合、ニュアンスが多少違っても、互換性があることが多いのですが、否定形になると意味が大きく変わります。

You don’t have to wear a black T-shirt.
→あなたは黒のTシャツを着る必要はありません。

You mustn’t wear a black T-shirt
→あなたは黒のTシャツを着てはいけません。

“don’t have to〜.”は「〜する必要はない」、“must not(mustn’t)〜”は「〜してはいけない」という意味になります。

なお、“must not(mustn’t)〜”はとても強い禁止のニュアンスを含むため、危険を伴う場合など、「絶対に〜してはいけません」と伝えたい時に使います。

わかりやすく言えば、“must not(mustn’t)〜”は、“Don’t 〜.”よりも強い禁止のニュアンスになるため、使用する際はやや注意が必要です。

do not have to 〜
・You don’t have to listen to him.(彼の言うことを聞く必要はありません。)
・You don’t have to run.(走る必要はありません。)
must not 〜
・You mustn’t listen to him.(彼の言うことを聞いてはいけません。)
・You mustn’t run.(走ってはいけません。)

過去形の違い

“have to”と“must”は、過去形でも意味が大きく異なります。

ただし、上述したように、“must”は主語や時制によって形が変わらない法助動詞ですので、厳密には過去形ではなく「must + have + 過去分詞」の形を取ります。

She had to study hard for the exam.
→彼女はテストのためにたくさん勉強する必要があった。

She must have studied hard for the exam.
→彼女はテストのためにたくさん勉強したのに違いない。

「must + have + 過去分詞」は、「〜だったに違いない」「〜したのに違いない」という意味になります。

よって、「〜しなければならなかった」と過去の義務や強制を表現したい場合は、“had to”を使う必要があります。

had to 〜
・He had to overwork. (彼は残業をしなければならなかった。)
・He had to talk to his father about the incident.(彼はその事件について彼の父親に話さなければならなかった。)
must have 過去分詞〜
・He must have overworked.(彼は残業したのに違いない。)
He must have talked to his father about the incident.(彼はその事件について彼の父親に話したに違いない。)

“have to”と“must”の注意点

“have to”と“must”の注意点

ここまで、“have to”と“must”のニュアンスと使い方の違いについて解説しました。

“have to”と“must”は、「〜する必要がある」「〜に違いない」など、大まかな意味は同じこともありますが、それぞれ細かなニュアンスは異なります。

また、否定形や過去形のように置き換えができないことや、置き換えると意味が大きく変わってしまうこともあるため注意が必要です。

ここでは、ネイティブスピーカーがどのように“have to”と“must”をそれぞれ使っているのか、使い分けのポイントと注意点を解説します。

口語では“have to”を使うことが多い

“have to”と“must”は、いずれも「〜しなければならない」という意味がありますが、口語では“have to”のほうがよく使われます。

特に、自分以外の誰かに、自分の意見を交えずに「〜しなければならない」と伝える際、ネイティブスピーカーはほぼ必ず“have to”を使います。

なぜなら、“must”は強制や意思のニュアンスが強く、相手に上から目線で指示や命令をしているような印象を持たれてしまうことがあるからです。

一方、ルールブックや説明書などの文書では、“have to”よりも“must”が好んで使われる傾向にあります。

“must”と“mustn’t”は強い言い方なので気をつける

“Must”とその否定形である“mustn’t”は、総じて強い言い方なので自分以外の誰かに使う場合は注意しましょう。

たとえば、「〜しなければならない」という意味で“must”を使う場合、“have to”や“should”、“need to”よりも強い言い方になるため、時と場合に応じて使い分ける必要があります。

次の4つの英文は、下に行くほど強い言い方になります。

  • You should go.
    (あなたは行くべきです。)
  • You need to go.
    (あなたは行く必要があります。)
  • You have to go.
    (あなたは行かなければなりません。)
  • You must go.
    (あなたは絶対に行ってください。)

“You should go.”と言った場合、そのアドバイスを受け入れるかどうかはあくまでも本人の意思次第ですが、“You must go.”と言うと命令に近いニュアンスになります。

また、否定形の“mustn’t”は、“Don’t〜.”という命令文よりも強い言い方になるので、日常的にはあまり使いません。

否定形の場合は言い換えはできない

“have to”と“must”は、「〜しなければならない」「〜に違いない」などの肯定文の場合置き換えが可能なこともありますが、否定形の場合は置き換えられない点に注意しましょう。

上でお伝えしたように、“have to”と“must”は否定形になると意味が大きく変わってしまうからです。

You don’t have to go.
→行く必要はありません。(強制からの解放)

You mustn’t go.
→行ってはいけません。(禁止)

それぞれの否定形の意味と使い方もしっかり押さえておきましょう。

“have to”と“must”の違いについてのまとめ

本記事では、“have to”と“must”のニュアンスの違いや使い方を解説しました。

“have to”と“must”の使い分け
have to must
〜しなければならない 外的要因による義務 自分の意思
〜に違いない 確信
(you feel certain)
より強い確信
(You’re fairly sure)
ぜひ〜してください。 強い勧誘
否定形 強制からの解放
「〜する必要はない」
禁止
「(絶対に)〜してはいけない」
過去形 強制の過去
「〜する必要があった」
推量
「〜だったに違いない」

“have to”と“must”は、基本的な意味が似ていることもあり、中・上級者であっても細かなニュアンスで躓くことがあるかもしれません。

最初は使い分けに悩むかもしれませんが、例文を読んだり例文を作ったりして使い方を練習することで、表現の幅は広がるはずです。

ぜひ本記事を参考に、“have to”と“must”の違いや使い分けをマスターしてみてください。

「have to」と「must」のニュアンスの違いと使い方を徹底解説!