近年のグローバル化に伴い、子供の英語教育環境は大きく変わりつつあります。
2020年4月から学習指導要領が変わり、小学校3年生から英語の授業が開始されることになり、小学校5年生以降は、英語が一つの教科としてカリキュラムに追加され、成績がつくようになりました。
これに伴い、その先の中学校、高校の英語学習も大きく変わってくると言われています。
このような子供の英語教育環境の変化に対して、不安に思われている親御さんは多いのではないでしょうか。
日常では、英語がほとんど使われない日本で、どうやって子供の英語力を伸ばしていけば良いのか、そもそも他の習い事も多い中で、英語塾などに通わせる時間もお金の余裕もあまりないという声をよく聞きます。
しかし昨今は、無料のアプリや英語サイト等が充実しており、質の良いものをうまく見つけることで、お金も時間もセーブして英語の学習を進めることができます。
今回は、小学生の英語学習で押さえておきたいポイントと、お金をかけずにすきま時間で楽しく英語の勉強をできるアプリ5つを紹介していきたいと思います。
目次
小学生の英語勉強において意識をしておきたいこと
小学生の英語学習では、英語を身につけることよりも、英語に慣れ親しみ、英語を好きになることが大事です。
英語を身近に感じ、英語が好きという感覚を持っておくことで、その後の中学校、高校の英語教育に向かう姿勢が大きく変わると言っても過言ではありません。
具合的に気をつけたいことは、下記の2点です。
英語に慣れ親しむ
日本では、よほど家庭で英語教育に力を入れているか、外国人に囲まれている特殊な家庭でない限り、日常生活で英語に触れる機会はほとんどありません。
単語一つを取っても、他のアジア諸国の小学生が知っているような単語を日本人の小学生は知りません。
このような、英語に触れる機会の少ない環境に置かれている日本人の小学生に必要なのは、英語の音や簡単な文章に慣れることです。
英語の音に関しては、Apple, piano, notebookなど、日常自分の周りに溢れている物事が英語ではどんな音で発音されるのかを、自分の耳で理解することからはじめると良いでしょう。
また、簡単な自己紹介や挨拶を、文法の意味や文構造は理解できなくても、まずは覚えて、使ってみることが大事です。
例えば、
Hello.
こんにちは。
I’m Ken, nice to meet you.
ケンです、はじめまして。
といった挨拶の文章や、
Could you give me a glass of orange juice?
オレンジジュースをください。
といった、レストラン等で使える決まった表現を丸ごと覚えると良いでしょう。
これらのセンテンスは、イラストや動画などを見ながら、その表現が使われるシチュエーションと一緒に覚えることをおすすめします。
たとえ文構造や文法の意味が理解できなくても、よく使われるセンテンスを何度も口に出して言って見ることで、英語の音や表現に慣れ親しむことができます。
英語を好きになる
「好きこそ物の上手なれ。」ということわざがありますが、これは英語の勉強においても同じです。
英語を好きになれば、もっと使ってみたい、もっと勉強したいと思うようになり、自然に英語力が伸びます。
特に小学生にとっては、
「英語を使うともっと楽しいことができる」
「英語を使うと、たくさんの友達ができる」
という感覚を持ってもらうと良いでしょう。
このような感覚を小学生のうちから持つことで、その後の中学校、高校の勉強に向けた英語学習のモチベーションが向上します。
具体的には、自分で覚えた英語を使い、一言、二言でもよいので、外国人と会話をすることができたという経験ができると良いと思います。
海外旅行先や日本にいる外国人に英語で話しかける機会を複数回持つと良いでしょう。
たとえ簡単な英語でも、違う国の人に自分の英語が伝わったと感じるだけで楽しくなりますし、それと同時に英語に対する学習意欲が高まります。
小学生の英語学習で意識したいこと?赤ちゃんが言葉を学ぶ順序に沿って学習をする?
では、具体的に小学生が英語を学習する際、どのようなステップを踏めば良いのでしょうか。
小学生は、中・高校生や大人と異なり、まだ母国語の日本語の語彙量さえ多くありませんから、難しい文法的なコンセプトを頭で理解して、整理するのは難しいでしょう。
そのため、中学生から学習するような、英語の文法知識を学習しようとしてもうまく定着しません。
一方、小学生は、耳や脳の機能が形成されつつある段階なので、英語のコミュニケーションに適した耳や脳を育てることができます。
そこでおすすめしたい学習方法は、赤ちゃんが言葉を学ぶ順序に沿って学習を進めることです。
通常赤ちゃんは、次の4つのステップを踏んで言葉を身につけます。
- 周囲の会話を聴く(リスニング)
- 周囲の音を真似て話してみる(スピーキング)
- 絵本や周囲にある文字を大人の力を借りて読んでみる(リーディング)
- 文字や文章を真似して書いてみる(ライティング)
もちろん、小学生はもう赤ちゃんではないので、忠実にこの順序に沿って学習を進めることは難しいでしょう。
しかし、できる限りこの4つのステップに沿って学習を進めることで、自然に実用的な英語を身につけることができます。
家庭での学習は、リスニングとスピーキングに絞る
特に家庭における英語の学習で意識をしたいのは、リスニングとスピーキングです。
たとえ学校で英語の時間が確保されたとしても、英語の授業は週に1、2時間程度しかないので、それ以外は日本語で授業や日常生活を送ることになります。
そのため、子供が英語の音に慣れる時間が十分だとは言えません。
家庭では、英語の音に触れる時間をできるだけ確保することや、意味がわからなくても良いので、聞いた英語を真似して言葉に出させるようにすることをおすすめします。
そうすることで、自然と耳が英語の音に慣れ、英語の音を聴き取ることができるようになります。また、聴いた音を自分で真似してみることで、日本人が苦手とする英語の発音もネイティブに近いものになっていきます。
小学生におすすめの無料英語アプリ
では、具体的にどのような学習ツールを使って勉強をしていけば良いのでしょうか。
子供向けの英語学習教材やサービスは、いまや大きなビジネスになっており、数え切れないほどのサービスがあります。
なかには、100万円を越すような学習教材もありますが、質は良いのだろうがとてもじゃないけれども手が届かないと思う方は多いでしょう。
一方、お金をかけなくてもできる英語学習は山ほどあります。
その中でも昨今一際注目されているのが、英語学習アプリです。
ここでは、小学生が効果的に学習できる無料の英語学習アプリを5つ紹介します。
子供向けの英語 English For Kids
アプリの特徴
日常生活で触れる単語を「音」と「絵」から学習できるアプリです。
アプリの画面には、アルファベットや数字、食べ物や乗り物など、身近なもののイラストが並んでいて、タップをすると発音を確認することができます。
さらに、音を聞いてそれに合う絵を選ぶゲームも搭載されており、楽しく音から単語を学ぶことができます。
単語のスペリング(つづり)を学習する機能も搭載されているので、小学校高学年から中学校1年ぐらいまでの学習に使うことができます。
どんな力が身につくか
小学生が普段目にし、言葉にする単語の発音を正しく覚えることができます。
日本人がよくやりがちなのは、日本語の単語から、それらを英語で覚えることです。
しかし、小学生は日本語の語彙量が多くないので、物のイメージから直接英語の単語を音で覚える方が効果的です。
このアプリを通じて、身近なものを正しい英語の発音で発音する力が身につきます。
ABC Spelling – Spell & Phonics
アプリの特徴
ABC Spelling- Spell & Phonicsは、フォニックスを効果的に身につけられるアプリです。
フォニックスとは、英語圏の子供たちが学ぶ英語のスペリングと発音の間にある法則のことを指します。
例えば、”PEN”という単語は、スペリングを分解すると、P(ピー)E(イー)N(エヌ)となり、これだけでは本来の「ペン」という発音を予測することができません。
しかし、フォニックスでは、それぞれの文字は、P(プッ)E(エ)N(ン)という発音になり、つなげると「ペン」という発音になります。
AからZまでの36のアルファベットには、それぞれフォニックスの発音の仕方があり、これをマスターしておけば、たとえわからない単語に出会っても音を予測できますし、逆に耳で聞いた単語を文字にすることもできます。
ABC Spelling – Spell & Phonicsでは、日常生活で使う英単語を通じて、フォニックスの音、つづりなどを文字埋めゲームなどで楽しく学ぶことができます。
どんな力が身につくか
フォニックスを学習することで、知らない英語の発音や単語に出会っても、発音を調べなくても自分で読む力が身につきます。
フォニックスを小学生のうちに身につけておくことで、小学校高学年や中学校以降で習う単語の読み書きや、リーディングをスムーズに進めることができるようになります。
英語発音アプリ道場
アプリの特徴
英語の短い構文の発音練習ができるアプリです。
文章は、”I play soccer.”のような短い簡単な文章から、大学受験レベルの構文まで幅広い範囲のものが用意されています。
アプリ内では、構文とそれに関するイメージ画像、日本語訳が表示されます。
次に、ネイティブの英語が流れ、その後にスマートフォンに向かって発音すると、その音声を分析し、ネイティブの発音との違いを判定してくれます。
判定は、”Excellent” “Good” “Not bad”の3種類で、テーマごとに金賞、銀賞、銅賞といった表彰も用意されており、ゲーム感覚で楽しく取り組むことができます。
どんな力が身につくか
このアプリで身につくのは、ネイティブに近い発音とリスニング力、英語表現の3つです。
単語の発音をチェックするアプリはよくありますが、このアプリでは構文の発音をチェックするため、単語を繋げて発音するネイティブの発音との違いをしっかりとチェックしてくれます。
例えば、
I play the piano.
私はピアノを弾きます。
という文章を発音すると、play と pianoの間にあるtheは「ザ」ではなく、「ダ」に近い若干曖昧な音になります。
また、
I have a pen.
私はペンを持っています。
という文章を発音する時は、have とaがつながり、「ハバ」に近い音で発音されます。
英語発音アプリでは、このような発音の違いも聞き分けて判定をするので、ネイティブに近い発音を目指して練習をすることができます。
また、正しい発音ができるようになることで、ネイティブの英語の発音を聴き取ることができるようになります。
さらに、複数回発音の練習をすることで、英語の表現が自分の中に定着し、英語を話す際に意識しなくても英語の表現が出てくるようになります。
ペラペラ英会話
アプリの特徴
英会話でよく使われるフレーズを「耳」と「目」から学習し、定着することができるアプリです。
自己紹介、挨拶、旅行等様々なシーンで使うフレーズが用意されており、小学生から社会人まで幅広い層が学べるアプリになっています。
どんな力が身につくか?
それぞれのシーンで必要となる表現を丸ごと覚えてしまうことで、海外や日本にいる外国人に対して咄嗟に英語で反応するができます。
アプリでありがちなのは、日本語と一部表現が空欄になった英文が提示され、空欄に何が入るかを当てるクイズ形式の出題です。
しかし、このタイプのものは、文法を理解していないと答えられない場合が多く、小学生には向かないものが少なくありません。
一方、このアプリは、表現を覚えることに焦点が当てられているので、何度も繰り返しているうちに、英語表現が口をついて出るようになります。
Voice Tube
アプリの特徴
Voice Tubeには、子供向けにはディスニーやアニメーション、大人向けにはニュースやビジネスと幅広いジャンルの動画が用意されています。
動画には字幕を表示させることができますが、小学生向けには、自分の好きな動画を選んで、字幕なしで見せ、英語の音に慣れてもらうのが良いでしょう。
どんな力が身につくか?
このアプリを通じて、リスニング力や英語の表現を身につけることができます。
たとえ動画の内容を理解できなかったとしても、自分の好きな動画を英語で見ることで、自然と英語の音に耳が慣れてきます。
子供のタイプにもよりますが、できれば1つの動画を複数回視聴させると良いでしょう。
そうすることで、自然に動画の中で使われている表現が頭に入ってきて、英語表現を定着させられるからです。
アプリを使った学習以外におすすめしたい学習方法
ここまで、アプリを使った学習方法をお伝えしてきましたが、それ以外にはどのような学習方法が小学生の英語学習に効果的なのでしょうか。
色々な学習方法がありますが、一番大事なのはアウトプットの機会を作ってあげることです。
英語はインプットとアプトプットを繰り返すことで、自然と力がつきます。
これは、大人だけでなく子供も同じです。
アプリでインプットをしたものをアプリ上でアウトプットするのも大事ですが、できる限り生身の人間と英語で会話する機会を用意してあげると良いでしょう。
海外旅行や外国人が多いコミュニティにお子さんを連れていくのも良いですし、そういった機会がなかなか得られない方は、オンライン上のネット英会話を利用されることをおすすめします。
実際に自分で学んだ英語を使える感覚を持ってもらい、外国人とコミュニケーションを取れることの喜びを実感してもらうことで、英語学習のモチベーション向上につなげることができるでしょう。